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投稿日: 2019.06.06 23:10
更新日: 2019.06.07 03:32

マン島TT6連覇を狙うTEAM MUGENの『神電』。電動バイクは「新幹線の急加速」と開発ライダーの宮城光


MotoGP | マン島TT6連覇を狙うTEAM MUGENの『神電』。電動バイクは「新幹線の急加速」と開発ライダーの宮城光

 5月25~6月7日に開催しているマン島TTレースのTT Zeroクラスに、2019年は『神電 八(SHINDEN HACHI)』で挑むTEAM Batham’s MUGEN。

 その電動バイク『神電』の開発ライダーを参戦初年度から務める宮城光氏に、マシンの開発や、モーターとバッテリーを使う“電動車”とエンジンと燃料を使う一般的な“ガソリン車”の乗り心地の違いを聞いた。

 マン島TTレースの『TT Zeroクラス』は二酸化炭素を一切排出しないゼロエミッションカテゴリーで、1周約60キロのコースを1周の周回で戦う。そこに2012年から電動バイクで参戦しているTEAM MUGENは、2018年に平均車速121.824マイル(約196キロ)、コースレコードの18分34秒956を記録しクラス5連覇を果たしている。

TTZeroクラスで18分34秒956のコースレコードを記録したマイケル・ルター
TTZeroクラスで18分34秒956のコースレコードを記録したマイケル・ルター

 今年でマン島TT参戦から8年目となるが、2012年に走らせたTEAM MUGENの初代のマシン『神電』を初めてテストした時の印象を宮城は以下のように語った。

「(電動バイクは)ゼロ回転で最大トルクが出るから、特性がフラットトルクなんですよ。だから加速があるけどそのあと伸びないなという印象でしたね。ただ伸びない感じだけど、どんどん走っていきます。新幹線が急加速してるみたいな感じで、最高速で走っている時は新幹線の巡航速度で走っている感覚でした」

 電動バイクの振動については「まったくありません。だからレシプロエンジンというものはいかにバイブレーションが出ていて、僕たちはそれを戦いながら乗ってるかというのはよくわかりました。カムシャフトが回ってバルブを叩いてスプリングを抑えて戻っていき、バルブはシートに当たってるわけです。そういった振動が全部エンジンにはあるけど、モーターは静かだし、振動は一切ありません」と内燃機関を使用する一般的なオートバイと乗り味が異なることがわかった。

2012年から『神電』の開発ライダーを務める宮城光氏
2012年から『神電』の開発ライダーを務める宮城光氏

 そんな近未来的乗り物である電動バイクには課題点がある。充分な航続距離を稼ぐため大きなバッテリーを積んでいるのだが、2019年のマシン『神電 八』の車両重量は248kgだ。157kgが最低重量であるMotoGPバイクや、約200kgの市販1000ccバイクと比較すると相当重たい。

「重さだけでいえばスポーツバイクをふたり乗りしてるみたいですね。だから重たいですよ。停まってる時の方が重たくて、乗ると重さは感じさせられないです。同時に1000ccと乗り比べたら重たいなとは思います」

「しかし汗をかく量が違いますね。ギヤがついていたら6回ほど加速するし減速するときもそのたびに振動しますが、そのしんどさはありませんから。だから電動バイクは疲れません」と車重に比例せず意外と疲労は少ないという。

2019年マン島TTを戦う神電 八のモーター
2019年マン島TTを戦う神電 八のモーター

 また、2012年の初代『神電』から2019年のマシン『神電 八』では大きな進化を遂げているという。

「(神電 八は)圧倒的に速くなりましたよ。あとは、バッテリーの容量があり、1周約60キロでどこにどう配分して作るかというバッテリーマネージメントが決定的にノウハウとしてすごく進化しています。アクセラレーションは元から良いし、その良いところにマネージメント力が加わっています」

「正直な話、初期段階でバッテリーの温度が上がる、モーターの温度が上がるというトラブルを乗り越えてきました。それはいつでもできるわけではありません。だから早く技術的なトライを追及していかないといけません。人が乗って安全に走れるものをM-TECは誠実に開発してます」

■電動バイクの可能性と内燃機関との違い


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