マックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンによるタイトル争いを見届けようと、約20カ月ぶりに現場へ向かった柴田久仁夫氏。タイトル争いはもちろんのこと、アブダビでは久しぶりに海外のジャーナリストたちにも再会し楽しいひと時も(それと同時に困ったことも)あったとのこと。柴田氏が現地の様子をお届けしていきます。
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久しぶりのF1現場では、たくさんの懐かしい顔に再会できました。
まずはジャン・アレジ、ジャック・ビルヌーブ、フランク・モンタニーの元F1ドライバートリオ。
ジャックとフランクがフランスのTV局カナル・プリュスで解説やレポーターをやってるのは知ってましたが、いつのまにかジャンも加わってたんですね。
今年大活躍のガスリーでしたが、コロナのためにレース現場に来たのは僕同様このアブダビが最初で最後だったと。ミラノの家は時々訪問してたそうですが、息子がレースする姿が見たくてたまらなかったと言ってました。
金曜日の夜にはマクラーレンがメディア関係者を招いて、アペリティフを出してくれました。
ザイドル代表とも久しぶりに対面で話ができたのは良かったんですが、
イギリス人やフランス人ジャーナリストたちが、久しぶりに会った懐かしさもあって、わあわあ話しかけてくるわけです。
それはすごくうれしかったんですけど、僕の持ってるワイングラスにも飛沫ががんがん飛んでくる……。早々に失礼したのでした。
予選では角田裕毅選手が3戦連続の8番グリッド獲得。今季初めてガスリーを破ったこともあって、予選後の囲み取材には外人ジャーナリストたちも押し寄せてました。
コロナ禍のソーシャルディスタンス取材は、こんな感じです。僕も出発前に、100均で自撮り棒を買っといて良かった〜
そして日曜日の朝、ホンダ現場スタッフの記念撮影が行われました。
シーズン最終戦での恒例イベントですが、ホンダF1最後の今年、これが本当に最後の記念撮影です。
コロナ禍のこの2年、メディア関係者やゲストのスターティンググリッドへの立ち入りは厳禁だったのが、「シーズン後半になってから、ずいぶん緩くなった」と、今季全戦来ている熱田カメラマンが教えてくれました。とはいえジャーナリストがグリッドに行けるかどうかは、くじ引き制。幸い、当たりました!
こんな表彰台、見たことない。二人の最終決戦を、主催者側も思いっきり煽ってました。
タッチの差で撮り逃しましたが、マシンを降りたハミルトンはこの直前までグランドスタンドの大声援に両手を振って応えてました。
一方のフェルスタッペンはさっさとトイレに向かっていて、マシン横では田辺テクニカルディレクターが厳しい表情で、最後のチェックをしてました。
リヤ側に回って、さりげなく排気口の前に手を当てて温度を確認してたのが印象的でした。
その周りをすぐに、テクニカル・ディレクターのジョディ・エギントンやトスト代表らが取り囲んで、じっと話を聴いてました。
その後、一人残ったトストさんが、角田選手を抱き寄せるようにして何か耳打ちしてました。何を話してたんでしょうね。
国歌演奏後、夕暮れの逆光の中をエティハド航空の旅客機を先頭に戦闘機の編隊飛行。
そしてレースは劇的な形で幕を閉じ、マックス・フェルスタッペンの初戴冠となりました。
最終周に次々にボッタスを抜き、最後はチームメイトバトルを繰り広げて4、5位を果たした角田選手、ガスリーが、TVインタビューを待つ間なごやかに談笑してました。
部下たちとにこやかに歓声をあげていた田辺さんでしたが、本橋さんにがしっと抱きしめられると
感極まって号泣してました。第3期から苦楽を共にし、2018年以降はレース現場のナンバー1、2としてホンダスタッフを引っ張ってきた二人です。いろんな思いが去来したんだと思います。本当におめでとう。そして、お疲れ様でした。