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投稿日: 2019.12.20 16:00
更新日: 2020.01.08 18:22

【GRヤリス プロト試乗】驚きの操作性は“3+3”がカギ! ハイパワー・スポーツ4WDの常識を変える技術と情熱てんこ盛りの1台


クルマ | 【GRヤリス プロト試乗】驚きの操作性は“3+3”がカギ! ハイパワー・スポーツ4WDの常識を変える技術と情熱てんこ盛りの1台

 ハイパワー・スポーツ4WDの常識が変わるかもしれない。それを感じるには充分な5分間×3回の試乗でした。

 2020年1月10日から千葉県の幕張メッセで開催される東京オートサロン2020での世界初公開が決まっている『GRヤリス』のプロトタイプに一足早く富士スピードウェイ内に併設されているトレーニング施設モビリタで試乗してきました。

 WRC世界ラリー選手権との関連など、詳細は12月27日発売のauto sportに掲載される予定なので、そちらを読んでいただくとして、8年くらい前まで某ロータリーエンジン搭載車でサーキットを走っていて、その前は少しJAF戦でもレースに出たことのあるものの、それ以降すっかりサーキット遊びからご無沙汰しているワタクシの個人的な印象を語らせていただきます。

 新車もハチロクにミニサーキットで乗ったのが最後で、それ以降の新車には乗ったことがありません。なので、最新の基準に照らしてGRヤリスのプロト車がどのようなポテンシャルを持っているかを語るのには不適格とも思いますが、よくよく考えてみるとサーキットで遊べそうな新車もあまり出ていないのも事実なのでお許しください。前置きはこれくらいにして本題に入ります。

■N1仕様EGシビックをコーナー後半だけ4WD化

 コースはモビリタと富士スピードウェイ場外駐車場の3カ所が用意されていて、2カ所はモビリタ内のたっぷり放水されたスキッドパッド上のパイロンコースとなっており、スラローム+定常円のパイロンコースが2種類。こちらでは、現行ヤリスのボディを使用した初期プロトタイプと、GRヤリス プロトタイプの2種類を試乗します。

 場外駐車場はグラベルで、アンダーガードやラリー用サスペンションとラリータイヤを装備したユーザーがラリー参戦することを想定した仕様が用意されています。

 最初に乗ったのはスキッドパッドでのGRヤリス プロトタイプ。発進してタコメーターも見ずに3000~4000回転のわりと低い回転で2速にアップしましたが、まったくトルクの落ち込みを感じることなく加速していきます。

 トルク感がある反面ラグは皆無でターボエンジンであることをまったく意識させません。新設計の1.6リッターエンジンは3気筒なので振動がありそうなイメージも抱きますが、スロットル開度8割くらいの加速の途中では感じることはありませんでした。

 びっくりするのはスラロームから定常円にかけてのノーズの入り方。ブレーキングしてそのブレーキをリリースしつつステアリングを切ると4WDであることを忘れるくらいに素直にフロントのグリップがついてきて、クルマにヨーが発生。トラクションコントロールは切ってあるので、そこからスロットルを入れればリヤの流れを止めることができます。

 2速のスピードレンジでウエット路面ミューの条件下では、今まで乗ったどのクルマよりもフロントの入りがいいと言えそうです。ロードスター(個人的経験はNC型止まり)はフロントの入りがいいクルマの筆頭だと思いますが、上記条件下ではそれと比べても上と思えるくらいでした。

 それに、その先スロットルコントロールで定常円をキープする状況でロードスターだとそれなりに技術を要するはずですが、GRヤリス プロトの場合にはリヤの駆動に加えてフロントが引っ張っていってくれるので安心感が違います。

偽装カラーリングされたGRヤリス プロトタイプ。auto sport本誌枠に割り込み5分間だけ試乗させていただきました。ここまでアンダーステアと無縁の4WDはかつてない!
偽装カラーリングされたGRヤリス プロトタイプ。auto sport本誌枠に割り込み5分間だけ試乗させていただきました。ここまでアンダーステアと無縁の4WDはかつてない!

 調子に乗ってオーバースピードで入ってスピンモードに陥りそうな状況になってもリヤのグリップが抜けて裏切られるようなことがありませんでした。

 ハイパワー4WD、それもFFベースのレイアウトとなると、とにかく真っ直ぐブレーキで短く止めて、フロントタイヤのグリップに頼り切ってコーナリング開始しなければいけないのでオーバースピードは禁物との先入観がありましたが、その常識はGRヤリス プロトによって打ち破られました。

 その先にスロットル開けてからの状況でも、かつてのハイパワー4WDだと車種によってアクセルオンで電子制御が介入してコーナリングを助けてくれますが、違和感があってドライバーがそれに慣れることを要求されました。

 試乗したGRヤリス プロトの場合には、前後トルク配分で制御が入ると説明を受けましたが、違和感を抱く瞬間がありませんでした。

 たとえが古くて大変恐縮ですが、N1仕様EGシビックをコーナリング後半だけ4WD化したような感じでしょうか(そんな改造は不可能ですが)。それくらいクルマの軽さも感じました。

 余談ですが、以前乗っていた某ロータリー車は、それなりに足のセットを進めていくとフロントのロールを抑える方向になり、FRながら結局はアンダー傾向の強いクルマになっていました。楽しく乗りやすく、しかも、そこそこタイムが出るみたいなところには収まりませんでした。GRヤリスはどうなのでしょう?

 低ミュー+低速レンジの印象のままサーキットも走れてしまうのか、それともどこかに妥協の必要が出てくるのか、現時点で購入計画があるわけでもないのに妄想してしまいました。速度レンジの意味でも量産化という意味でもこの先へ非常に興味が湧きます。

 少しヒントになるかもしれないと思ったが、そのあとに乗った初期プロトタイプ。スクープ画像に出てくるようなもろに試作車という内装のクルマに乗れる機会はそうあるものではないので、それだけでもドキドキですが、乗ってみるとこちらの方がさらにタイヤのグリップ感がつかみやすい印象でした。

 スプリングレート設定などが違うのかもしれません。より量産に近いGRヤリス プロトタイプは、乗り心地とのバランスもとった設定に既になっているのではないかと想像します。走るステージによってサスペンションを変えて楽しむ、そんな遊び方がハチロク同様に残されて発売されるのかもしれません。

ラリー装備のGRヤリス プロトタイプ(現行ボディの初期プロトタイプ)をグラベルでも試乗。この写真のドライバーと本文執筆のドライバーは関係ございません。しかし不慣れなグラベル上でも乗りやすさと安心感に変化はなかった。
ラリー装備のGRヤリス プロトタイプ(現行ボディの初期プロトタイプ)をグラベルでも試乗。この写真のドライバーと本文執筆のドライバーは関係ございません。しかし不慣れなグラベル上でも乗りやすさと安心感に変化はなかった。

 そのあとのグラベルでの試乗はスラローム+8の字旋回の設定コース。ここでもノーズの入りとそのあとのスロットルでのコントロール性の印象は変わりませんでした。浮き砂利路面にラリータイヤでスキッドパッドよりも路面ミューが低い状況だからこそ、フロントの入りとその後のトラクションの安定感をはっきり感じることができました。

 ブレーキを少し残しながらスラロームに進入すると、想像するより大きくヨーが発生してフェイントのような感じで定常旋回に移行できます。グラベルを走った機会など数えるくらいしかありませんが、まったく不安感なく走ることができました。

 電子制御に頼り切るのではなく、まずはパッケージでスポーツカーとしてあるべき姿を追求したことが、グラベルでより理解することができました。

■カーボンとアルミで武装。ボディだけで38kgの軽量化


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亀澤杏奈(かめざわあんな)

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