レースが残り10周となったところで、リカルドが白煙を上げてストップ。これを見たフェルスタッペンは心配になってチームに問い掛ける。同じルノー製パワーユニットのカルロス・サインツJr.も同じように止まっているだけになおさらだ。
VER「僕はどうすれば良い? エンジンをターンダウンする必要があるかどうか、僕のエンジンをチェックしてくれ」
しかしハイドロ系トラブルでありフェルスタッペンのエンジンに懸念はない。
バーチャルセーフティカー(VSC)が解除されると、フェルスタッペンは再びペースを上げて“気持ち良く”走っていく。「あれ以上遅くなんて走れなかった」と言い放った去年のレースと同じだ。
66周目、自己ベストを更新するフェルスタッペンにランビアーズが再び忠告する。
RBR「さっきの周のセクター2と3がパープルだったぞ。それは必要ないからな」
VER「必要ないのは分かってるけど、気持ち良いじゃん?」
RBR「OK、この周のセクター1もパープルだ。スローダウンしてくれ。BOT(バルテリ・ボッタス)がHS(ハイパーソフトタイヤ)の新品に換えたが周回遅れだから気にするな。マシンを家に持ち帰れ」
VER「OK」
結局何事もなく後続を寄せ付けることなく完全勝利。フェルスタッペンは昨年に続いてメキシコGPを制した。
RBR「よくやった、P1だ!」
VER「ハハハ、なんて素晴らしい日曜日だ!」
クリスチャン・ホーナー「スタートから素晴らしかったしドライビングも素晴らしかった。オランダ人のお友達(DJ)と一緒に表彰台を楽しんでこい! 今年は興奮しすぎないようにな!」
VER「あぁ、戦略も素晴らしかったしクルマも素晴らしかったよ。みんなありがとう」
RBR「予選でのタイヤ選択も正しかったし、今日もタイヤを上手くマネージメントしてくれた。今週末は“マイナーなミス”1つだけ除けばパーフェクトだったな」
オーストリアGPの勝利はメルセデスAMG勢の自滅によって得た勝利だった。去年のメキシコもそう。
しかし今回は違う。最初から最後まで、実力で勝ち獲ったパーフェクトな勝利だった。予選Q3最後のアタックでポールポジションを掴み獲ることができなかったという、“マイナーなミス”を除けば。
史上最年少記録のかかったチャンスは逃したが、ポールポジションを取り損ねたことを“小さなこと”と言えてしまうくらい、今のフェルスタッペンは速く、そして強いのだ。