レース界のマニアック“ヘンタイ”カメラマンこと鈴木紳平氏がお届けする全日本ロードレース選手権ブログ。今回は、4月1日~3日に行われた2022年MFJ全日本ロードレース選手権第1戦もてぎの後編です。
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2022年MFJ全日本ロードレース選手権第1戦もてぎブログ前編では、開幕2連勝のYAMAHA FACTORY RACING TEAMのヤマハYZF-R1をお届けしました。後編では、ライバル勢の動向をお伝えしていきましょう。
まずは、CBR1000RR-RのJSB1000初勝利を目指すホンダ勢からいってみましょう。と、その前に、今シーズンのJSB1000ホンダCBR1000RR-Rを知るためには2022年の鈴鹿8耐に関して知らなければなりません。
関係者の話を総合すると、全日本ロード開幕戦時において、2022年の鈴鹿8耐は予定通りEWC第3戦として、8月7日に決勝を行い、日程の延期は行わない。現状EWC勢の入国に必要な日本政府によるビザ発給が最大の問題で、鈴鹿サーキットとしては、ギリギリまで新型コロナウイルス感染状況を見ながら日本政府及び関係省庁と折衝をしていくとのことです。
ただ、やはりビザの発給が認められない可能性は排除できず、その場合は全日本勢のみ2クラスで8時間耐久レースを開催する、ということも決定された模様です。
その理由は、多くの全日本勢が鈴鹿8耐に向けて準備を重ねていること、また全日本勢のみでの開催を決定することによって、EWC勢を招致するためのビザ交渉期限を1〜2カ月程度遅らせることが出来るというのも理由のようです。
全日本勢のみによる8時間耐久レースありきではなく、最終デッドラインギリギリまで鈴鹿8耐への道を模索したいと、鈴鹿サーキットは考えている様子です。
鈴鹿8耐の先にはMotoGP、F1日本GPが控えていることもあり、鈴鹿8耐がその道筋を示せるか否かがひとつの試金石となることは間違いないでしょう。今後の交渉の行方が注目される、パドックではそんな話を聞くことができました。
ここまでが開幕戦で入手したた2022年鈴鹿8耐の最新情報です。それでは、そんな背景を踏まえて、あらためて全日本ロードレース開幕戦ブログの後編、いってみましょう!
2022年仕様のホンダCBR1000RR-Rです。昨シーズンの最終戦時にはスプリント仕様の登場も聞かれましたが、開幕戦時は耐久仕様のままです。やはりホンダ勢の最大の目標はCBR1000RR-Rによる鈴鹿8耐制覇! ここにもその意思が示されていると感じます。シーズン途中には新車投入の噂も出ているので目が離せません。
燃料タンクもクイックチャージが付けられた耐久仕様のままとなっています。
フロントブレーキキャリパーもホースジョイント部がクイックリリース可能な耐久仕様になっています。
スイングアームに関しても昨シーズンからの変更はないようです。もちろんリヤタイヤのクイックチェンジ機構が備わっています。
ここからは、昨シーズンから好調の6号車Honda Suzuka Racing Teamのマシンを見ていきましょう。彼らのマシンは、ほぼスプリント仕様です。ここに速さの要因のひとつがあると考えていいと思います。まずは、独自に導入しているスイングアームを見てみましょう。
このスイングアームはスプリント仕様。YAMAHA FACTORY RACING TEAM同様に必要最小限の幅になっています。
Honda Suzuka Racing Teamの燃料タンクもスプリント仕様です。クイックチャージは装備しておらず、おそらく容量もスプリント仕様のままだと思われます。
メーター表示も見てみましょう。こちらはCBR1000RR-R純正を踏襲しています。
JSB1000クラスの中で唯一、リヤサスペンションにはスプリング部にカバーを装着。こういった雰囲気、好きです。
いかがだったでしょうか。基本的にはHonda Suzuka Racing Team以外は、昨シーズンから耐久仕様のまま正常進化しているホンダCBR1000RR-R JSB1000仕様です。おそらく、この耐久仕様のまま開発が行われていくものと思われ、それは同時に全日本ロードレースの中でYAMAHA FACTORY RACING TEAMをキャッチアップすることは、難しいということを意味します。
ただやはり最大の目標は“鈴鹿8耐制覇”! もうすぐするとHRCによる“8耐マシン”のテストも開始されると思われ、開発が加速していくことは間違いなさそうです。