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海外レース他 ニュース

投稿日: 2020.03.14 13:10

インディ11年目に挑む佐藤琢磨。新型コロナによる開幕4戦の中止に「得意なコースが多い序盤のレースがなくなり残念」

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海外レース他 | インディ11年目に挑む佐藤琢磨。新型コロナによる開幕4戦の中止に「得意なコースが多い序盤のレースがなくなり残念」

 新型コロナウイルスの世界的な拡散は、アメリカにも大きな影響を及ぼした。

 NTTインディカー・シリーズの開幕戦は毎年恒例のセント・ピータースバーグで行われる予定だった。MotoGPやWEC世界耐久選手権、そしてF1までもがレースの延期・中止を発表する中で、インディカーはレースウイークの水曜まで予定通り開催すると宣言し、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングから11年目のインディカー・シリーズに挑む佐藤琢磨も現地入りしていた。

 木曜日の朝にはセント・ピータースバーグの市街地コースをチームメイトのグラハム・レイホールと視察に出るなど用意周到に準備をしていた。

コーストラックを視察する佐藤琢磨。デイルコインのS.フェルッチらと談笑する
コーストラックを視察する佐藤琢磨。デイルコインのS.フェルッチらと談笑する

グラハム・レイホールを隣に乗せコースを視察する佐藤琢磨
グラハム・レイホールを隣に乗せコースを視察する佐藤琢磨

 琢磨のレイホール・レターマン・ラニガンだけでなく、全チームが2020年の開幕に備えて準備している中で、インディカーは主催者、そしてセント・ピータースバーグ市とともに協議を重ねていた。

 前日にWHOが新型コロナウイルスのパンデミックの発表。コロナウイルスの脅威はアメリカでも日増しに高まり、他のカテゴリーもどんどんと延期、中止を発表しており、木曜日の午後にはついに無観客でレースをすることをセント・ピータースバーグ市長が発表した。

またタイムスケジュールも大幅に変更され3デイの予定を2デイに変更し、オートグラフセッションやドライバーズパレードなど一切のアクティビティをナシとしていた。

 この事態を受けて琢磨は自らのSNSを通じて、レースの変更と開幕前の様子を訴えていた。

「セント・ピータースバーグのレースは世界的な今の状況と、ファンとインディ関係者、すべての人の健康に万全を期すためにスケジュールを2日間に短縮し、無観客でのレースとなりました。他の世界選手権の多くが中止となる中で、レースが出来るだけ良しとしなければいけないのかもしれません……」

 さすがに晴れ晴れとした表情とは言い難かったが、まずは開幕のレースを戦うべく準備に余念がなかった。

「冬の2回のテストは上出来とは言えませんでしたが、それなりに取れたデータの中でポジティブな要素もありましたから、それをどうレースに反映していこうか、エンジニアたちともいろいろと相談してました」

「2デイになってプラクティスがひとつ少なくなって、残念でしたが、そこはインディカー11年の経験を生かして(笑)、なんとかしたいですね」

 無観客レースの発表があってから、パッドク内のアクセスは厳重となった。金曜日の朝には関係者全員パドックの入り口で、スクリーニング(体調の確認と問診票の提出)とリストバントの装着など徹底した管理体制となり、メディアは個別のドライバーへのインタビューも一切禁止された。

 金曜日は朝からサポートレースがコースを走り始めていたが、突然セッションが中止となり、全車がパドックに引き上げていく。

 そして正午前にインディカーから、このレースの中止が正式に発表になった。インディカーは一度もセント・ピータースバーグのピットレーンに姿を見せることなく、サーキットから去ることになってしまったのだ。

 無観客レースを発表してから24時間も経たないうちにレースキャンセルという事態となったが、その日の午後にはドナルド・トランプ大統領が非常事態宣言を発令しており、インディカーだけでなく、NBA、MLB、NHL、ゴルフなどすべてのスポーツが活動を中止、さらにはディズニーランドの閉園や演劇の中止など、瞬く間にすべてのアメリカでの活動が止まっていった。

 キャンセルの発表には、セント・ピータースバーグに加えて、アラバマ、ロングビーチ、COTAの4戦のキャンセルも合わせて発表。インディカーは4月いっぱいのレースはすべて中止となった。(後にロングビーチは延期を模索中と発表)。

 琢磨にとってもこれは晴天の霹靂。特にセント・ピータースバーグ、アラバマ、ロングビーチと優勝やポールポジションを獲得しているコースでのレースがなくなってしまったのだ。

「今の世界的な状況と、レースに来るファンの人たち、関係者の健康と安全を守るための判断ですし、残念ですけどもこれは受け入れたいと思います。僕も楽しみにしていましたし、得意なコースが多い開幕序盤のレースがなくなってしまうのは本当に残念」

「インディカーは5月の再開を目指しているようですし、まだどうなるかわかりませんが、この状況が一日も早く良くなるように願うばかりです。この後はアメリカに残っていますし、テストのスケジュールもどうなるかわかりません。シミュレーターなどの機会が増えるかもしれませんが、再開した時のために万全の準備をして、何より健康を維持しておくようにしたいと思います」

 琢磨にとって11年目のインディカーは、今は行き先の見えない状態となってしまったが、一刻も早くサーキットに戻ってきてくれることを願うばかりだ。


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