11月25日、2023年FIA F2第14戦スプリントレース(決勝レース1)が、アブダビのヤス・マリーナ・サーキットで開催され、フレデリック・ベスティ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)が今季6勝目を飾った。レッドブル&ホンダ育成の岩佐歩夢(ダムス)は8位となった。
今季最後のスプリントレースのグリッドは、24日に行われた予選トップ10のリバースグリッドで決定され、10番手タイムを記録したエンツォ・フィッティパルディ(ロダン・カーリン/レッドブル育成)となった。
2番グリッドにはシリーズランキング2位につけ、逆転タイトルの可能性も残すベスティ、3番グリッドにアイザック・ハジャル(ハイテック・パルスエイト/レッドブル育成)、4番グリッドにリチャード・フェルシュフォー(ファン・アメルスフォールト・レーシング)が続いた。
5番グリッドにデニス・ハウガー(MPモータースポーツ/レッドブル育成)が続き、ランキング3位につける岩佐は6番手から。一方、結果次第ではこのスプリントレース終了時点でタイトル決定の可能性もあるランキングトップのテオ・プルシェール(ARTグランプリ/ザウバー育成)は後方14番手からスタートを迎えた。
現地時間16時20分よりフォーメーションラップがスタート。快晴のもと気温28度、路面温度37度となるなか、タイヤ交換義務のない23周のスプリントレースはグリーンフラッグを迎えた。
抜群の蹴り出し見せたのはフロントロウスタートのベスティ。フィッティパルディとサイド・バイ・サイドでターン1〜2を通過するが、ここはフィッティパルディが死守。
ただ、後方ではファン・マヌエル・コレア(ファン・アメルスフォールト・レーシング)がビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)の追突を受けスピン。コース上にマシンを止め、オープニングラップ終了前にセーフティカー(SC)導入となる。
その後方ではアーサー・ルクレール(ダムス/フェラーリ育成)がエンジンストールからグリッドから動けず。一時はピットに戻されるが、SC中にエンジンを再始動。隊列の最後尾に合流した。
なお、SC導入直前にはターン6飛び込みのブレーキング勝負でハジャルが2番手に浮上。フィッティパルディ、ハジャル、フェルシュフォー、ベスティ、ハウガー、岩佐、ジャック・ドゥーハン(インビクタ・ビルトゥジ・レーシング/アルピーヌ育成)、クッシュ・マイニ(カンポス・レーシング/アルピーヌ育成)というトップ8で、6周目のリスタートを迎えた。
リスタート直後のターン6飛び込みでベスティがフェルシュフォーをかわし3番手に浮上。そのベスティに対し、チームからファステストを狙うように指示が飛ぶ。同じくターン6では岩佐とドゥーハンの6番手争いも白熱するが、ここは岩佐がポジションを死守。しかし、その翌周の7周目にかわされ、岩佐は7番手に後退。ドゥーハンが6番手に浮上する。
そして14番手スタートのプルシェールはスタート早々から大きくポジションを上げ、8周目には8番手まで浮上し、岩佐の背中を追う。プルシェールは9周目のターン6で岩佐に揺さぶりをかけると、ターン9で先行。これで岩佐は8番手に後退する。
3番手ベスティは10周目のターン9でハジャルを攻略し2番手に浮上するが、この時点で首位フィッティパルディとは2.5秒離れていた。ただ、この10周目にベスティは1分39秒137をマークしこの時点でのファステストを記録。フィッティパルディとの間合いをじわりと縮める。13周目、ターン9進入でフェルシュフォーがハジャルを攻略し3番手に浮上するが、その時点でベスティとのギャップは3.6秒開いていた。
レースも後半を迎えた15周目、フィッティパルディとベスティが1.4秒差まで接近。17周目にはベスティがフィッティパルディのDRS圏内に入る。しかし、両車ともにタイヤのデグラデーション(性能劣化)が進んでおり、ベスティはDRSを用いつつも、フィッティパルディをなかなかかわすことはできない。一時はベスティ優勢かと思われた首位争いだったが、クリーンエアを得られるフィッティパルディは自己ベストを更新する走りでベスティを寄せ付けない。
しかし、20周目のターン5でフィッティパルディがわずかにブレーキロック。続くストレートエンドのターン6でベスティがトップに浮上する。また、その後方では4番手争いも白熱。21周目にはハジャルを先頭にハウガー、ドゥーハン、プルシェールが数珠繋ぎとなり、岩佐もその隊列に徐々に近づくが順位アップには至らず。
ファイナルラップとなった23周目を終え、トップチェッカーを受けたベスティが今季6勝目を飾った。2位にフィッティパルディ、3位にフェルシュフォーが続いた。最後まで接戦が続いた4位争いは、ファイナルラップのターン9立ち上がりでハジャルをかわしたハウガーが掴んだ。なお、ハウガーは2023年シーズンをもってレッドブル育成を離れることを明らかにしており、ハジャルをかわし意地を見せたかたちだ。5位ハジャル、6位ドゥーハン、7位プルシェール、8位岩佐までがポイント獲得となった。
ベスティは優勝の10点、ファステストラップポイントの1点の合計11点を獲得し合計177点に。プルシェールが7位、2ポイント獲得で合計193点にとどまったことで、2名の差は16点、シリーズタイトル決定はフィーチャーレース(決勝レース2)に持ち越されることとなった。なお、岩佐とランキング4位のドゥーハンの差は10点差に縮まっているが、ランキング5位マルタンスがノーポイントに終わったことで、岩佐はマルタンスとのポイント差を22点に広げている。
続く、フィーチャーレース(決勝レース2)は11月26日(日)の現地時間13時15分(日本時間18時15分)から、タイヤ交換義務を有する周回数33周で争われ、岩佐は5番手から、ベスティは9番手から、そしてプルシェールは14番手からスタートを迎える。
激戦が繰り広げられたFIA F2の2023年シーズンは、どのような結末を迎えるだろうか。
■2023年FIA F2第14戦ヤス・マリーナ
スプリントレース(決勝レース1)正式結果
Pos. | No. | Driver | Team | Time/Gap |
---|---|---|---|---|
1 | 7 | F.ベスティ | プレマ・レーシング | 42’24.624 |
2 | 4 | E.フィッティパルディ | ロダン・カーリン | 3.893 |
3 | 22 | R.フェルシュフォー | ファン・アメルスフォールト・レーシング | 6.310 |
4 | 1 | D.ハウガー | MPモータースポーツ | 13.682 |
5 | 10 | I.ハジャル | ハイテック・パルスエイト | 14.440 |
6 | 14 | J.ドゥーハン | インビクタ・ビルトゥジ・レーシング | 14.713 |
7 | 5 | T.プルシェール | ARTグランプリ | 15.228 |
8 | 11 | 岩佐歩夢 | ダムス | 16.508 |
9 | 3 | Z.マロニー | ロダン・カーリン | 17.573 |
10 | 8 | O.ベアマン | プレマ・レーシング | 19.810 |
11 | 20 | R.スタネ | トライデント | 22.690 |
12 | 9 | J.クロフォード | ハイテック・パルスエイト | 26.673 |
13 | 24 | K.マイニ | カンポス・レーシング | 26.720 |
14 | 16 | R.ニッサニー | PHMレーシング・バイ・チャロウズ | 27.309 |
15 | 17 | J.メイソン | PHMレーシング・バイ・チャロウズ | 33.640 |
16 | 21 | P.アーロン | トライデント | 37.040 |
17 | 15 | A.コルデール | インビクタ・ビルトゥジ・レーシング | 37.842 |
18 | 25 | R.ボシュング | カンポス・レーシング | 41.833 |
19 | 2 | F.コラピント | MPモータースポーツ | 43.806 |
20 | 6 | V.マルタンス | ARTグランプリ | 47.128 |
21 | 12 | A.ルクレール | ダムス | 48.688 |
– | 23 | J.コレア | ファン・アメルスフォールト・レーシング | DNF |
・全体ファステストラップ:ビクトール・マルタンス 1分38秒722(14/23)
・ファステストラップポイント対象:フレデリック・ベスティ 1分38秒992(12/23)
・ペナルティ:
アーサー・ルクレール:10秒のタイムペナルティ/セーフティカー先導中の追い越し
クッシュ・マイニ:5秒のタイムペナルティ/衝突原因