イギリス在住のフリーライター、マット・オクスリーのMotoGPコラム。開幕戦カタールGPでアプリリア、ホンダ、KTM、スズキの4メーカーがドゥカティ・デスモセディチGPのスイングアーム下部につけられたパーツについて抗議した。その抗議の理由とはなんだったのか。
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開幕戦カタールGPでのアンドレア・ドヴィツィオーゾの優勝は、MotoGPでの13回目の勝利だった。この数字には意味があるとも言えるし、ないとも言える。レース中、ファクトリー4チームが、FIM MotoGPスチュワード委員会に抗議した。
抗議の対象は、ドゥカティの“スイングアーム下部のデバイス”で、デスモセディチGP19に乗るドヴィツィオーゾ、ダニロ・ペトルッチ、ジャック・ミラーが使用していた。
抗議を行ったのはアプリリア、ホンダ、KTM、スズキだが、伝えられるところによると、抗議はドゥカティと同じイタリアのファクトリーであるアプリリアが主導したという。
唯一、ヤマハは抗議を見送った。なぜならヤマハは雨の影響があるレースにおいてリヤタイヤの水はけを良くするための、似たようなスイングアームのパーツを使用しているからだ。そして、ファクトリー4チームの抗議は却下された。
なぜ4つのファクトリーチームが抗議を行ったのか? 本当の疑問は、デスモセディチGP19のスイングアーム下部につけられた穴の空いたスコップ状のパーツが何を目的とされたものなのかということだろう。それは空力デバイスなのだろうか。それなら空力レギュレーションに準拠することになる。それともタイヤの冷却デバイスなのか?
ドゥカティが使用するスコップ状のパーツは、2019年2月のセパンオフィシャルテスト開始時に初めて登場したが、その時は3Dプリンターで出力された状態のものだった。開幕戦カタールGPでは、3台のデスモセディチGP19すべてにカーボンファイバーで作られたスコップ状のパーツが装着されていた。そのデバイスはフェアリング下部の空気の流れを捕らえ、リヤタイヤに向かって上方にそらしていた。
スコップ状のパーツはタイヤを冷却するか、ダウンフォースを生み出すか、もしくはその両方を行うのだろう。ドヴィツィオーゾはレースウイークのほとんどをスコップ状のパーツをつけずに走行していたが、ペトルッチとミラーのバイクから収集されたデータを見た彼とクルーは、レースにそれが必要だと確信したのだろう。