前述の要素を含めたARA Open 4WD規定は、性能的にFIAのラリー2との類似性を感じさせるものでありながら、そのパフォーマンスはさらに上を行くとも言われており、安価に製造可能な点も含めて優れたコストパフォーマンスを誇る。
今季はVA型のシングルカー体制でARAに挑み、2年連続のタイトルを獲得したセメナックは、8月24~25日に開催される『オジブワ・フォレスツ・ラリー』でVB型WRXを実戦投入し、来季を見据えたデータ採りと信頼性向上を狙ったプログラムを進める。
「この新型モデルのリリースは、エキサイティングな未来をもたらすだろうね。プラットフォームは完全に再設計され、クルマの見た目も感触もよりダイナミックになった。ファンにとってさらに良いショーが見せられるだろうし、来季はトラビス(・パストラーナ)もチャンピオンシップに戻ってくるんだからね! 本当に楽しみだよ」
そうセメナックが名前を挙げたパストラーナは、2022年まではエースとしてチームを牽引してきたが、今季2023年に向けては自身が立ち上げに関与した新生ナイトロクロス(旧NitroRX)や、NASCARカップシリーズの『デイトナ500』参戦に注力するためARAでの活動を一時休止していた。しかし来季からは、そのラリークロス活動でも実働部隊として協業するVSCとともに、このVB型の開発を進めていくことになる。
「2024年のARAラリー・チャンピオンシップ復帰が決まり、とても興奮している」と意気込みを語ったパストラーナ。「新しいスバルのプラットフォームは素晴らしく、2度のディフェンディングチャンピオンであるブランドン・セメナックとふたたび戦う機会は、とても楽しいものになるだろうね」
「ブランドンがチームに加わったとき、僕はベテランだった。でも来季は形勢が逆転するから、多くのことを学び、できればトップに返り咲きたいと思っている。このスポーツから離れてまだ1年しか経っていないが、多くのことが変わったし、新たな挑戦に向けた準備はできているよ」
このVB型WRXラリーカーの披露に際し、北米スバルのYouTubeチャンネルでは全6話構成のミニシリーズ“Next Stage”の公開も予定。8月9日(水)のエピソード1以降、18カ月間にわたるラリーカー開発の舞台裏を包括的に紹介し、新しいクルマの設計、製造、テストのプロセスが明かされる。