―― メカニカルな開発だけでなく、そうしたビジネス面といったいろいろなステップを経て今日に至ったわけですが、そもそもなぜFEに参戦することになったのですか?

「ニッサンは電気自動車(EV)の世界的なセールスリーダーだからです。ですから、モータースポーツにおいてもそれを活用し訴求したいと考えたからです。会社全体のEV事業計画の一環としての決定です」

「当社には『ニッサン・リーフ』という誰もが購入できるアイコン(ニッサンEVの象徴)があるのです。そのことを、より多くのみなさんに訴求したいと考えています」

「また技術面でも、我々の持っているEVに関するユニークなノウハウをレースに活かすことができると考えたのです。そしてもちろん、モータースポーツからも学ぶものはあり、それを量産車にも活かしていきます。会社としての方針、技術の方向性とモータースポーツ活動がマッチしたプロジェクトなのです」

―― とはいえ、ピットには日本人のエンジニアがいらっしゃらないようです。FEのプロジェクトには、どんな分野で、どのくらい日本のニッサンとニスモが関与していのですか?

「レースオペレーション(チーム運営)に関しては、e.ダムスのこれまでの経験を活用するとともに、経験あるスタッフを確保しています。一方、(日本の)ニッサンおよびニスモはスーパーGTなど、既に多くのカテゴリーに参戦しています。従って、チームの拠点はヨーロッパに置いています」

「開発に関してはニッサンとe.ダムスとの間で情報交換を行っています。我々はEVの量産車メーカーとして、FEの開発にフィードバックできる知識を持っています。例えばソフトウェア。FEで重要な(電気)エネルギーの制御に関しては、非常に豊富なノウハウの蓄積があり、それをレースカーの開発に役立てます」

―― 日本人のエンジニアは、具体的に何人ぐらい関わっているのですか?

「製造業に携わる企業の多くが同じだと思いますが、開発プロジェクトについては生産車、レーシングカーを問わず、いかなる数字も開示していません」

「ただ、人材に関して言えるとすれば、(グローバルに)ニッサンのベストなエンジニアを最適なポジションに活用しています。ニッサンのようなグローバル企業にとっては、それがとても大きな力になるのです」

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 開発からチーム運営まで、グループ全体を挙げて取り組むのが今の“ニッサンワークス”の姿ということらしい。
 
 モータースポーツに限らず、すべてがグローバル化した現代、ナショナリズムよりもダイバーシティ(多様化)で勝負するニッサンが、アウディ、BMW、DS(プジョー・シトロエングループ)などの欧州勢とどう戦うかを楽しみにしたい。

ニッサンとセバスチャン・ブエミは10月16~19日にバレンシアで行われたフォーミュラE公式プレシーズンに参加。最終日にはオリバー・ローランドもこれに加わった
セバスチャン・ブエミのドライブでスペインのバレンシア・サーキットを走行するニッサンIM01
セバスチャン・ブエミのドライブでスペインのバレンシア・サーキットを走行するニッサンIM01

本日のレースクイーン

RiOりお
2025年 / スーパー耐久
raffinee μ's
  • auto sport ch by autosport web

    FORMATION LAP Produced by autosport

    トランポドライバーの超絶技【最難関は最初にやってくる】FORMATION LAP Produced by auto sport

  • auto sport

    auto sport 2026年1月号 No.1615

    ネクスト・フォーミュラ 2026
    F1からカートまで
    “次世代シングルシーター”に胸騒ぎ

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円