「じつはわれわれは昨年から今年にかけて、マシンのコンセプトを変えたんだ。昨年はメルセデスと似たノーズにしてレーキ角(マシンの前傾姿勢)もそんなにつけないコンセプトを採用したが、それでは開発に限界があることがわかった。そこで今年はレーキ角を昨年よりも大きく取り、ノーズも一昨年型に戻した」
ワトソンはそれ以上、多くは語らなかったが、ドライバーたちはメルボルンで失速した理由を「路面がバンピーだったから」と口を揃え、「バーレーンはスムーズな路面なので僕たちのマシンに合っていた」と語っていた。レーキを大きくつけると、フロアの前端がバンピーな路面に底打ちし、ダウンフォースが抜けてしまうことでブレーキングで乗りにくいマシンとなる。メルボルンに比べるとバーレーンは路面がスムーズで、レーキ角をつけてもそのような悪癖が顔を出すことがなかった。
もちろん、このバーレーンで乗せ換えることになったホンダのPUも改善しているが、そのPUは車体に搭載されないと走ることができない。さらにその車体は4本のタイヤがついて初めて走る。PUの性能ももちろん大事だが、その性能を生かすも殺すも車体次第だということを、トロロッソはきちんと理解している。
田辺TDは言う。
「パワーがなくて戦えないという声は、いまのところドライバーからもチームからも聞いていません。今回の結果は、チームが持ち込んだ空力アップデートと、ドライバーがうまくラップをまとめてくれたおかげだと思っています」
昨年は感じられなかった一体感こそが、バーレーンGPの予選でトロロッソ・ホンダが6番手に躍進した最大の要因だったのかもしれない。