6月24日にアメリカ・コロラド州で開催される第96回パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(PPIHC)に参戦するフォルクスワーゲン・モータースポーツは、大会に投入する『I.D. Rパイクスピーク』の走行テストを同地で行った。
PPIHCは海抜2862メートルのスタート地点から19.9kmの道のりを経て4302メートルの山頂まで一気に駆け上がることから“雲へ向かうレース(レース・トゥ・ザ・クラウド)”の愛称で親しまれている大会だ。
この伝統的なイベントに、フォルクスワーゲンは新開発したオール・エレクトリックマシンであるI.D. Rパイクスピークを投入。2016年に記録にEVマシンで記録されたレコードブレイクに挑む。
マシンは2基のエレクトリックモーターを搭載し、最高出力680馬力、最大トルクは479lb-ft(649N・m)に達する。停止状態から時速60マイル(時速約96キロ)までの加速はわずか2.25秒と、F1、フォーミュラEマシンをしのぐ。
そんなモンスターマシンとドライバーを務めるロマン・デュマは6月末に控えた本戦に向けてパイクスピークを訪れ、ふだんは一般公道として開放されている道を3時間閉鎖して貸し切り、走行テストを行った。
チームによれば、今回のテストではマシンのサスペンションやブレーキング時のエネルギー回生、タイヤテストなどに重点を置いたといい、大きなトラブルなどはなく成功裏に終わったという。
「コロラドからはポジティブな知らせが来ている。パイクスピークに向けて準備は予定どおりに進んでおり、これからはファインチューニングに専念できる」と語るのはフォルクスワーゲン・モータースポーツのスベン・スミーツ代表。
「これは我々ドイツにいるスタッフと、アメリカにいるスタッフが高いチーム力を発揮したことで手にできた結果だ」
「このまま集中して高いモチベーションを維持できれば、6月24日の本戦でエレクトリックカーのコースレコードを塗り替えられるはずだ」
マシンの初テストを行ったデュマは「これまでパイクスピークでドライブしてきたマシンのなかで最高の1台だ」とマシンのフィーリングを語る。
「加速もコーナリングスピードも素晴らしいの一言で、本当にドライブしやすい。電気自動車だからギヤを変える必要がなく、ライン取りに集中できるのもいいね」
「ただ、どんなものにも改善の余地はある。残された時間でマシンに微調整を加えていくよ」
フォルクスワーゲンは、このI.D. Rパイクスピークとデュマのパッケージで、リース・ミレン操る『eO PP100』が記録した8分57秒118というレコード更新に挑む。