FIA WTCR世界ツーリングカー・カップの第2戦が4月27~29日にハンガリーで開催され、地元の大歓声を受けポールポジションからスタートしたノルベルト・ミケリス(ヒュンダイi30 N TCR)を差し置き、22歳のヤン・アーチャー(ホンダ・シビック・タイプR TCR)がホンダ勢に初優勝をもたらした。レース2ではロブ・ハフ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)が、続くレース3ではガブリエル・タルキーニ(ヒュンダイi30 N TCR)が勝利を挙げ、タルキーニは今季3勝目を記録している。
世界随一のツイスティな特性を持つハンガロリンクを舞台に開催された、TCR規定マシンの祭典、WTCR第2戦はWTCC世界ツーリングカー選手権時代から地元の大声援を受けて活躍を演じてきたミケリスが堂々のコースレコードでポールを獲得。今季、TCR規定のシリーズで猛威を振るうヒュンダイi30 N TCRのスピードを見せつけるとともに、土曜のレース1に向け期待の高まるパフォーマンスを披露した。
しかしそのスタートの1コーナーで首位に躍り出たのは、フロントロウ2番手から飛び出したエステバン・グエリエリ(ホンダ・シビック・タイプR TCR)だった。
地元ヒーローを抑え込んで右コーナーにターンインしたグエリエリだったが、続く左旋回の2コーナー進入で“ハンガロリンク攻略法”を知り尽くしたミケリスが逆襲に転じ、2台はサイド・バイ・サイドでコーナーへ。
タルキーニを混じえて軽くコンタクトを繰り返しながら並んでバトルを繰り広げた3台は、わずかに立ち上がりで車速が鈍ったところ、その間隙を逃さずにグエリエリのチームメイトであるアーチャーがトップへとおどり出る。
これにより僚友グエリエリは2番手に後退、続く3番手にはアーチャーの叔父であり、自らのチームを率いてシリーズに参戦するイバン・ミューラー(ヒュンダイi30 N TCR)が浮上。ミケリスは一瞬にして4番手までドロップすることとなった。
首位アーチャーと2番手グエリエリのミュニッヒ・モータースポーツ編隊は、開幕戦モロッコで圧倒されたヒュンダイとのパフォーマンス差を覆すかのように、後続とのギャップをみるみる広げていく。
そのFK8型シビック・タイプR勢の背後では、ミューラーがミケリスとヒュンダイ同士のバトルを展開し、執拗なブロックでポジションを堅守したが、ファイナルラップ目前の11周目、ついに最終コーナーからの攻防で車速を乗せインに飛び込んだミケリスが、ターン1で3番手奪還に成功した。