急遽、WTCR世界ツーリングカー・カップ開幕戦との併催イベントになったベルギー・ゾルダーでのTCRヨーロッパ・シリーズ第2戦は、レース1で地元ニコラス・ベアト(アウディRS3 LMS/Comtoyou Racing)がシリーズ初優勝をマーク。続くレース2では、今季TCRドイツから“物議の移籍”を決めた兄マイクに帯同する、妹のミシェル・ハルダー(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/Profi Car Team Halder)が、シリーズの歴史に名を刻む初代女性勝者となった。
WTCR同様にセダンボディのアウディ勢が猛威を振るった9月12~13日のゾルダー戦は、公式練習から好調を維持したベアトが、ハッチバックモデル最速の意地を見せて喰い下がるマット・オモラ(ヒュンダイi30 N TCR/BRC Racing Team)を退け、自身初の予選ポールポジションを獲得した。
さらにセカンドロウにはモロッコの英雄メディ・ベナーニ(アウディRS3 LMS/Comtoyou Racing)と、同郷18歳のサミ・タウフィク(アウディRS3 LMS/Comtoyou Racing)が並び、Comtoyouのアウディ勢が上位4台中3台を独占する速さを見せた。
そんなレース1では、初ポールシッターのベアトがクラッチミートに失敗し蹴り出しが鈍ると、1コーナーでオモラの先行を許す苦しいスタートに。しかしすぐさま挽回のチャンスが訪れ、ターン3でワイドになったオモラに並びかけたベアトのアウディは、続くシケインで競り勝ち首位を奪還してコントロールラインに戻ってくる。
その背後で抜群のスタートを見せたのが5番グリッドのマイク・ハルダー(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/Profi Car Team Halder)で、オープニングで2台のアウディを仕留めて3番手に上がると、2周目のターン1では強引にドアをこじ開けてオモラを抜き去り、2番手へと浮上してくる。
その後、アンドレアスとジェシカのバックマン兄妹(ヒュンダイi30 N TCR/Target Competition)がウォールにクラッシュしセーフティカーが介入する波乱が起こるも、落ち着いてリスタートを決め14周を走破したベアトが、マイク・ハルダー、オモラを抑えて地元戦でのうれしい初優勝を飾った。