ルールを巡って揉めたのは、これだけではない。ブレーキング時の進路変更に関する判断にも、16年は多くのドライバーが振り回された一年となった。
まずハンガリーGPでマックス・フェルスタッペンがキミ・ライコネンに対して2度行ったものの、ペナルティは科せられなかった。続くベルギーGPではフェルスタッペンはライコネンだけでなく、セバスチャン・ベッテルに対しても同様の行為を行ったものの、ペナルティを受けることはなかった。そして、フェルスタッペンは日本GPでも同様のドライビングをタイトル争いをしているハミルトンに対して行ったが、やはりお咎めはなかった。
ブレーキング時の進路変更禁止というルールは、モータースポーツでは常識である。にもかかわらず、フェルスタッペンが処罰されなかったため、世界中のモータースポーツ・ファンが“フェルスタッペン・ルール”だと揶揄したものである。
そのため、FIAはアメリカGPのドライバーズミーティングで、「ブレーキング時の進路変更を一切容認しない」ことを通達。そして、その翌週に行われたメキシコGPで、いきなりペナルティが下る。だが、それはフェルスタッペンに対してではなく、フェルスタッペンのドライビングを非難し続けてきたベッテルだったのは、皮肉なことだった。
このメキシコGPではトラックリミットに関する裁定にも異論が噴出した。スタート直後の1コーナーをショートカットしたメルセデスAMG勢にはペナルティが出なかったのに対して、レース終盤に同じ1コーナーをショートカットしたフェルスタッペンには5秒加算の罰則が与えられた。