今季、GT300クラスに新型『SUBARU BRZ R&D SPORT』を投入したSUBARU陣営。そのステアリングを握る井口卓人選手と山内英輝選手が、オートスポーツwebにコラムを寄せてくれることになりました。ドライバーのふたりは毎レース後、交互に登場します。
今回は予選7番手/決勝11位で終えたツインリンクもてぎでの第4戦、苦闘の裏側を山内選手が語ってくれました。
そして前回とは反対に山内選手目線での、井口選手との出会いやこれまでのエピソードも。が、話は意外や井口選手と組む以前の『いまの山内英輝』が完成したいきさつにまでおよび……。しかしそれこそが、現在の井口・山内コンビの“土台”を作っているとも言えそうです。
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皆さんこんにちは、SUBARUの山内英輝です。
もてぎは厳しいレースになってしまいました。公式練習の走り出しから前後ともにうまくグリップが出せず、曲がらない、高速コーナーではリヤの支えがない……という感じでかなり苦戦していました。
じつは新型SUBARU BRZになってからもてぎではテストをしておらず、今回のレースウイークが初走行でした。でも、6月上旬にSUGOでテストがあったんです。いま思えば、そのテストでの“判断”が間違っていたことが、もてぎの不調につながってしまったのかもしれません。
SUGOのテストでは、ダンロップさんのタイヤを含めいいバランスのものが見つかりました。もてぎで重要になるトラクションを重視してもコーナリングが速かったし、一発も、アベレージもタイムが良かった。
「SUGOでも良かったし、これでもてぎも行けるだろう」と思って、SUGOテストをベースにもてぎ向けのアレンジを施して第4戦に臨んだのですが、もてぎでは路温が高すぎたことで、うまくいかなかったんだと思います。
そんなわけで公式練習から予選までにマシンをガラっと変え、卓ちゃんがギリギリでQ1を突破してくれました。Q2でマシンに乗ったら朝より全然良くなっていて、決勝もポイント圏内ではフィニッシュできるだろう、と思っていたんです。
ところが7番手からスタートしてみたら、前の6台に全然ついていくことができませんでした。始まって2周で「あぁ、うしろのマシン全部と戦わなきゃいけないんだな」という覚悟ができましたね。
コーナリングスピードがある程度速ければ、トップスピードがなくてもカバーできたと思いますが、今回の僕らはコーナーも遅かったので、なす術がなく……。加えて、予選で上位に行くことを考えていたためスタートタイヤは柔らかめのコンパウンド。高気温ともあいまってタイヤがやや早めに厳しくなってしまったこともあり、何台かに抜かれてしまう形となりました。
早めのピットに入って後半は硬めのコンパウンドで卓ちゃんが行ってくれましたが、やはり周りに比べると厳しく、ノーポイントに終わってしまいました。今回、『こうするとダメだな』というのは分かったので、次のレースからはもっと成長できるように頑張りたいです。
ただ今年はもう1回、寒い時期にもてぎ戦があるのが、なんとも悩ましいです。寒くなったときに今回選んだタイヤがいいのか、それとも1・2戦目で使っていたものがいいのか……など、とても難しい判断を迫られそうです。
次は相性のいい鈴鹿。今回の悔しさを含め、すべてをそこにブチ込みたいと思います!
いままでは正直、ライバルとしてブリヂストン勢を注視していたのですが、今回のもてぎを見るとヨコハマ勢もおそらくかなり開発を進めていて、上位に来ている。となると鈴鹿でも誰が上に来てもおかしくないし、すごい接戦にはなるだろうなと覚悟しています。