レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.07.17 20:07
更新日: 2021.07.17 21:21

「久々にレースに参加している」初音ミクAMG、ロングランへの自信と“悩ましい”戦略【第4戦GT300予選】

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


スーパーGT | 「久々にレースに参加している」初音ミクAMG、ロングランへの自信と“悩ましい”戦略【第4戦GT300予選】

「僕らのレースペースは悪くないと思ってます。4号車(グッドスマイル 初音ミク AMG)は速そうですけど、彼らとウチとで、レースは結構面白くできるんじゃないかと思います」

 そう語るのは、88号車JLOC ランボルギーニ GT3の元嶋佑弥だ。

 スーパーGT第4戦ツインリンクもてぎでは、午前の公式練習でトップタイムをマーク。予選でも……と期待されたが、元嶋が担当したQ2では特段ミスのないアタックながら、6番手に終わっていた。それでも、決勝には自信アリという不敵な雰囲気を漂わせている。

 もともとランボルギーニ・ウラカンGT3が得意としてるコースということもあるが、6月に行なわれたタイヤメーカーテストが「すごく大きかった」と元嶋。「今年、クルマのセットアップはほとんどいじっていない」という88号車は、そこでタイヤの使い方に関して大きなヒントを得たという。

2021スーパーGT第4戦もてぎ JLOC ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)
2021スーパーGT第4戦もてぎ JLOC ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)

 そのもてぎのテストで手応えをつかんでいたもう1チームが、4号車グッドスマイル 初音ミク AMGだ。こちらも公式練習は2番手。片岡龍也は「久々に練習から調子が良く、予選トップも狙えるかなと思っていた」というが、片岡が担当したQ2ではアタック直前に目前でスローダウンした他車の影響も受け、5番手に終わった。

「コンマ1〜2秒ロスがあったかもしれませんが、自分のベストを出せたとしても48秒フラット、“神風”が吹いても47秒9だったかな」と片岡は悔しさを滲ませたが、一方で「すごく久々に、“レースに参加しているな”という感じがしています」と上位で戦えている満足感も隠そうとはしない。

 88号車と共通しているのは、レースペースに自信を持っていること。河野高男エンジニアによれば「久々にソフトめのタイヤを持ち込んだ」という。近年、ヨコハマはGT300で苦しい戦いを続けてきた。河野エンジニアはライバル勢が今回タイヤのレンジを外した可能性もあるとはしながらも、4号車に合うタイヤがようやく仕上がってきたことに手応えを感じている様子だった。

 そしてそのタイヤは、40度台後半という今週末と似た路温コンディションとなったタイヤテストで充分なロングランができている。第4戦の公式練習でのロングランも「レースラップではトップクラスのタイムだった」(片岡)といい、元嶋を含めたライバル勢から決勝でのポテンシャルを警戒されているのだ。ライバルタイヤメーカー勢からも、今回のヨコハマ勢全体のポテンシャルを注視するコメントが聞かれた。

 だが、4号車のレースペースの速さについては『単独走行であれば』という但し書きがつく。

 ストップ・アンド・ゴー・レイアウトのもてぎは「1秒速くても抜けない。空間のあるところでレースできれば、戦略次第で勝負に絡める」と河野エンジニア。だからこそ、決勝でのタイヤ無交換が予想されるブリヂストン陣営の52号車埼玉トヨペットGB GR Supra GTの前に、予選で出ておきたかったというのが4号車陣営の本音だ。

「52号車の前に出て、10秒以上差をつけてピットインする。それが(勝利への)ひとつの条件」(河野エンジニア)である4号車にとっては、まずはスタート直後の52号車との位置関係が最初のカギとなる。

 その後は、グリッド前方に位置するウエイトの重いGT-R勢のラップタイムが落ちてくるかどうか。「GT-Rを抜けず、後ろからストレートの速いクルマが来るのが一番やっかい」(河野エンジニア)。同じくヨコハマを履く244号車たかのこの湯 GR Supra GTは「速いはず」と河野氏は読んでいる。

 決勝レースではこれら周囲との位置関係、そしてライバルが採ってくるであろう戦略を読みながら、どれだけのリスクを取るべきかを判断し、自らのピット戦略に反映させるという難しい決断を迫られることになりそうだ。そこは「優勝を目指したいのか、2〜3位を目指すのかによっても変わる。絶対にムリ、って分かってるのに無交換作戦に出ちゃうとか……」(片岡)と悩ましい問題となる可能性もある。

 今年、もてぎ戦はもう一度あるが、「そこはウエイト次第」と河野エンジニアは言う。ランキング上位車両とのウエイト差が大きい今回の第4戦は、今年最大のチャンスかもしれない。そして何より、今回のレースは初音ミクGTプロジェクト100戦目という節目にあたる。

「今回、僕らにとっては記念のレース。なんとしてもいい結果を残したい」(片岡)

 果たして、決勝レース序盤の展開、そして各車のピット戦略はどうなるのか。久々に上位に進出したマシンたちを交えた、混戦かつ見どころの多い濃密なレースが期待される。

2021スーパーGT第4戦もてぎ グッドスマイル 初音ミク AMG(片岡龍也)
2021スーパーGT第4戦もてぎ グッドスマイル 初音ミク AMG(片岡龍也)


関連のニュース