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スーパーGT ニュース

投稿日: 2018.09.04 15:33
更新日: 2018.09.04 15:35

メルセデスAMG・チーム・グッドスマイル 2018鈴鹿10時間 レースレポート

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スーパーGT | メルセデスAMG・チーム・グッドスマイル 2018鈴鹿10時間 レースレポート

 第8スティント、レースは残り約3時間、谷口選手が自身最後のスティントに向かう。

 前後とも大きく差がついておりレースは膠着していたが、ポールポジションからスタートした27号車(HubAuto Corsa)がクラッシュでストップした事により6位にポジションを上げる。この時点で前に07号車(Bentley Team M-Sport)、後ろに08号車(Bentley Team M-Sport)と、ベントレーに挟まれる形に。

 07号車は00号車より1秒近く速いペースで差を広げていたが、214周目にトラブルに見舞われ突如スローダウン。これによって谷口選手は5位にポジションを上げる。この時、4位の車両まで40秒以上、トップの888号車にいたっては約2分もの差が開いており、すぐ後ろに迫っているような状況。追いつくのは至難の業だ。

 218周目に8回目のピットインを行い、可夢偉選手へ。

 第9スティント、可夢偉選手もこれが最後のスティントとなる。アウトラップで下がった順位は226周目に5位に戻った。背後からは08号車がじりじりと差を詰めてきていたが、別のマシンとバトルが始まり、このスキにまた差を広げる事ができた。

 223周目、徐々に辺りが暗くなり、全車ライトオン。路面温度が下がってきたことで全車ペースが上がっていく。一時、後ろから44号車(Strakka Racing)のAMG GT3が1.8秒差まで迫るが可夢偉選手はこれを凌ぐ。

 238周目、レースは残り1時間半。5位を維持しているがこの時には既にトップの888号車にはラップダウンされていた。

 246周目、残り1時間で今回のレース最後のピットインを行いアンカーの片岡選手へ繋ぐ。

 第10スティント、このスティントでレースは終了する。今回唯一4回のスティントを走る片岡選手はチームとファンの期待を背負って6位でコースイン。前を走る911号車はまだピットインが残っている為、実質5位。

 鈴鹿サーキットは既に夕闇に覆われており、全車のライトと光るゼッケンプレートが帯となってコースを駆け抜ける。そこにサーキットからスタンドの観客に配布されたLEDペンライトの光と、スタンドの大屋根のライトアップ、更に鈴鹿のシンボルでもある観覧車のライトアップも浮かび上がり、幻想的な光景が広がる。

 残り45分、片岡選手は好調なペースで5位を走るが、3.8秒後ろにいる08号車は片岡選手を上回るペースで走行しており、差が徐々に縮まっていた。残り40分で2.8秒、残り37分で1.7秒、このまま追いつかれることは間違いない。

  260周目、ゴールまで残り32分。両車の差は遂に1秒を切り0.7秒、テールトゥーノーズ状態に。強烈なパッシングライトが真後ろから浴びせられ、片岡選手にプレッシャーがかかる。最高速に優れる08号車がストレートで襲いかかれば、コーナリングに優れる00号車はコーナーで逃げる。片岡選手は冷静にブロックラインを走り、08号車を苛立たせる。手に汗握るバトルが延々と続く。

 この時、00号車が日本勢で最上位だったこともあり、テレビカメラやレース実況がこのバトルの行方に注目した。これに呼応したグランドスタンドでは、観客のほぼ全員が配布されたペンライトの色を初音ミクのトレードマークでもある緑色に設定して声援を送った。巨大なスタンドが緑一色に輝く驚くべき光景が広がる。

 この光景はメインストレートを通過する片岡選手の目にも届いていた。その甲斐もあって、片岡選手は08号車の猛追を振り切り、00号車を5位のままゴールに運ぶことができた。上位4台に1周足りない275周でのゴールだった。

 Mercedes-AMG Team GOOD SMILEは、このレースで表彰台に乗る事こそ叶わなかったが、ワークスドライバーを多数擁する海外強豪チーム勢を相手に一歩も引くことなく戦い切り、5位という結果を残した。

 アジア人ドライバーが2人以上で構成されるチームが対象のアジア賞では1位を獲得した。

 特に、最後の1時間に繰り広げられた08号車との緊迫したバトルは、見る者に感動すら与えたとメディアから評された。

 昨年のSPAのリベンジを果たしたとまでは言えないが、チームの一歩前進した姿を見せる事ができたと言えよう。

メルセデスAMG・チーム・グッドスマイルの00号車メルセデスAMG GT3
マシンを下りて笑顔をみせる片岡龍也


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