レース1で大クラッシュが発生したMotoGP第5戦オーストリアGPは、レース2でも波乱含みの展開となった。今回は『苦戦のヤマハのクアルタラロとビニャーレス』、『KTMの“同士討ち”、双方の言い分』、『6位フィニッシュの中上、次戦への手ごたえつかむ』についてお届けする。
■苦戦のヤマハのクアルタラロとビニャーレス
オーストリアGPでは、ヤマハのファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)とマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が苦戦を強いられた。クアルタラロは3番グリッドからスタートしたレース1の序盤に4コーナーでバイクを止められず、コースアウト。大きく順位を下げ、レース2を最後尾からスタートした。レース2では追い上げたが、8位フィニッシュとなった。
前戦チェコGPではタイヤのグリップ低下に苦しみ表彰台を逃したクアルタラロ。今回は、また別の問題が発生していたという。それは、技術的な問題だった。
「スタートからブレーキが柔らかいと感じていた。マッピングは今週すべてで使ってきた、いつもと同じもので、ブレーキングポイントも同じだった。4本の指を使ってバイクを止めようとしたよ。すごく危険だった」
そのため、フランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)とヨハン・ザルコ(エスポンソラーマ・レーシング)のクラッシュにより赤旗が提示されてレースが中断している間、クアルタラロはレース2に向け、ブレーキディスクとキャリパーを交換した。しかし、状況は改善されなかった。
「ライダーの後ろにつくと、ブレーキが利かなくなる。単独走行になると、速さを取り戻すんだ」
クアルタラロはこの問題によりレース2に向けてナーバスになったという。
「300km/hでコーナーに入ったとき、ブレーキが利かない。すごく心配だった。ブレーキが機能するかわからなかったから、集中するのが難しかったんだ」
一方、ビニャーレスはクアルタラロとは違った問題を抱えていた。ビニャーレスはポールポジションを獲得した予選日、マシンのフィーリングのよさについて語った。レース1ではポジションを落としたが、それでもトップグループの範囲内、5番手を走行していたのだ。
しかし、レース2で状況は一変した。6番手からスタートしたのち、1周目で最後尾まで後退することになる。
「1、2、3コーナーからストレートでクラッチが滑り始めたんだ。それで、手を上げて周りにアピールした。あまりにもバイクが遅かったから」
クラッチのトラブルにより、ビニャーレスのペースはレース1の序盤よりも約1秒以上落ちている。この状況に、ビニャーレスは「3周をすぎて、もうピットに戻ってレースを終わらせようかとも考えた」という。
しかし、バイクは再び調子を取り戻した。少しずつ追い上げ、10位フィニッシュ。週末を通して厳しい状況だったわけではない。決勝レースで見舞われたそれは、まさに予想外の出来事だった。
「いい感じで走れたし、何人か交わせたのはよかった。けれど、モチベーションをキープするのは難しかったよ。だって、フリー走行で調子がよくて、予選ではパーフェクトだったんだ。それなのに、レースではこんなことが起こったんだから」
ここ2戦、表彰台を逃しているクアルタラロとビニャーレス。次戦スティリアGPへ向け、改善点を探りたいところだろう。