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海外レース他 ニュース

投稿日: 2021.07.01 12:58
更新日: 2021.07.01 12:59

若手が台頭する今季のインディカー。速さと冷静さを併せ持つパロウに、勝負勘と度胸で挑むオワード

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海外レース他 | 若手が台頭する今季のインディカー。速さと冷静さを併せ持つパロウに、勝負勘と度胸で挑むオワード

 今季のインディカーシリーズでは若手が台頭。そのなかで、第9戦ロード・アメリカ終了時点でポイントリーダーに立っているのがアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)だ。第9戦でのキャリア2勝目は今季5回目の表彰台。彼は実績を自信に換えていく天才で、走ったぶんだけ速くなっていくという戦いぶりを見せてきている。

 デトロイト・レース2を3位で終えた際、「パト(・オワード)がすごい勢いでポジションを上げてきていて、次は自分が抜かれる番だと思った」と笑いながら振り返っていた。彼は2番手の座をいったん明け渡すと、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)にアタック。結局パスはならず、3位でのゴールとなったが、それを受け入れていた。「パトは今季のここまでで一番いいパフォーマンスを見せていたからね」

 一方、その裏の自信も隠さない。2年目からガナッシで走っていることについて、「勝利に対するプレッシャー、それこそがレースだと思う」と言うほどだ。「インディカーではアグレッシブな走りが必要。そうしなかったら、誰かがよりアグレッシブに自分より速く走ることになるだけ」とも言うが、限界を超えてアクシデントを起こすタイプではなく、常に少しの余裕を残して戦う冷静さも併せ持っている。

アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)
アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)

 パト・オワード(アロウ・マクラーレンSP)の評価はもともと高かったが、同チームで走り出してから実力が開花。すでに4勝を挙げているコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)との差を埋める勢いだ。デトロイト・レース2での逆転勝利を見ても分かるとおり、彼は競わせると非常に強い。トップを走るニューガーデンとのサイド・バイ・サイドのバトルで一歩も譲らなかった。勝負勘も度胸も充分にある。

 また、コールドタイヤでの速さが証明するとおり、マシンコントロール能力が非常に高い。デトロイト・レース1の終盤、リスタートで次々とライバルたちをパスしていったときもマシンは滑っていたという。「グリップが残っていると感じていた。1台ずつ、ただ1回のアタックで仕留める必要があった。それを達成できたのがうれしかった」と振り返る。ただ、波があるところがオワード陣営の弱点か。

パト・オワード(アロウ・マクラーレンSP)
パト・オワード(アロウ・マクラーレンSP)

 昨季19歳でデビューしたオランダ人のリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)は、そのデビュー戦テキサスでアクシデントを起こし、チームオーナーのエド・カーペンターから大目玉。ただ、その後はコースを選ばぬスピードを見せていた。

 シーズン終盤のインディアナポリス(IMS)でのロード戦ハーベストGPレース1でキャリア初ポールポジションから3位。今年は4月にIMSのオーバルでの開幕前テスト開始直後にクラッシュしてテストを棒に振ったが、IMSロード戦でキャリア初優勝。インディ500では2年連続のファスト9進出から予選3番手で史上最年少フロントロウ入りと、秘めたスピードを発揮してきている。

 初走行のデトロイトではプラクティスで派手にコースアウトしたが、リスクを怖れないアグレッシブさは規格外で、クラッシュしても縮こまらないところは大きな魅力。その全容はまだ明らかになっていない。

 第2戦セントピーターズバーグでニューガーデンを寄せつけずにキャリア4勝目を挙げたハータはフルシーズン3年目、21歳にしてアンドレッティ軍団のエースとなっている。「1勝、2勝じゃタイトルは獲れない。3、4勝して、勝てないレースでも表彰台に上がる。自分たちならそれができるはず」

 だが、チームには上昇気流に乗れそうもない不穏な雰囲気も漂う。ライアン・ハンター-レイとジェイムズ・ヒンチクリフのパフォーマンスが下降線を辿り、アレクサンダー・ロッシは悪いときのほうが多いほど。シーズン後半戦も彼の孤軍奮闘は続きそうだ。

※この記事は本誌『オートスポーツ』No.1556(2021年7月2日発売号)からの転載です。

リナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)
リナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)
コルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)
コルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)
auto sport No.1556(2021年7月2日発売号)の詳細はこちら
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