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スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.03.04 22:14
更新日: 2022.03.04 22:23

スーパーGTドライバー勝手にお悩み相談ショッキング Vol.23 野尻智紀さん(のじさんぽ1)

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スーパーGT | スーパーGTドライバー勝手にお悩み相談ショッキング Vol.23 野尻智紀さん(のじさんぽ1)

 ファンのために熱いレースを展開してくれるスーパーGTドライバーたち。SNS等でも散見されますが、所属するチームやメーカーによって差はあれど、多くのドライバーが“繋がり”をもっています。そんなGTドライバーたちの横の繋がりから、お悩みを聞くことでドライバーの知られざる“素の表情”を探りだす企画をお届けしております。今回はModulo Nakajima Racingの大津弘樹選手から、2021年にスーパーフォーミュラでチームメイトだった野尻智紀選手に繋がりました。

 しばしばSNS等でも見られる、気になる2ショット。「へえ、あのドライバーたち、仲良いんだ」とファンの皆さんも驚くこともあるのでは。そんなGTドライバーの繋がりをたどりつつ、ドライバーたちの“素”を探るリレートークがこの企画です。これまでの連載は、まとめページを作りましたのでぜひご参照ください。

スーパーGTドライバー勝手にお悩み相談ショッキングの連載まとめページです。
まとめページは画像をクリックorタップ!

 今回は、大津選手がちょっと悩んでいた「自分という売りをどう出したら良いか」という悩みを野尻選手にぶつけてきました。野尻選手からはかなり興味深い回答、そして深刻な(?)悩みをもらいました。まずはいってみましょう!

* * * * *

■かすかべ防衛隊に入ろう。

──そんなこんなで、テストのなかお時間いただきまして恐縮です。いまオートスポーツwebで企画をやっておりまして、ご覧になったことはありますか?
野尻智紀さん(以下、野尻さん):はい、見てます。

──ありがとうございます。今回は、福住くんから大津くんにいきまして、そこから野尻さんに回ってきました。さっそくなんですが、お悩みをぶつけてもいいですか?
野尻さん:はい。

──大津弘樹としては、『自分というドライバーを前面に出すにはどうしたらいいのか』を悩んでいるらしいです。
野尻さん:……知らねぇ〜(笑)。

──“大津弘樹”という速いドライバーがいるわけじゃないですか。だけど、なんというか“売り”がないといいますか。『いいヤツ』とか『苦労人』とかそういうところはあっても、例えば山本尚貴くんみたいに『強い』とか、“この人はこういうイメージ”みたいなものがないのが悩ましいと。昨年もスーパーフォーミュラ第6戦もてぎで勝ったじゃないですか。
野尻さん:はいはい。

──そのときに野尻さんがチャンピオンを決めたじゃないですか。それで『埋もれた』と若干気にしているらしいです。野尻さんもF3で苦労して、そこからステップアップしてきたこともあり、大津さんも同じような境遇があって、野尻さんはそこからどうやって自分を出してきたのかを知りたいと。
野尻さん:……難しいですよねぇ。マジメな話をすると、とりあえず長く乗るしかないです。だって、星野(一義)さんも最初から『日本一速い男』と言われていたワケではないじゃないですか。

──たしかに。
野尻さん:いずれはそういう“売り”がつくんじゃないですか。あとは、アイツ出身が春日部ですよね。

──あ、細かくは知らない。埼玉県出身なのは知っていますが。
野尻さん:たしか春日部なんですよ(編注:たしかに春日部市出身でした)。で、『クレヨンしんちゃん』で『かすかべ防衛隊』(編注:作中に登場する春日部の愛と平和を守る組織)がありますよね。それに入っちゃうとか。(笑)

──ほほう。サーキット外から“売り”を出していくというコトね(笑)。でもそれはアリかもしれない。
野尻さん:『かすかべ防衛隊』に入る。もうコレはインパクトがでかいですねぇ。

──地元を出していくというのはたしかにアリかも。山本くんも若手時代はかなり栃木出身を前面に出してましたし。
野尻さん:そうですね。春日部はなかなかいないですからね。やっぱり春日部というと『クレヨンしんちゃん』なので、それを使って助けてもらうしかないんじゃないですか(笑)。

──それでいこう。
野尻さん:なんか最近春日部から引っ越したという話も聞くので、もう一度春日部に戻った方がいいんじゃないかなと思います(笑)。

──結婚して春日部を出たのはたぶん理由があると思うんだけど(笑)。
野尻さん:けど、やっぱりちょっと今は春日部を捨てている感じが出てしまっているので、もう一度春日部を愛し直さないと(笑)。

──地元は大事だしね。そういう感じで自分のキャラと言うか、走り以外で何か“ホーム”みたいなものを出していったほうがいいかもしれないですね。
野尻さん:はい。走りで言うと、彼はもう速いですからね。スーパーフォーミュラもチームが変わって、本人的に“ここからどうか”というところだと思うんですけど。でも、遅かれ早かれもっと光り輝くときはたぶん来ると思うので、いまやっていることを突き進めればいいんじゃないかな……なんて思ったりもします。やっぱりサーキット外でのイメージをつけることですかね。

8号車ARTA NSX-GT
8号車ARTA NSX-GT

■アドバイスにとらわれる野尻智紀さん

──なるほど。良いご回答をいただきました。それでこの企画はですね、次にお悩みを誰かにぶつけて欲しいんです。野尻さんは最近お悩みありますか?
野尻さん:最近ねぇ……。悩み……。いっぱいありますけどね。

──なにかこう、人に相談できる悩みはありますか?
野尻さん:最近で言うと、世の中いろんな人がいるなぁ……とか。

──あ〜分かる。特にこのコロナ禍になってすごく目立つようになった気がする。
野尻さん:あとは、これは自分がチャンピオンを獲ったからというのもあるんですけど、年齢も重ねてきて立場も変わってきているので、立ち振る舞いとか、役割もそれぞれ変わると思うんですよね。現場での役割も変わってくると思うので、そういったところをどうしていったらいいかなどを考えなきゃいけないなと思っています。

──野尻さんは、いまや若手とは呼べないですもんね。
野尻さん:そうですね。

──ベテランまではちょっと言いすぎかなと思うけど。
野尻さん:そのあたりで言うと“中堅”と呼んでほしいですね(笑)。あとは悩みを誰に相談するかですよね。さっきもちょっと話をしたんですけど、もうずっとホンダ系で来ているじゃないですか。そろそろ変えますかと。

──個人的には期待しているドライバーがふたりほどいるんですがねぇ。
野尻さん:それは富田(竜一郎)くんか(中山)雄一さんですか?

──そういうこと。
野尻さん:ですよね(笑)。

──もう個人的には『のじさんぽ』連載にしたらいいんじゃないかとちょっと思っているんですけど。
野尻さん:どうしよう。じゃあ富田くんに行きますか。

──いいですよ。
野尻さん:……で、悩みなんですが、富田くんとよく一緒にいるようになって、富田くんのお父さんが食事などをご馳走してくれたりするんです。そこで、すごくたくさんアドバイスをくれるんですよ。

──へぇ。それは走りのアドバイスではないですよね?
野尻さん:人生もなんですけど、走りのアドバイスもめっちゃしてくるんですよ(笑)。

──……!? いやたしかに、富田くんのお父さんもレースをしているのは知ってるけど。スーパーフォーミュラチャンピオンに走りのアドバイスする!?
野尻さん:そうなんですよ。富田くんのお父さんはいつも富士スピードウェイの“ソーセージ縁石”に乗り上げてクルマをブッ壊してくるくらいなんですけど、僕にめちゃ言ってくるんですね。2019年のスーパーフォーミュラ第3戦SUGOで、僕、1コーナーで飛び出して止まったことがあったんですよ(編注:下記動画の6分05秒くらい参照)。

 あれは、その1週間くらい前に富田くんのお父さんに食事をご馳走になっていたときに『お前もっといかなきゃダメだよ。チャレンジしなきゃダメ』と、3時間くらいこんこんと言われ続けたんですよ。

 僕はもうその時点で、それに洗脳されてるわけですよ。それでいってみたらあの結果だったんです。それからしばらくは富田くんのお父さんを恨んでいた時期もあったんですけど(笑)、でも今となっては、あのチャレンジがあったからチャンピオンを獲れたんだなと思っています。このあいだもサーキットで会って、そのときに『チャンピオンを獲って、いまブレイクしているんだから、もっと自信をもっていかないとダメ。もうとりあえず自信だけもって、そうしたらそのうちついてくるから!」みたいな感じのことをまたこんこんと言われました。

──うう〜ん……。パワフル。
野尻さん:それで富田くんへの相談は……相談というかお願いなのですが、お父さんの隣でそれを黙って聞くのをやめてほしいなと(笑)。自分の親なんだからもうちょっと止めてくださいというお願い(笑)。なんかもう『そろそろいいんじゃないか』みたいな、助けの手を差し伸べてほしいと思いながら、僕は富田くんをチラチラと見たりしているんですけど、一向に止める気配がなくて『また始まった……』みたいな感じなんですよ。

野尻智紀選手、富田竜一郎選手、中山雄一選手の3人と、VITAのコクピットに収まるのが富田竜一郎選手のお父さん。
野尻智紀選手、富田竜一郎選手、中山雄一選手の3人と、VITAのコクピットに収まるのが富田竜一郎選手のお父さん。
全日本スーパーフォーミュラ選手権で自身初の王者に輝いた野尻智紀(TEAM MUGEN)
全日本スーパーフォーミュラ選手権で自身初の王者に輝いた野尻智紀(TEAM MUGEN)

■お返しがつらい。

──それはけっこうなお悩みだね。
野尻さん:そうなんですよ。

──それは次回解決してもらいましょう。まあ解決できるのか知らんですけど(笑)。
野尻さん:なので、僕の人生はけっこう富田くんのお父さんに左右されているんです(笑)。またなにか脳内に富田くんのお父さんの言葉がスッと入ってきちゃうんですよね〜。

──さすがに富田くんのお父さんは経営者だから、そういう人生訓みたいなのはたくさんもっているんだろうね。
野尻さん:それにまんまと僕はハマっていたんですよ。

──そもそも、富田くんと、あとは雄一くんもそうだけど、野尻さんはどう繋がったの?
野尻さん:最初は僕と雄一さんで遊んでいて、そこに雄一さんが富田くんと話していたのか、SNSで絡んでいたのか忘れちゃったんですけど、雄一さんが富田くんに話しかけたり交流をもてる……ということは、僕は『この人はフツーの人なんだ』と思ったんですよ。やっぱりドライバーでもいろいろな人がいるじゃないですか。僕もそのときは、最近レースを始めたけどすごい速いヤツがいるという噂で富田くんのことは知っていました。道上(龍)さんから聞いたのかな? それで雄一さんが絡んでいたので、じゃあ僕もいけるだろうという感じで交流を持ち始めたのが最初ですね。

──なるほど。もうけっこうつき合いは長いんじゃない?
野尻さん:そうなんですよ。だからいろいろとご馳走してもらったりもしますし、富田くんはたぶん世話好きというか、人のことをすごく気にかけてくれるんですよ。それで何かにつけてプレゼントをいただいたりするんです。『チャンピオン獲ったからコレ』とか、『誕生日なんでコレ』とか、すごくマメなんです。僕は逆にマメじゃない側のタイプなので、最近お返しをしなきゃいけないものがいっぱい貯まってきちゃっています。『やべぇ、あのお返ししていない!』みたいな(笑)。なかなか買いに行けるときもないですし、毎回毎回それが2〜3年続いているので、正直何をあげたらいいか分からないです。それも悩みですね。

──なるほど。それはそうだね。
野尻さん:もう『何が好きなの?』『何が欲しいの?』と聞いてほしいです(笑)。

──たしかに富田くんは世話好きだね。取材に行くとわざわざ自分でコーヒーを出してくれたりする。
野尻さん:さすがですね。そうなんですよ。気を遣っちゃいますね。もうあげたりもらったりはそろそろやめたいです(苦笑)。僕も返せばいいんですけど、返す前にまた次が来ちゃうときがあるので(笑)。あとは……。

──えっと、今日はもう十分お悩みいただきましたよ。
野尻さん:十分ですか? もっと軽い方がいいとかありますか?

──いや、いいお悩みを頂きました。
野尻さん:あとは3人で一緒にレースをしたいですね。

──なんだかんだそういう機会ってないですよね。
野尻さん:だから『早くGT500かスーパーフォーミュラに出て下さい』と伝言を伝えて下さい(笑)。

──野尻さんと富田さんと中山さんの3人で参戦したら面白そうだけど、乗るクルマが難しい。
野尻さん:VITAでオートポリスの耐久レース(KYUSHU Magical ENDURANCE GAME=マジ耐)が昨年始まったじゃないですか。それに一度出場しようかみたいな話になっているんですけど、なかなか現実的に進まないですね。なので、今年はまた何かイベントをやりたいなと思っています。富田くんも忙しいですし。

──ではこんな感じで大丈夫です。富田くんのお父さんが面白いということが良く分かった取材でしたが、ありがとうございました!

2022年もARTA NSX-GTをドライブする野尻智紀
2022年もARTA NSX-GTをドライブする野尻智紀

* * * * *

……というわけで、今までにないお悩みをちょうだいしました。というわけで、次回は“のじさんぽ”(野尻智紀選手、富田竜一郎選手、中山雄一選手の3人)の繋がりで、富田竜一郎選手にお父さんについてぶつけます。乞うご期待!


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