日本郵便 HondaDream TPから全日本ロードレース選手権ST1000クラスにフルエントリーする高橋巧（日本郵便 HondaDream TP）が3月11日（土）に開幕戦の舞台となる栃木県・モビリティリゾートもてぎで2023年シーズン初ライドに臨んだ。
この日は、一般のスポーツ走行だが、開幕前ということで全日本組も数多く参加。ラップタイムで分かれているものの、J-GP3やST600とも混走になり、62台も出走。クリアラップを取るのは不可能という混雑した状況だったが、天気はよく日中は18度まで気温が上がる暖かい日となった。
もてぎをレーシングスピードで走るのは、2019年の開幕戦以来であり、今シーズンを戦うST1000仕様のホンダCBR1000RR-Rをライディングするのも初めてだけに慎重にマシンやタイヤ、サスペンションやブレーキのフィーリングを確認しながらペースを上げていくのだが……。
「走行台数が多かったので思うように確認はできませんでしたが、その中でも1本目、2本目とタイムも上げることができました。1分55秒台くらいで走ればいいかと思っていたのですが、レースラップを走ったくらいで1分51秒フラットまで出ていたので、このパッケージ初乗りにしては上々でした。想像以上に順調にいきすぎていたので“好事魔多し”と気をつけて3本目に臨んだのですが、無事に終わることはできませんでした」
この日、スポーツ走行は3本あり、それぞれ30分間と決して長くはない。1本目、2本目は、暖かかったが、3本目は16時30分からとなり、気温も下がり、冷たい風も吹き始めていた。コースインした巧は、感触を確かめながらアウトラップを終えると計測周に入る。1、2コーナー、3、4コーナーをクリアし、5コーナーを立ち上がるがファーストアンダーブリッジを過ぎ130Rで転倒を喫してしまう。
「3本目を走り出すと風が冷たかったのと、トラコンのあたり方が変わっていたので“コンディションはあまりよくないだろうな”と様子を見ていたのですが130Rに入ったところでバンクした瞬間にフロントがインに切れ込んでしまいました。戻ってくれないかな？ と思ったけれど、そのまま転倒してしまいました。グラベルに入ると何度も回転したので、バイクもダメージがありそうだと思いました。先頭でもなかったですし、周りに他のライダーもいたので攻めていたわけでもなかったのですが……」
幸い大きな怪我はなく右ひじを打撲したくらいだった。後方を走っていた小山知良が巧のつけたブラックマークを目撃しており、2、30メートルほどコースに残っていたと言う。
ある意味、洗礼を食らった初ライドとなったが、こうして新しいシーズンを迎えられることは、本当にうれしいと語る。
「去シーズンを終えた時点では今年レースができるか分からない状況でした。日本に戻り、4年前から日本郵便さんからのサポートをつないでくれていた手島（雄介）監督に相談すると、奔走してくれて走る体制を作ってくださいました。その恩に応えるためには結果で返すしかないと思っています。チームメイトの高橋裕紀選手は、初代ST1000チャンピオンですし、幼少の頃からの先輩ですし、ふたりでいいバトルをお見せすることが目標です」
まだ第一歩を踏み出したばかりの巧。激戦が予想されるST1000クラスだけに、開幕戦を終えた時点で自分の立ち位置が見えてくるはずだと言う。世界で揉まれて成長した走りは全日本ロードST1000クラスに刺激を与える存在になりそうだ。
