今週末のF1第12戦ベルギーGPから、2021年シーズンの後半戦が始まる。レッドブル・ホンダは前半最後の2戦で立て続けに2基のパワーユニット(PU)に甚大なダメージを受け、もはや実戦使用は不可能だという。残り12戦を戦い切るためには、4基目投入によるグリッド降格ペナルティ必至という厳しい状況だ。
それでもホンダF1田辺豊治テクニカルディレクターは「タイトル獲得に向けて、さらに高まるプレッシャー、緊張感を、逆にモチベーションにしていく」と、強い気持ちを表明していた。
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──今週末は不純な天候が続きそうです。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):さすがスパウェザーといいますか。水曜日までは天気がよかったのが、木曜日から不安定な天候になりそうです。
前半戦のレッドブル・ホンダはタイトル争いに絡み、(ランキング)首位にいることもできました。アルファタウリ・ホンダも戦闘力を上げています。直近2戦は残念な結果に終わりましたが、2週間の夏休みで身も心もリフレッシュして、新たな気持ちで後半戦に臨みます。
──マックス・フェルスタッペンのICEに見つかったクラック(ひび)は、その後どう対応しましたか?
田辺TD:こちらで見ても視認できるほどのクラックで、HRDさくらに戻してからも当然ながら異常は確認できました。少なくとも土曜日、日曜日に使えるものではありません。いろいろなかたちでの補修を検討しています。残念ながらレースには使えません。
──ハンガリーGPでダメージを負ったセルジオ・ペレスのパワーユニットは?
田辺TD:こちらは完全に失いました。
──冷却系の破損でパワーユニットに致命傷を負ったのでしょうか?
田辺TD:横から激しくぶつけられ、冷却系に限らず車体やパワーユニットにダメージを負ったことが原因でした。
──パワーユニット全体がダメなのですか?
田辺TD:ICEが完全にダメで、ほかは十中八九大丈夫です。フェルスタッペンの方も同様です。といいますかフェルスタッペンの方はICE自体もまだ動きます。その意味ではずっと健全です。
──23戦開催だと、ペナルティ覚悟で4基目のパワーユニット投入を考えないといけないのでしょうか?
田辺TD:そのとおりです。後半戦が12戦あるとしたら、両ドライバーともにパワーユニットを失った状況を考えていきます。ただ、やりくりの仕方として、ICEだけ4基目というやり方もあるかと思います。