第64回マカオグランプリは11月16日、ギア・サーキットでFIA F3ワールドカップの予選1回目が行われたが、この走行開始直後にサンフランシスコ・ベンドでクラッシュしてしまったDRAGON(B-Max Racing Team)が、左手の薬指を骨折してしまい、ドクターストップがかかってしまった。
B-Max Racing Teamの代表としても長年マカオグランプリを大きな目標としていたDRAGONは、長年全日本F3選手権に挑戦し、今季はF3-Nで悲願のチャンピオン獲得を達成。さらに終盤2ラウンドではJ項車両に乗り換え、目標としていたマカオグランプリのFIA F3ワールドカップ出場を果たしていた。
しかし、フリープラクティス1ではトラブルもあり、7周の周回に留まり2分30秒009というベストタイムに。さらに、終盤にはモーリッシュヒル・ベンドでアウト側のバリアにクラッシュ。ノーズコーンを破損してしまった。
午後の予選では、ノーズを新しいものに変えコースインするも、サンフランシスコ・ベンドでふたたびバリアにクラッシュ。マシン自体は大きなダメージは負わなかったものの、クラッシュの衝撃で左手の薬指を骨折してしまった。バリアに接触する瞬間に手を離したというDRAGONだが、ステアリングに薬指が引っかかってしまったがための骨折だという。
これで残念ながら、ドライバーとしての挑戦はわずか1日で終わることになってしまった。「結果的には自分がクラッシュしたのが原因なので悔しいですが、いい経験になりましたし、肌で感じることができたので、自分の夢の達成としては良かったと思います」とDRAGON。
「でも、これでめげて『もう出たくない』とはなりませんでした。また来年出たいと思いましたね。速い、遅いは別として、もう少し周回したかったです」
1967年生まれのDRAGONは、今年50歳。レースデビューは遅かったが、体を鍛え研鑽を重ね、若手に負けない速さを身につけ、今季夢のマカオに挑戦していた。だからこそ自身は負傷後も明るく振る舞っていたが、周囲のチームメイトや、ほかの日本人ドライバーたちも大いに心配し、残念な表情を浮かべていた。
「今日、関口(雄飛)が6番手で、チームとしてもこれまでの最上位につけていますからね。明日は“観る側”に戻ります」と明日はふたたび、“チーム代表・組田龍司”に戻るDRAGONは語ってくれた。