更新日: 2023.06.13 00:02
KTMS 2023スーパー耐久第2戦富士24時間 レースレポート
KTMS KOBE TOYOPET MOTOR SPORTS
ENEOSスーパー耐久シリーズ2023
第2戦 NAPAC 富士 SUPER TEC 24時間レース
2023年5月26日(金)〜5月28日(日)
富士スピードウェイ(静岡県)
入場者数:5月26日 5,000人
5月27日 22,200人
5月28日 19,800人
連覇を目指しスピードをみせるも
アクシデント、トラブルに泣く
FREE PRACTICE
スーパー耐久シリーズの2023年第1戦となった鈴鹿サーキットでのレースから約2ヶ月。シリーズ最大のイベントであり、2021年の悔しいレース、そして2022年の歓喜と、KTMSにとってさまざまな思い出が残る第2戦富士SUPER TEC 24時間レースの週末を迎えた。多くのチームが長丁場のレースに向けてゲストドライバーを招いているが、KTMSは今季ドライブする一條拳吾/荒川麟/奥住慈英/奥本隼士という若き4人の力で24時間走破に臨んだ。
そんな一戦は、これまでと違う要素があった。2023年第1戦鈴鹿まで、シリーズではハンコック製タイヤがコントロールタイヤとして使用されてきたが、3月に韓国で発生した大規模火災の影響で供給継続が困難に。今回のレースウイークから、ブリヂストンのスリックタイヤが使用されることになった。
チームは5月24日(水)のSTO専有走行からブリヂストンを履き、タイヤが変更されたことで生じたセットアップの修正を行っていった。4人のドライバーが交代しつつ初日の走行を締めくくると、5月25日(木)は午前、午後と2回の専有走行をこなし、こちらも4人が交代しながら走行。ドライバーたちのブリヂストンタイヤ評も良く、専有走行は全セッション首位、総合でも1分53秒147というベストタイムを記録し、最速で終えることになった。
しかし、25日夜に行われた夜間走行では、一條、荒川、奥住と交代しながら走行を重ねるも、四輪に駆動を伝えるためのトランスファーにトラブルが発生してしまい、この修復のために、夜を徹しての作業を強いられてしまった。
QUALIFY
迎えた5月26日(金)は、午後に公式予選が行われるスケジュールとなっていたが、前日のトラブルの修復がチームの想像以上に難航してしまう。午後0時からは公式予選がスタートしたが、一條が担当する予定だったAドライバー予選、さらに荒川が担当する予定だったBドライバー予選に出走することができず、KTMS GR YARISはST-2クラス、さらに1グループの最後尾から決勝レースを戦うことが決まってしまった。
トラブルの修復はその後も続けられ、Cドライバーの奥住もアタックをすることができなかったが、Dドライバー予選の奥本が出走する前に修復が完了。1分54秒854というタイムを記録し、ST-2クラスのトップにつけることができた。トラブルも問題がなさそうで、翌日の長い決勝レースでの巻き返しに期待を繋げることになった。
RACE
迎えた5月27日(土)午後3時からの決勝レース。KTMS GR YARISは、一條がステアリングを握り長い24時間レースのスタートに臨んだ。序盤、一條は快調なペースでポジションを上げていくと、4周目にST-2クラスのトップに浮上。ただKTMSは600秒のAドライバー規定のペナルティストップもこなさなければならない。ライバルでもある#13 GR YARISが序盤すぐにピットインしペナルティをこなした一方、一條も開始から1時間過ぎにペナルティを消化。10分を追い上げる戦いが始まった。
しかし、そこからKTMS GR YARISは快調にラップを重ねていった。少しずつ追い上げ、トップがふたたび見えはじめていたが、そんななか奥住がドライブしていた午後8時前、ブレーキング時の振動を訴え、緊急ピットインを行う。ただ、調べてみると大きなトラブルはなく、原因はホイール内にタイヤカスが溜まったというもの。チームはタイヤ交換、さらに対策を施しふたたび追い上げをスタートさせた。直後にはダンロップコーナーでのクラッシュでセーフティカーが出動するなど、レースは波乱含みとなっていった。
ただ長い24時間レースだけに、KTMSにもトラブルは続いた。今度は日付けが代わった午前1時前、奥本がドライブ中に1コーナーで他車と接触。ちょうどそのタイミングでコース上で発生した火災の影響によるセーフティカーランがあったことから、チェックのためにピットインを実施。ふたたび走行をスタートさせた。
スタートから12時間30分ごろには、今度はダンロップコーナーで起きたアクシデントの影響でガードレール補修が必要になったことから赤旗中断となったが、再開後もKTMS GR YARISの全体的なアベレージは良好で、ライバルたちのトラブルもありトップに立つと、リードを広げていった。
しかし午前10時すぎ、最終コーナーでST-X車両がスピンから復帰しようとした際に、一條がドライブしていたKTMS GR YARISにヒットしてしまうアクシデントが起きた。深刻なダメージではなかったことから、チェック後コースに戻るが、そこからKTMS GT YARISは重大なトラブルに見舞われていってしまう。
一條から、4速、5速に入らないという無線が飛ぶ。ピットイン後に確認を行ったが、すぐに直せるものではない。ここでトップを#13 GR YARISに譲ってしまったが、荒川に3速と6速で走るように指示を出し送り出していった。荒川は難しい状況下、トラブルがあるとは思えない走りをみせ、ふたたび#13 GR YARISとのギャップを縮めていった。
しかし奥住に交代した後、午後1時24分にふたたびKTMS GR YARISはピットに戻らざるを得なくなってしまった。ついにギアが6速にスタックしてしまったのだ。ただ、チェッカーを受け完走扱いとなれば、ポイントを得ることができる。チームは午後3時のチェッカー目前、ふたたび一條にステアリングを託しコースイン。なんとか4位でレースを終えた。
富士24時間の連覇を目指し、週末を通じてたしかなスピードがあったKTMS GR YARISだったが、その速さゆえだったのか、トラブルに泣かされ連覇の夢は経たれることになった。KTMSは第1戦、第2戦の悔しさを胸に捲土重来を目指し、第3戦SUGOに臨む。
DRIVER’S VOICE
一條 拳吾 KENGO ICHIJO
クルマは週末を通じてすごく調子が良くて、ロングランにもすごく自信がありました。ブリヂストンタイヤとのマッチングも良かったですし、予選までにトラブルもありつつつも、メカニックの皆さんは大変でしたが重症ではなかったので、決勝にはやはり自信があっただけに今回の結果はすごく残念ですね。僕個人としては、2年前の“忘れ物”をとりにいくつもりで、最高の結果が見えていただけに悔しいです。逆に言えば、まだまだ甘くないのだと痛感したので、努力していきたいです。クルマもしっかり直して、次戦SUGOは無難にリベンジできるようにしたいですね。
荒川 麟 RIN ARAKAWA
レースウイークを通じて速さがありましたし、ドライバーが4人とも気を遣いながらクルマを労って戦ってきたので、こういう結果になってしまったのは仕方がないことだと思います。途中、4速、5速を失ってからドライブするタイミングがありましたが、『乗れたもんじゃない』とも感じつつ、それでもタイムが出ていたので、それくらいクルマの仕上がりが良かったんだと思っています。今回は本当にトラブルが多かったですね。次戦はスポーツランドSUGOでのレースとなりますが、今回得たことをちゃんと活かして優勝できるように頑張りたいと思っています。
奥住 慈英 JIEI OKUZUMI
開幕戦と同じ感想になってしまいますが、悔しい以外ないですね。速さという面では誰も何も言えないくらいのスピードはありましたが、強さの面ではまた違ったように感じます。トラブルが悪いというのではなく、噛み合わない印象がありました。途中までは勝てると思っていただけに、レースは何があるか分かりませんね。昨年KTMSで優勝した平良響選手は今年総合優勝なので、そういうところもあるんだと思います。今年はまだしっかりチェッカーを受けられていないので、第3戦ではしっかり完走したいです。そうすれば結果もついてくると思っています。
奥本 隼士 Shunji Okumoto
第1戦では僕のスティントでトラブルが出て悔しい思いをしていたので、今回は勝ちたかったですし、何より完走したかったです。決勝レースはとにかく安全に走りましたし、専有走行や予選でもトラブルが出ましたが、メカニックの皆さんが大変な思いをして直してくれました。僕自身も決勝レースは気持ちを込めて走ったつもりです。結果的にはまたトラブルが出て4位だったので、次戦に向けた気持ちが強いです。個人的には初めての24時間レースで夜の走行も初めてでしたが、すごく新鮮でしたし、毎戦発見が多いですね。ありがたい経験を積ませていただいています。