さて、2019年シーズンは新人にも勢いがあって楽しみだ。特に目立ちそうなのはアルマ・プラマック・レーシングでドゥカティのマシンを走らせるフランセスコ・バニャイア。
ロッシの進化版といった雰囲気のバニャイアは荷重のかけ方が抜群にうまく、新人離れしている。ドゥカティとの相性も良さそうだ。開幕前からドゥカティファクトリーのペトルッチが「バニャイアにシートを奪われるか!?」なんて言われてて、ちょっとかわいそうですけどね。
我らがスズキのジョアン・ミルはかなりスマート。「とりあえず乗ってみる」という若手にありがちな闇雲さがなくて、かなり頭を使いながら走るタイプだ。MotoGPマシンへの適応にはちょっと時間がかかるかもしれないが、シーズン後半には表彰台争いに絡んで来る可能性大!
ペトロナス・ヤマハSRTのファビオ・クアルタラロも、あまりの速さからMoto3では条件付きで参戦最低年齢を引き下げさせた男。MotoGPでも活躍するハズだ。
そして日本人の皆さんにぜひ期待していただきたいのは、LCRホンダ・イデミツの中上貴晶。MotoGPデビューイヤーの2018年シーズンは、決して乗りやすいマシンではなかったはずの2017年型ホンダRC213Vで多くのことを学んだだろう。
手こずりながらの試行錯誤が、2018年最後のヘレス公式テストで2018年型に乗ってのトップタイム、という成果につながったのだと思う。シーズン最後のテストをトップタイムで終われるということは、年をまたいで次のマレーシア公式テストまでの約2ヶ月間、ずっとトップでいられるということ。
気分いいに決まっています(笑)。そのままの勢いに、さらなるガッツとハングリーさをプラスしてくれれば、2019年シーズンはワンランク上の位置で走れるはずだ。
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■青木宣篤
1971年生まれ。群馬県出身。全日本ロードレース選手権を経て、1993~2004年までロードレース世界選手権に参戦し活躍。現在は豊富な経験を生かしてスズキ・MotoGPマシンの開発ライダーを務めながら、日本最大の二輪レースイベント・鈴鹿8時間耐久で上位につけるなど、レーサーとしても「現役」。