■「夢のステージ」実現に向けた今後の課題は
一方、今後に向けての課題もある。まず気になるのは、実際にエントリーが集まるのかどうかだ。モビリティランドでは、参戦モチベーション向上を目指し総額1億円という賞金を用意した。ただ、国内のチームでも「シリーズ戦でないということは、出なくてもいい」とも言える。実際に10時間耐久ともなればコストも相応にかかり、車両への負担も出てくるだろう。これを上回るレースとしてのプレステージ性が重要なことは、ラテルも示唆している。
さらに、日程の面でも世界各国のシリーズ戦との協調が不可欠だ。SROとのパートナーシップによりその面では配慮がなされるだろうが、海外チーム車両の参戦には、コストが高い航空便での輸送がおそらく必須になるだろう。現在レース開催のスポンサー等も活動しているというが、こちらの確保も重要な課題だ。
また、スーパーGT300クラスのGT3車両やスーパー耐久ST-X車両は、GT3のレギュレーションどおり性能に関わる改造はできないものの、ホイールの変更やドライバー交代のサポート器具、パーツ等で日本独自の改良が細かな部分で認められているが、SRO主催のレースでは純正のものに戻さなければならないなど、細かなレギュレーションのすり合わせも必要となる。
「世界のGT3のシリーズ統一戦という夢のステージ(山下社長)」というレースは、いったいどんな姿で2018年に行われるのか。ラテルは「もちろんこの新しいレースも人気になるだろう」と期待を込める。
「なんと言っても日本で最も長距離のレースになるからね。アメリカでもデイトナ24時間、セブリング12時間、ヨーロッパでもニュルブルクリンク24時間、スパ24時間と、長距離レースは大変な成功を収めている。鈴鹿10時間も1000kmの歴史を繋いだまま、大きなレースになるだろう」