更新日: 2018.02.16 11:01
フレンツェン、シューマッハーとの長い関係を語る
ドイツのZDF局で8月29日に放送された人気のトークショー番組『マルクス・ランツ』に、元F1ドライバーのハインツ-ハラルド・フレンツェンが出演し、親友であったロランド・ラッツェンバーガー、そして長年のライバルであるミハエル・シューマッハーについて語った。
トークショーに出演したフレンツェンに対し、まず質問が飛んだのが、F1デビューイヤーである1994年の出来事。日本では多くのレースで活躍し、当時から多くの外国人ドライバーと親交があったフレンツェン。1994年にはロランド・ラッツェンバーガーとともに日本からF1にステップアップしたが、フレンツェンにとってラッツェンバーガーはとても気が合い、公私ともに良きライバルであり、良き友であったという。
しかし、94年サンマリノGPでラッツェンバーガーは事故死。フレンツェンにとって、「金曜日のフリープラクティスの日まで、いつも通りに仲良くパドックで立ち話をしていた親友が、突如この世から姿を消してしまったショックは言葉では言い表せないものだった」という。フレンツェンは、「親友の死を目の当たりにしながらもコクピットに納まり、亡くなった場所でレースを続けなければならなかった苦悩は、今でも胸を締め付けられる思いだ」と番組内で語った。
この『呪われた週末』はルーベンス・バリチェロがクラッシュにより一時意識不明に、さらに決勝ではアイルトン・セナが事故死。「レースに出ることに対して、あれほど恐怖と不安を感じたことはない」と当時を振り返ったフレンツェン。「あのサンマリノGPは、私のF1キャリアの中で最も辛く悲しいレースだった。今でも鮮明に、あの時のポールポジションに立つセナの姿を覚えている」と94年を思い出し、声を落とす場面も。
一方、番組ではレーシングカート時代からのライバルであり、今週末のベルギーGPで300戦目を迎えるミハエル・シューマッハーについても質問が飛んだ。フレンツェンは、シューマッハーが以前から「『レース以外の生活は考えられない。人生の中のすべてをレースが占めている』と言い続けていた」とシューマッハーを評する。
「F1にカムバックしたからには、再びワールドチャンピオンになること以外は目標としていないだろうし、まわりもそれを期待している。しかしそのプレッシャーは、一度引退する前よりも大きいと思う。彼のスピードは失われてはいないはずなので、あとはそのプレッシャーとの戦いなんじゃないかな」
以前からシューマッハーと比較される存在だったというフレンツェンは、「ミハエルと違って、僕はこのとおりボンヤリしているからね」と自他ともに認める天然キャラでスタジオの観客が沸かせ、「何年もずっと比較されたり、シューマッハーに関しての質問をされることに関して、正直気分を害する事はないのですか?」という司会者の質問に対しても、「どういうコメントをするか、何を言って良いのかに気を付けているからね。特に今は、世界中のメディアからF1に復帰したミハエルに関しての質問が多い。例えば、F1ドライバーとしての彼の年齢に関してだとか」と答える。
いまだにF1で活躍するシューマッハーとは異なり、今季はドイツ国内のADAC GTマスターズに参戦し、シボレー・コルベットZ06Rを駆りレースをエンジョイするフレンツェン。「自分はもう年金生活者だよ」と笑いながら、「F1時代のような重圧からは解放され、心からエンジョイしてレースに参加しているんだ」と今のキャリアに満足している様子。
もちろん、フレンツェンには、シューマッハー夫人であるコリーナさんについても飛んだ。「これは秘密でもなんでもないからね」と前置きした上で、フレンツェンはこう回答した。「昔からミハエルとはいろんな物事を共有したんだ。そう。ガールフレンドもね!」
番組の最後にフレンツェンは、今週末に得意のスパに挑むミハエル・シューマッハーに対し、「健闘を祈る」と笑顔でエールを送った。