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クルマニュース

投稿日: 2016.01.13 00:00
更新日: 2018.02.17 12:26

想像以上! レース向きなアルトワークスを識者が解説


 1980年代後半から1990年代前半は日本から様々な名車が生まれた。欧米に追いつけ追い越せで磨いてきた技術が華ひらきつつあり、バブル経済の波にも乗ったかっこうだ。

 ちょうどその頃、20代前半で自動車雑誌の編集部に潜り込んだ自分にとって、あの時代は今でも眩しく感じる。財布は軽いが、どうしてもスポーツカーが欲しいと願い続けて選んだのは、結局ユーノス・ロードスターだったが、「こういうのも萌えるんだよな」と思っていたのがアルトワークスだ。

 1987年に2代目アルトの追加モデルとしてデビューし、翌年にはベースが3代目となったのに合わせてモデルチェンジ。そのモデルに編集部の同僚が乗っていたので、何度かワインディングで遊んだ記憶がある。当時のハイパワー車はESC(横滑り防止装置)など装着しておらず、タイヤもシャシーも今よりずっとプアだったので扱いづらかった。それに対して64PS自主規制のきっかけとなったエンジンと600kg程度の軽いボディをもつアルトワークスは比較的容易に戦闘力を引き出すことが可能。格上の本格スポーツカーを食うことも難しくないことに興奮したものだった。たしか、リアがドラムブレーキだったので冷えているとカコーンッとロックして怖い思いもしたけれど。

 そんなアルトワークスが15年ぶりに復活(価格は150.9万円〜)。スズキとしては最初からその気があったわけではないというが、8代目アルトが登場したときから、こうなるんじゃないかという期待を大いに持っていた。というのも、アルト自体がびっくりするほどの意欲作であり、大幅な軽量化を達成していたからだ。ボディに用いるスティールは、軽くて強い高品質な部材がリーズナブルになってきていて軽自動車でも使いやすい。

 今や高張力鋼板や超高張力鋼板はボディ全体の約60%を占めるのだ。加工技術も高まり、従来は分割されていた骨格部を連続した滑らかな形とすることで剛性向上や衝突安全性確保を効率的に行えている。結果として従来比で約60kgの軽量化。コストに厳しい軽自動車で、従来とボディサイズをほとんど変えずに1割近くものダイエットに成功したのは驚くほかない出来事なのだ。