3月19〜20日、いよいよ2022年のFIA F2がバーレーン・インターナショナル・サーキットで開幕した。F1挑戦を目指し、今季は実績あるビルトゥジ・レーシングに移籍した佐藤万璃音は、オフのテストで好感触を得ていたものの、バーレーンでは流れをつかむことができず悔しい開幕となった。
2019年途中からFIA F2参戦を果たし、2022年はフル参戦3年目となる万璃音。トップチームのひとつであるビルトゥジ・レーシングに移籍した今季は、オフシーズンのテストで好感触を掴んでおり、バーレーンでの事前テストでも6番手タイムをマークするなど、自信をもって開幕戦に臨んでいた。
迎えた3月18日のフリー走行では、マシンのベースセットアップの確認と予選に向けてのシミュレーションを予定どおり消化し、大きな不安を抱えることなくセッションを終了する。しかし予選はサーキット全体が強風に見舞われ、頻繁に変化する風向きが不確定な要素となってしまい、アタックラップの前半で大きくタイムロス。中盤から後半にかけてのセクタータイムではトップ5に入れたものの、総合では14番手に沈んでしまった。
決勝レース1は、23周で争われるスプリントレース。予選の上位10台がリバースグリッドでのスタートとなり、タイヤはプライムとオプションを選択できるが、万璃音はテスト時からタイヤマネージメントに優れており、スタート時間が夕刻で路面温度22.6℃と高くないことから、迷わずオプションを選択した。
14番手から切ったスタートではひとつポジションを落としたが、すぐに挽回。3周目にアクシデントでセーフティカーが入り、5周目にリスタートした時点で13番手とポジションを上げが、レース中盤からはペースが上がらず、最終的に15位でチェッカーを受けた。
日曜のレース2は35周。路面温度44℃と前日とは異なるコンディションのなか、プライムでスタートした万璃音はスタートに失敗し、18番手までポジションダウン。途中、セーフティカーが出たこともあり、気を取り直して着実にポジションを上げ、10周目に17番手、11周目に16番手、12周目に15番手、13周目に13番手、14周目には7番手までポジションを上げて15周目にタイヤ交換のためピットイン。大きなタイムロスをすることなく20番手でレースに復帰し、ふたたび追い上げを開始した。
レース終盤、時には4ワイドの熾烈な戦いを繰り広げつつ10番手までポジションを上げたが、28周目に万璃音にとってはタイミングの悪いセーフティカーが導入され、再度タイヤ交換をしてフレッシュな状況で追い上げていた後続との差が無くなってしまい万事休す。残り2周でレースが再開されたが、再スタート後はポジションを守り切れず、12位チェッカーとなった。
「シーズン前のテストから好感触が得られていただけに、残念な週末でした。フリー走行は順調だったのですが、予選の強風のおかげでアタックラップの前半パートがうまくいかず14番手に埋もれてしまいました。大きなミスはしていなかったし、しっかりと走れていれば7番手はいけたはずなので、レース1に向けて攻めたセットアップにトライしました」と万璃音。
「しかしそれが完全に裏目に出てしまい、タイヤがまったくもたなくて、現実には最悪の結果となってしまいました。それでもチームはひと晩の間に頑張って新たなセットアップを見出してくれて、レース2は大きな進歩がありました。スタートでホイールスピンをさせ過ぎてポジションを落としてしまいましたが、プライムでできる限り引っ張れば、オプションのタイムはかなり良いペースなので入賞は固いと思っていました」
「かなり耐えてタイヤマネージメントに集中して、オプションに交換してから何台もオーバーテイクし、4台まとめて抜きにかかったりしたのですが、セーフティカーが最悪のタイミングで出てしまい、自分より新しいタイヤで走っている後続が追いついてしまったので、再スタートで抑えきることができませんでした」
期待が大きかっただけに悔しいレースとなった万璃音は「今週末は自分たちの週末ではなかったですね。でも学んだこともたくさんありますし、チームが自分のためにとても頑張ってくれたのも嬉しかったです。来週のサウジアラビアに向けて今晩の夜中の飛行機で移動します。サウジアラビアはどちらかと言えば好きではないサーキットですが、チームメイトに負けないように頑張っていきたいと思います」とすぐに迫る第2戦に向け、気持ちを新たにした。
