■TOYO TIRESが1年ぶりにニュル上陸。Novel Racing、RING RACINGと共に24時間耐久レースに挑む
第49回ADAC・トタル24時間レース(ニュルブルクリンク24時間耐久レース)は、2021年6月3日〜6日にかけて争われた。
2020年、TOYO TIRESは10年ぶりにニュルブルクリンク24時間耐久レースへと返ってきた。2021年も引き続き、レースプロジェクトを担うNovel Racingと、ニュル近郊にファクトリーを構えるRING RACINGと手を結び、『Novel Racing with TOYO TIRES by RING RACING』として参戦した。
復帰初年度は、大雨による長時間のレース中断をはじめとした数々の困難に見舞われ、痛烈な“ニュルの洗礼”を受けた。レース後、TOYO TIRESモータースポーツチームスタッフは収集したデータを基に、2021年に向けた開発プログラムの強化を決定。その一環として、RING RACINGが所有するトヨタGRスープラを日本へ空輸。ドイツだけでなく日本でもレース本番車両を用いたテストを重ねた。
日本で現地からのデータを受け取って分析する開発チームは、二度目の“本番”を前に意気込みを語った。「ニュルは、世界のどのサーキットよりも過酷で、路面や気候の変化が激しいコースです。昨年の経験やデータを基に、今年はさまざまな天候の変化を想定したタイヤを数種類用意しています」
今年のニュル24時間には、『Novel Racing with TOYO TIRES by RING RACING』から2台が出場した。1台目は、SP10クラスにエントリーする72号車トヨタGRスープラGT4。ドライバーは東 徹次郎、ミヒャエル・ティッシュナー、ハイコ・テーゲス、朝日ターボが揃った。
2台目は、SP8クラスにエントリーする54号車レクサスRC Fだ。こちらのマシンには、ダブルエントリーで朝日ターボが乗り込むほか、松井猛敏、クラウス・フェルカー、ヴィルヘルム・ヴァイリッヒが加わった。
Novel Racingの渡邊 卓代表は、「コロナ禍でドイツへ入国することも容易ではないなか、無事にニュルへ戻って来られたことに大きな喜びを感じています。1年かけて準備してきた成果を存分に発揮したい」と、2年目の飛躍を誓った。
一方、コロナ禍の渡航制限の問題で、TOYO TIRES商品開発グループのエンジニアやモータースポーツチームのスタッフは、今年も現地へ赴くことをあきらめざるを得なかった。サーキットでチームをサポートするのは、ドイツ駐在のTOYO TIRES 欧州R&Dセンターの商品開発メンバーだ。
日本とドイツで約8時間の時差があるなか、日本のTOYO TIRESモータースポーツチームはピット内に設置されたライブカメラの映像でレースを見守りながら、現地スタッフとチームのアシストにあたることとなった。
TOYO TIRES 欧州R&Dセンターの商品開発メンバーは昨年、ニュル24時間の厳しさを改めて思い知った。「プロジェクト初年度の昨年は、TOYO TIRESの現状を把握することから始めました。我々が休止していた10年の間に、ライバルである他メーカーに対して、技術レベルに差がついてしまったことは否めません。このニュルですぐに結果を出すのは不可能です。それよりも、ロングスパンで継続して、着実に成長することが大切だと痛感しています。2年目の今年は、完走することが第一目標です」