12月9日に2022年シーズン、デイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシングへの移籍発表をしたばかりの佐藤琢磨。その後も休むことなく忙しい日が続いている。
12日には東京・代々木の山野ホールで年末恒例のファンクラブミーティング「Takuma Club Meeting 2021」を行った。今年のテーマは“Thanks for RLLR”とし、2012年、そして2018年から4年間、計5年間を振り返る内容だった。
まず冒頭に登場するとファンに帰国を挨拶と、来季のデイル・コイン・ウィズ・リック・ウェア・レーシングへの移籍を改めて報告し、場内から拍手を浴びる。
その後はオンボードビデオを中心とした映像で2021年を振り返り、ファンへレース解説を行った。特にインディ500のシーンでは念入りに時間を割いて、なぜチームがステイアウトの戦略を取ったかなどを、レース中の無線を織り交ぜながら解説。ファンが知り得なかった場面を詳細に説明していた。
「今年のクルマは走り出してすぐにタイヤに熱を入れられないような傾向が続いていて、特に予選は苦戦しました。だからレースは後方グリッドから追い上げる展開が続きました。おかげでハードチャージャーアワードを受賞できたんですけど、シーズンの最後まで苦労しましたね……」と琢磨。
2021年のレース解説だけで60分をゆうに越える説明だったが、ファンは琢磨が今年いかに苦労していたかわかっただろう。
その後には、2012年からのレイホール時代の全成績が映し出され、2012年のDNFの多さと2021年の完走率を比較したり、数字で5年間を振り返った。
また改めてチーム移籍の話に触れ、「これまで3チームと話をしていて、最後はデイル・コインに決めたわけですが、その他のチームはインディ500に常に勝っているところがあり、それも魅力的なオファーでした。名前は言えませんけどね（笑）」
「デイル・コインの最後の決め手は、『ウチのインディ500のクルマは速い。それを勝って証明したい』と言われたことですね。確かに予選まではアレックス・パロウが脅威的な速さを見せていたり、セバスチャン・ブルデーがホンダで最速ということもありました」
「ロード、ストリートコースでも速かったし、今から彼らと一緒に仕事をするのが楽しみです」と目を光らせて語ったが、「ただ開幕前にテストが少ないのが残念」ともコメントしていた。ともあれ、ファンにとっては十分に引き込まれるチーム移籍の経緯だった。
ファンからの質問コーナーやプレゼントコーナーと続き、最後は感染対策を施してパーティションを挟んでファン全員と2ショットの撮影会を最後のひとりまで行った。
例年ならここで終わってひと息というところなのだが、今年は大急ぎでホンダのウエルカムプラザに移動して、F1最終戦アブダビGPのパブリックビューイングに参加。ステージ上で元SAF1の監督でもある鈴木亜久里とトークショーで軽妙なトークでファンを盛り上げた。
そこへアブダビの現地と繋ぎ、ホンダの山本雅史マネージングディレクターとスタート前に応援のエールを送る。
「今日はフルパワーで最後まで頑張ってくれますよね？ みんな日本から応援しています。（角田）裕毅も予選で良い走りをしていたから大丈夫！ 頑張ってください！」と画面越しにエールを送りながら拍手が沸いた。
山本ディレクターは「ありがとうございます！ 本当にこれが最後ですが、笑って日本に帰れるように頑張ります！」と笑顔で答えた。
その2時間後には、マックス・フェルスタッペンが優勝し、ドライバーズタイトルを決定。ホンダはチャンピオンとなってF1から去っていった。
