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海外レース他 ニュース [PR]

投稿日: 2022.09.21 10:40
更新日: 2022.09.21 10:45

NOVEL racingドライバー育成プロジェクト開始「多くの人に夢と希望を提供したい」 ニュル初心者ドライバーを全面サポート

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海外レース他 | NOVEL racingドライバー育成プロジェクト開始「多くの人に夢と希望を提供したい」 ニュル初心者ドライバーを全面サポート

 ドイツ・ニュルブルクリンクを拠点に精力的にニュルブルクリンク耐久シリーズ(NLS)や24時間耐久レースに挑戦を続ける渡邊卓代表率いるNOVEL racing。

 2016年からニュルブルクリンク24時間レース、ニュルブルクリンク耐久シリーズに継続参戦してきたが、今年新たなプロジェクトをスタートした。それが、9月9日~11日に開催されたニュルブルクリンク耐久シリーズ第6戦『ニュルブルクリンク12時間』の参戦に、新人ドライバーとして新たに加わった、畑野賢明(38歳)、友宗慶太(40歳)、小原康二(54歳)という年齢もキャリアも職業もまちまちな3名のアマチュアドライバー達の挑戦だ。

 “なぜ、ニュル初心者のアマチュアドライバーが?” その背景を説明しよう。十数年前までは世界最大の草レースと称されていたニュル24時間レースだが、GT3マシンの登場でがらりと変わり、いまやトッププロの勝負の場となり、そのハイレベルのバトルに魅了されるファンも多いのではないだろうか。

 しかし、その一方でNLSや24時間レースに参戦するのは、メーカー所属のトップワークスのドライバーばかりではない。ニュルでは、年齢も性別も職業も様々なアマチュアドライバーが数多く参戦しており、ニュルの過酷なレースを通して、プロアマのドライバーやチーム関係者、そしてファンを含めてみんなが『ニュルの仲間』なのだ。

 NOVEL racingの渡邊代表もそのニュルの魅了されたひとりで、ニュル参戦の度に、この素晴らしさをもっと多くの人々と分かち合えないかと長年考えていたという。「多くの人に夢と希望を提供したい」という思いが、『ドライバー育成プロジェクト』を始動するきっかけとなったのだ。

 そして、今年、『いつかはニュルを走りたい』という共通の夢と目標を持った“ニュル初心者”の3名がNOVEL racingの全面サポートのもと、憧れのニュルの地に立ったのだ。

 残暑の厳しい日本とは異なり、ドイツの北西部に位置するニュルは気温もぐっと下がり、すでに秋の気配を濃く感じる。本来は土曜日に予選から決勝レースまで1日で完結するのが特徴のNLSだが、今季はNLSにとっても初めての試みとなる2日間に渡っての12時間レース(6時間耐久レースを2日間に分けて2戦)が開催された。

 日本では“ニュル”という愛称で親しまれるニュルブルクリンク。世界中のファンを虜にする世界で最も美しく、また過酷なサーキットで行われるレースには、誰でもすぐにレースに出られるわけではない。

 まず、ニュルブルクリンクで開催されるレースに参戦するには、専用ライセンス(ペリメットBライセンス)の取得が必要となる。今回の3名の新人ドライバーもレース開始前の木曜日から金曜日に開催されたライセンス講習会に参加した。

 講習会は座学に1時間、コース上でのトラックウォークなどに2時間、そしてインストラクターの先導の下で実際にニュルを走る実走講習に5時間と、2日間に渡ってみっちり行われる。講習会では英語かドイツ語で行われるが、NOVEL racingでは経験豊かな日本人マネージャーと日本人ベテランドライバーが現地で通訳とサポートに当たるため、語学に自信がなくても安心して参加することができる。

Novel racingのニュル初心者ドライバーを全面サポートするドライバー育成プロジェクト
Novel racingのニュル初心者ドライバーを全面サポートするドライバー育成プロジェクト

 今回は、某自動車メーカーのテストドライバーの伊藤正茂がコーチ役を担い、畑野・友宗・小原の3名のルーキーと共に講習会からレースまでをサポートした。

 シミュレーターや映像や写真で見るニュルと、実際に見るニュルではその迫力に圧倒される事になる。実際にコースへ降りて、各コーナーの攻略法をひとつずつ説明を受けながら進行され、講習だけでもニュルの凄さ実感できる。

 実技講習は少人数制のグループレッスンで行われる。長く濃密な時間を共にするだけに、様々な国のドライバーとも次第に打ち解け、同じ目標を持つ同士、互いにモチベーションを高めながら自然と笑顔が溢れるのが印象的だ。座学や実走の講習を経て、無事にライセンスを取得。ようやくニュルへの階段を一段上り、いよいよ翌土曜日には、ニュルでの初実戦を前に期待に胸が膨らむ。

Novel racingのニュル初心者ドライバーを全面サポートするドライバー育成プロジェクト
Novel racingのニュル初心者ドライバーを全面サポートするドライバー育成プロジェクト

 土曜日は早朝から予選の準備でいつものニュルらしい活気で賑わった。NLS第6戦は121台のエントリーを誇り、どのピットもマシンと人で溢れ返る。畑野・友宗・小原の3名は、この多少カオスとも言える雰囲気に圧倒され気味だったが、それも含めてすべてが新鮮で、楽しみで仕方がない様子だ。9時30分から2時間に渡って行われた予選では、284号車を掲げたNOVEL racingのトヨタGT86はSP3クラス6位、総合114位を終え、いよいよスタートグリッドへと並ぶ時がきた。

Novel racingのニュル初心者ドライバーを全面サポートするドライバー育成プロジェクト
Novel racingのニュル初心者ドライバーを全面サポートするドライバー育成プロジェクト

 6時間耐久レースのスタートを迎えるスタートグリッドは肌寒く、午後2時過ぎだというのに辺りは薄暗い。フォーメーションラップが始まる頃には真っ黒な雲が立ち込めて、冷たい雨がコースを濡らし始める。

 渡邊代表から3名のルーキードライバーたちに「ここは聖地ニュル。ニュルを攻略しようなんて思わず、純粋な気持ちでニュルを感じるように。そうすればニュルの神様が味方に付いてくれる」とエールが送られた。ニュルはアイフェル地方の深い森の中に位置するため、天候が変わりやすく『ニュルウェザー』と称されることで有名なだけに、一瞬の無茶も油断も禁物だ。

 ここでは例えベテランであっても、ゴールすることがいかに難しく、大切だということを渡邊代表自身も痛いほどに理解しているだけに、無事にピットに戻ってきて欲しい、そんな願いで3名のドライバーをピットから送り出した。

ニュルブルクリンク耐久シリーズ第6戦ニュルブルクリンク12時間
ニュルブルクリンク耐久シリーズ第6戦ニュルブルクリンク12時間

 ベテランでさえコントロールを失いスピンしてしまうという、ヒヤリとするウェットコンディションの厳しい場面がモニターに映し出される度に、より一層気持ちを引き締めてステアリングを担う3名だった。コース脇のガードレールやタイヤバリアに激突してしまい、その復旧・撤収作業が至る所で行われ、コード60やイエローフラッグがあちこちで振られ、クリアラップを取れたのは極まれだ。

ニュルブルクリンク耐久シリーズ第6戦ニュルブルクリンク12時間
ニュルブルクリンク耐久シリーズ第6戦ニュルブルクリンク12時間
ニュルブルクリンク耐久シリーズ第6戦ニュルブルクリンク12時間
ニュルブルクリンク耐久シリーズ第6戦ニュルブルクリンク12時間

 そんなウェットとドライが入り混じる厳しいコンディションの中、畑野・友宗・小原の3名がドライブする248号車のトヨタGT86は、既に日没した真っ暗闇の午後8時、SP3クラス4位、総合91位でチェッカーフラッグを受け、スタッフ全員がホッと胸を撫でおろした。

 翌日曜日の6時間耐久レース第2弾は、一転して朝から晴天に恵まれ、ドライコンディションのスタートとなった。別途予選は行われず、昨日のゴール順からスタートというフェアなルールでの再開だ。

 ドライとなったことから、レースはテンポアップし、激しさを増した。ニュル初デビューで6時間レースを2戦連続して戦うという、まさしく“ニュル三昧”に、畑野・友宗・小原の3名のルーキードライバーには、体力的にも精神的にも厳しい洗礼だったに違いない。

ニュルブルクリンク耐久シリーズ第6戦ニュルブルクリンク12時間
ニュルブルクリンク耐久シリーズ第6戦ニュルブルクリンク12時間

 しかし、3名は堂々と戦い抜き、総合81位、SP3クラス2位と初戦からトロフィーを持ち帰るという好成績でチャレンジを終えた。無事にゴールしたという安堵と入賞の悦びの笑顔に溢れ、NOVEL racing、そしてコーチ役を担った伊藤らへの感謝の言葉を何度も口にし、厳しくもあり、楽しかったニュルを後にして、3名のドライバーは真新しいニュルのライセンスと共に日本への岐路に立った。

Novel racingのニュル初心者ドライバーを全面サポートするドライバー育成プロジェクト
Novel racingのニュル初心者ドライバーを全面サポートするドライバー育成プロジェクト

 レースを終えて、NOVEL racing渡邊卓代表は「ニュルは完走するだけも難しく、技術だけでなく人間力、組織力を試されるコースです。特にレース経験の少ない新人アマチュアドライバーには精神的にとても厳しいレースだと予想していましたので常にメンタル面のサポートを徹底していました」

「初挑戦で挑んだレースでしたが、3名のルーキードライバー達は終始笑顔が絶えず、純粋にニュルを感じていてくれたことがうれしく、これはNOVEL racingがニュルへ長年挑戦してきた中で、最も大事にしている“チームワーク”であり、チーム一丸となってひとつの目標に向かい、皆で喜びを共感出来るのがレースの醍醐味です」

「今回、NOVEL racingからニュルへ挑戦した三名のルーキードライバーの年齢は、決して若手ではないメンバーでした。普段の社会生活ではベテランとも呼ばれる彼らが『初心者』として参加するには心の葛藤もあったのかも知れません。しかし、彼らの純粋にニュルと向き合う姿や常に笑顔が絶えず走る姿が多くの人の心を動かし、チームの結束を固めたことは違いないでしょう。また、年齢的にニュルへ挑戦することをためらうドライバーや応援してくれている多くの方々に、夢と希望と勇気を与えることになったでしょう。NOVEL racingの新たなプロジェクトは、今後さらに多くの人達に夢と希望を提供していきます」と締めくくった。

Novel racingのニュル初心者ドライバーを全面サポートするドライバー育成プロジェクト
Novel racingのニュル初心者ドライバーを全面サポートするドライバー育成プロジェクト

* * * * * *

■畑野賢明(37歳)
幼いの頃からの夢だった、世界一過酷とれるニュルブルクリンクに辿り着くことができました。チームの皆様に感謝するとともに、自身が代表取締役を務めるスプリングメーカー(ハルスプリング)として、この現場で製品を鍛え抜いていくと、改めて強く決心しました。

■友宗慶太(40歳)
紆余曲折ありながらも、長年追い続けてきたニュルへの夢がようやく叶い、ホッとしているのと同時に、素晴らしい成績を挙げられたので未だに興奮していますが、課題が山盛りの1週間となったので、それらをひとつひとつ潰しながら精進していきたいと思います。

■小原康二(54歳)
森の中に造られた超高速でバンピーなコースは、天候やアクシデントによって周回毎に変わる路面コンディションや日本のサーキットでは感じることの出来ない領域で、まさに人間力とチーム力が求められるコースがニュルブルクリンクだと実感しました。その中で“完走”という目標に対し、チームが一丸となって、戦い抜いたからこその結果でした。レースに関わる多くの方が“ニュル”と口にする魅力を周回ごとに感じ、理解ができました。次に目指すは、ニュル24時間レースへ出場することです!

Novel racingのニュル初心者ドライバーを全面サポートするドライバー育成プロジェクト
Novel racingのニュル初心者ドライバーを全面サポートするドライバー育成プロジェクト
ニュルブルクリンク耐久シリーズ第6戦ニュルブルクリンク12時間
ニュルブルクリンク耐久シリーズ第6戦ニュルブルクリンク12時間
ニュルブルクリンク耐久シリーズ第6戦ニュルブルクリンク12時間
ニュルブルクリンク耐久シリーズ第6戦ニュルブルクリンク12時間


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