当初、ル・マン以前にいわゆる“プラットフォームBoP”の変更が行われる可能性があり、そこでLMHとLMDhという異なるふたつプラットフォーム間でパフォーマンス調整が行われことが予想されていた。また、プラットフォーム内での各車個別のBoPはル・マン後に調整される可能性があった。
しかし、各プラットフォーム内での調整は24時間レースの“100周年記念大会”以前に適用されたため、トヨタを含む各メーカーは驚きを隠せなかった。
FIAは声明で次のように述べている。「接戦が展開されたル・マンでは、5つ以上の異なるメーカーが異なるステージでレースをリードしていた。モンツァ6時間前のBoP調整は当初の計画の一部であり、シミュレーションとテレメトリーによるオントラックデータの相関関係を含む方法論に基づいている」
「ル・マン24時間レースで収集されたデータは分析され、それぞれのクルマの最適なパフォーマンスの可能性をよりよく理解することが可能になるように、シミュレーション・ツールと関連付けられている」
「今回の調整は、今シーズンのスケジュールに残っている3つのサーキット(モンツァ、富士スピードウェイ、バーレーン・インターナショナル・サーキット)にそれぞれ異なる値が割り当てられており、そこでは3つのレイアウトの特性が考慮されている」
■LMGTEアマクラスの変更は車両重量のみ
ハイパーカークラスと同様に、BoPによってメーカーごとにパフォーマンスレベルが調整されているLMGTEアマクラスでは、第3戦スパ・フランコルシャンから第5戦モンツァまでの間に車両重量ベースに変化が見られた。
フェラーリ488 GTEエボと、ル・マン24時間で優勝したシボレー・コルベットC8.Rは、ともに基本となる最低重量が10kg追加され、その上にサクセス・バラストが適用される。
ポルシェ911 RSR-19とアストンマーティン・バンテージAMRは、スパから最低重量が変更されていない。ル・マンでのBoPはフランスのトラック固有のものであるため、同クラスのBoP変更についてはスパが基準となっている。
サクセス・バラストは、直近2レースの結果とシリーズランキング上位3つのクルマに対して15kg、10kg、5kgが加算されるもの。ル・マンで優勝した63号車コルベットは、アップデートされたBoPによって1275kgとなった基本重量に前戦優勝分の15kg、スパ2位の10kg、ポイントリーダーの15kgを加えた1315kgの最低重量でモンツァに挑む。
この他、ORT・バイ・TFスポーツの25号車アストンマーティン・バンテージAMRは25kg(10+5+10)相当のバラストを積み、第2戦スパを制した83号車フェラーリ488 GTEエボ(リシャール・ミル・AFコルセ)は15kgの重量増に。またアイアン・デイムスの85号車と、ル・マンでクラス3位となったGRレーシング86号車の両ポルシェ911 GT3 Rは5kg分のバラストを搭載する。
■LMGTEアマ メーカー別最低重量
・ポルシェ911 RSR-19 1269kg
・フェラーリ488 GTEエボ 1273kg
・シボレー・コルベットC8.R 1275kg
・アストンマーティン・バンテージAMR 1245kg
■ハイパーカーBoP(7月3日付)
第5戦モンツァ | |||||
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プラットフォーム | マシン | 最低重量 | 最大出力 | エネルギー量 | 前輪モーター作動速度 (ドライ/ウエット時) |
LMDh | キャデラックVシリーズ.R | 1032kg(-14) | 498kW(-15) | 890MJ(-15) | ― |
LMH | フェラーリ499P | 1069kg(+5) | 497kW(-12) | 893MJ(-8) | 190kph/190kph |
LMH | グリッケンハウス007 | 1030kg(±0) | 520kW(±0) | 916MJ(+3) | ― |
LMH | プジョー9X8 | 1046kg(+4) | 520kW(+4) | 914MJ(+6) | 150kph/150kph |
LMDh | ポルシェ963 | 1049kg(+1) | 506kW(-10) | 899MJ(-11) | ― |
LMH | トヨタGR010ハイブリッド | 1080kg(±0) | 507kW(-5) | 908MJ(±0) | 190kph/190kph |
LMH | ヴァンウォール・ バンダーベル680 |
1030kg(±0) | 520kW(+8) | 913MJ(+12) | ― |
第6戦富士 | |||||
LMDh | キャデラックVシリーズ.R | 1039kg(-7) | 505kW(-8) | 894MJ(-11) | ― |
LMH | フェラーリ499P | 1076kg(+12) | 505kW(-4) | 898MJ(-3) | 190kph/190kph |
LMH | グリッケンハウス007 | 1030kg(±0) | 520kW(±0) | 905MJ(-8) | ― |
LMH | プジョー9X8 | 1038kg(-4) | 520kW(+4) | 907MJ(-1) | 135kph/150kph |
LMDh | ポルシェ963 | 1054kg(+6) | 514kW(-2) | 906MJ(-4) | ― |
LMH | トヨタGR010ハイブリッド | 1080kg(±0) | 514kW(+2) | 907MJ(-1) | 190kph/190kph |
LMH | ヴァンウォール・ バンダーベル680 |
1030kg(±0) | 520kW(+8) | 903MJ(+2) | ― |
第7戦バーレーン | |||||
LMDh | キャデラックVシリーズ.R | 1037kg(-9) | 504kW(-9) | 895MJ(-10) | ― |
LMH | フェラーリ499P | 1075kg(+11) | 505kW(-4) | 901MJ(±0) | 190kph/190kph |
LMH | グリッケンハウス007 | 1030kg(±0) | 520kW(±0) | 909MJ(-4) | ― |
LMH | プジョー9X8 | 1041kg(-14) | 520kW(+4) | 908MJ(±0) | 135kph/150kph |
LMDh | ポルシェ963 | 1053kg(+5) | 514kW(-2) | 909MJ(-1) | ― |
LMH | トヨタGR010ハイブリッド | 1080kg(±0) | 514kW(+2) | 912MJ(+4) | 190kph/190kph |
LMH | ヴァンウォール・ バンダーベル680 |
1030kg(±0) | 520kW(+8) | 906MJ(+5) | ― |