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スーパーGT ニュース

投稿日: 2023.11.11 04:05
更新日: 2023.11.11 04:06

apr LC500h GT 2023スーパーGT第8戦もてぎ レースレポート

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スーパーGT | apr LC500h GT 2023スーパーGT第8戦もてぎ レースレポート

2023 AUTOBACS SUPER GT Round 8 MOTEGI
開催地:モビリティリゾートもてぎ(栃木県)/4.801km
11月4日(予選)
天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:1万5600人
11月5日(決勝)
天候:曇り一時雨 コースコンディション:ドライ一時ウエット 観客数:3万人

表彰台まであと一歩の4位でシーズンを終了。来季の大奮闘を予感させるレース内容に

 2023シーズン、aprは全8戦で競われるスーパーGTにニューマシン、レクサスLC500hを投じてGT300クラスを戦う。31号車apr LC500h GTをドライブするのは嵯峨宏紀選手と小高一斗選手。さらに第3ドライバーとして根本悠生選手を新たに起用した。タイヤはブリヂストンを使用する。

 シリーズ第8戦の舞台は、モビリティリゾートもてぎ。ストップ&ゴーが繰り返されるレイアウトは、重量バランスに優れるマシンと相性がいいだけに、apr LC500h GTともマッチするはず。今季最後の戦いに、有終の美が期待されるところだ。

 前回のオートポリスでは、予選3番手を獲得。決勝でも攻めたレース運び、さらにブリヂストンタイヤのハイパフォーマンスにも背中を押されて、ついに3位でフィニッシュするまでとなった。流れは来ている最終戦は300kmレース、全車ノーウエイトの戦いとあって、表彰台獲得の原動力となった、小高選手と根本選手のふたりで臨む。

公式練習11月4日(土)9:25~11:00

 前回のレースは、それまでと一転して気候的には寒さとの戦いになっていたが、どういうことか再び過ごしやすくなっていた。公式練習開始時の気温は15度、路面温度は18度とは、本来ならば11月ではあり得ない。しかも、終了時には21度、30度にまで上がっていた。

 今回も公式練習は、小高選手から走行を開始。さっそくアタックモードに入って、計測3周目には1分48秒477、次の周には1分47秒751に入れて、その時点でのトップに立つが、ライバルは間もなく1分46秒台に乗せて、頂上がまだまだ先にあるのが明らかに。そこで早めに根本選手と交代し、より良い方向性を探るべく、さまざまなセットが試されていく。その甲斐あって、やがて根本選手は1分47秒591を記すまでとなる。

 終盤は再び小高選手が乗り込み、GT300クラス専有走行では再びアタックモードに入るも、1分48秒081を出すに留まったのは、前述のとおり想定外に温度が上がっていたから。それでも、最終的な公式練習の順位は9番手となっていた。この後に行われたFCY(フルコースイエロー)テストでも、セットアップは進められ、小高選手が終始走行。1分48秒941は4番手だった。

公式予選Q1 11月4日(土)14:20~14:30

 今回、apr LC500h GTはA組で予選Q1に臨み、アタックは根本選手が担当。路面温度こそ公式練習の終盤より1度下がった29度ながら、気温は逆に23度にまで上がっていた。1分57秒台の比較スローペースでのウォームアップを2周行ってから、根本選手はアタックを開始。1分46秒823をマークして2番手につけ、続いてもう1周は1分47秒022で惜しくもタイムアップならず。しかも、最後の最後にトップタイムが更新されて3番手となるも、難なくQ1を突破した。

公式予選Q2 11月4日(土)15:13~15:23

 Q2に挑んだ小高選手も、1分57秒台でのウォームアップを2周行った後に、アタックを開始。ワンアタックめを1分46秒098で決め、その時点でトップとはコンマ4秒と遅れぬタイムであったが、次のセクター1はベストを出すもタイヤのグリップピークは過ぎておりそのままピットイン、6番手となる。それでも全車ノーウエイトのイコールコンディションの中、前回にも引けを取らぬハイパフォーマンスを披露した。その結果、apr LC500h GTは決勝レースに、3列目アウト側のグリッドで臨むこととなった。

小高一斗選手

「公式練習の走り出しが持ち込んだタイヤとのマッチングが良くなくて、予選に向けてクルマを変えたらだいぶ良くなって、フィーリングとしては悪くありませんでしたが、11月とは思えない暖かさにタイヤがうまく合っていなかったようです。ポールの2号車とは違うソフト系のタイヤなので、その差が出てしまいました。この暖かさだとロングはどうなるか分からないですけど、明日は短い300kmレースなので、表彰台に上がれるよう頑張ります」

根本悠生選手

「Q1自体はそんなに悪くなかったと思います。公式練習で僕らはタイヤとのマッチングに対してセットアップに悩んでいて、どういう方向性がいいか、いろいろやっていました。チーム全員でなんとかセットアップ見つけて予選に行ったので、公式練習とは違って『めっちゃ曲がるじゃん、めっちゃグリップするじゃん』って(笑)。同じニュータイヤ履いていても1秒半速くて、でも1周目から合わせるのはGTの醍醐味というか、もうちょっと予選を勉強しなきゃいけない段階かなと。まぁ、ボチボチかなと思いつつ、Q1トップは獲りたかったので、悔しいという思いの方がありますね。一斗選手のときにさらに路面温度が上がり、ちょっとタイヤとのマッチングで苦戦して6番手でしたが、この位置なら全然表彰台狙える位置だし、前で何かあったら勝てる位置なので、しっかりと自分たちの仕事をしてきます」

金曽裕人監督

「もっとパフォーマンス出して、もっと上に行けるという自信のもと、小高が行ってくれましたが、こんな11月の異常な暑さは想定外で。持ち込んだのは通常の11月にぴったり合うタイヤなので、どうしても今日の路面温度には合っていなくて、アタック周にタイヤのウォームアップが完璧には合わずじまいで。でも、逆に言うとポール獲った2号車が違うタイヤなので、彼らにとっては恵みの天気。僕らにとっては、いや、これ高すぎるでしょう?って。今回はチーム側の気温の読み違いが差になりました。そもそもJAF車両(GTAGT300車両)はもてぎが得意ではないですが、そうは言いながらブリヂストンさんのパフォーマンスで上位に行けているというのはあります。去年はまともに最終戦、レースできていなかったので、きっちりチェッカーを受けて、連続表彰台を狙います」

2023スーパーGT第8戦もてぎ apr LC500h GT(小高一斗/根本悠生)
2023スーパーGT第8戦もてぎ apr LC500h GT(小高一斗/根本悠生)

決勝レース(63周)11月5日(日)13:00~

 今回、決勝スタートを担当するのは根本選手。直前のウォームアップも、一度ピットを挟んで1分49秒255をベストに、きっちり1分49秒台を連発。この安定感は、きっと決勝で強い武器となろうが、気になっていたのは依然として高いままの温度だ。気温は23度、路面温度は28度。ただし、上空には灰色の雲が浮かぶようになっていて、日差しをそのまま遮ってくれれば、状況にも変化は出るだろうと。

 13時にフォーメイションラップが開始され、栃木県警によるパレードラン、そして1周のフォーメイションラップを経て、いよいよレースが開始される。根本選手のスタートダッシュは上々、まずはポジションキープからの発進となる。

 4周目を過ぎたころから1コーナー付近で雨が降り出すも、これは通り雨だったようで、すぐにやむ。14周目に7番手に退いたのは、兄弟車両でもある52号車、埼玉トヨペットGreen BraveのGR Supra GTの王座獲得をより確実にするため無駄な争いを避けたため。ただ、16周目に違う車両の先行をも許したのは、想定外ではあった。

 そして21周目に、小高選手とバトンタッチ。ここで選んだのはタイヤ無交換作戦! これでロスを最小限としたことでapr LC500h GTは、いわゆる“裏の5番手”でコースに戻される。32周目、また1コーナー付近で雨が降るも、これもまた通り雨で、すぐにやんで戦況に影響を及ぼさず。ギリギリまでドライバー交代を遅らせてトップを走り続けていた車両が、4番手でコースに復帰したことで、38周目に6番手となるも4番手は視野に入れられる位置で、小高選手は周回を重ねていった。

 46周目に1台の先行を許していたが、それも無益なガードは不要だとの判断による。48周目から再び雨が。今度はコース全域で降るようになり、チャンピオンがかかっている52号車は安全マージンをとってペースを抑えたこともあり、5番手に浮上。次の周にはコース上で1台を抜いたばかりか、52号車とチャンピオンを争っている3番手の車両がギャンブルに出て、ウエットタイヤに交換したため、一気に4番手にapr LC500h GTは浮上!

 ラスト3周は3番手の車両とテール・トゥ・ノーズで競い合うも、最後はコンマ4秒及ばず4位でチェッカーを受けた。第6戦SUGOまでは、速さと結果が伴わず低迷したが、この2戦での巻き返しによりチームランキングも8位になり、何よりこの2戦の覚醒によってapr LC500h GTの高いポテンシャルは、誰もが認めるところとなった。来たる2024シーズンの大活躍は、もはや必至とも言えるだろう!

小高一斗選手

「雨が降ってきて、僕的にはドライビングで追いつけるチャンスでしたし、抜ける自信もあり、抜きたかったですが、ちょっと雨路面の時間が足りませんでした。11月なのに想像以上に気温、路面温度とも高くて、持ち込みのタイヤの設定を超えてしまい、セットでもいろいろやってみましたが、雨が降って路面温度が下がったのはタイヤレンジ的には幸運でした。4位で終われましたが、0.4秒……あと少しで連続表彰台でした。ファンの皆様、関係者の皆様から、成績が低迷中の間も、たくさんの応援ありがとうございました。1年間ずっと励まされ、戦えたことに感謝いたします」

根本悠生選手

「僕のスティントでは1回、雨がぱらっときて、そのタイミングでスバルを抜けるかなと思いましたが、クルマを壊して一斗に繋げられないのは嫌なので、ちょっと行ききれなかったというのは反省点です。チャンピオン争いしている52号車とも無駄な争いは避けつつ、ペース的には悪くはなかったと思いますが、唯一のハイブリッド車の宿命から車両重量も効いており、ストップ&ゴーの茂木では、ブレーキも厳しくトップ3で戦えるほどのペースは持っていなかった」

「ただ、年間通してクルマに対してもだいぶ自信がついてきましたし、すごく楽しい1年間だったので、その集大成として表彰台に上がれたら良かったですが、届かなかったことも反省点というか、前半スティントで僕がもう3秒ぐらい詰められていれば、もしかしたら表彰台だったかもしれません。本当にいい1年間でした。ブリヂストンさんのタイヤパフォーマンスを体感できたし、その使い方や、アタックのかけ方を勉強させてもらえましたし。ただ、優勝はできていないので、それはいつかまた狙いたいと思います」

金曽裕人監督

「何をさて置いても、Green Braveさんの52号車GR Supraがチャンピオン獲れたことが、ブリヂストンがチャンピオン獲れたことが、僕らにとって何より嬉しいです。来年は僕らがそこの立ち位置に来られるように精進します。彼らも4年かけてチャンピオン獲っているので、次は僕らが獲れるようにやっていきます!」

「レースの展開としては、高い気温と高い路面温度とかいろいろありましたが、最後は天候が味方してくれタイヤ無交換もできたし、恵みの雨も降って路面温度も下がりマッチングしました。小雨時スリックタイヤの難しい状況下では、小高選手のパフォーマンスが一番であり関係者の評価が高かったのも嬉しい収穫。毎回こういうレースをするのがaprのはずなのに、開幕から終盤前までの成績低迷は、全て指揮官である僕の責任であり、今も猛反省しかない。そこを来年は肝にし、全力で勝ちにこだわりたいと思います」

「今年は、小高選手がリーダー格になってクルマのセットアップ、走らせ方、チームの戦略も分かってくれて、完璧な仕事人でした。すごく成⾧したドライバーだと思います。根本選手もプロ好みの職人、乗ればいつも輝いてましたね。来年は前半戦から、スタートダッシュが出来るように、必ず素晴らしいパッケージとシステムを築き上げますので、ご期待ください。1年間、辛くて苦しいときも皆様から、たくさんの応援ありがとうございました。来年は、皆様に笑顔をお届けいたします」

2023スーパーGT第8戦もてぎ apr LC500h GT(小高一斗/根本悠生)
2023スーパーGT第8戦もてぎ apr LC500h GT(小高一斗/根本悠生)


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