オーストラリア大陸のモータースポーツ・カテゴリーを統括するARG(Australian Racing Group)が創設したプロドライバー向け新eスポーツ・シリーズ『ARG eSports Cup』の第3戦ワトキンスグレンが行われ、開幕戦、第2戦に続き英国より参戦する元BTCCイギリス・ツーリングカー選手権王者アシュリー・サットンが勝利を飾った。
この『ARG eSports Cup』は、豪州大陸を代表するツーリングカー・シリーズ、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーを除き、2019年創設のTCRオーストラリアや豪州史上最速フォーミュラのS5000シリーズ、そしてVASCステップアップ・カテゴリーのSuper2やSuper3、V8ツーリングなどに参戦中のプロを対象としたeスポーツ選手権となっている。
アメリカ西部を代表するロードコース“ザ・グレン”ことワトキンスグレンを舞台とした今回も、各シリーズに加えて3台のワイルドカード枠を争うクオリファイレースを勝ち抜いた計43台がグリッドに並ぶ盛況ぶりを見せたが、やはり強さを見せたのは開幕戦バサースト、マウントパノラマでのレース1で初代ウイナーに輝き、続く第2戦ベルギーのゾルダーでも勝利を飾った元BTCC王者だった。
技術的トラブルによりレース開始時間が遅れた4月16日の決勝レース1は、そのサットンがフロントロウ2番手に並び、イギリスからの刺客を止めるべく奮闘したV8ツーリングカー参戦中の若手有望株、ハーレー・ハーバー(United eSports)がポールポジションからの発進となった。
シケインを設定しないショート版を使用したザ・グレンでの勝負は、先頭集団の各車がトウで引き合うスリップストリーム合戦の様相となり、ハーバーとサットン以下、ワイルドカード枠のルカ・ジャコミン(Team Valvoline GRM)、TCRレギュラーのジョーダン・コックス(Garry Rogers Motorsport)、元VASC参戦組でS5000挑戦中のジェームス・ゴールディン(Team Valvoline GRM)らが目まぐるしくトップスポットを入れ替える好バトルが展開される。
開幕からアウディRS3 LMSワンメイクの設定を使用するこのシリーズでは、イコールコンディションゆえに決定打がないままに周回数だけが増えていく精神戦となるなか、レース時間20分を過ぎた頃から首位ハーバーと後方から追い上げを見せたネイサン・ヘルネ(Gulf Western Oils)が逃げはじめ、サットンを含む後続3台は徐々にギャップを築かれていく。