2020年からETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップに参戦するドイツ出身のクレメンス・ヘッカーが、新たなシーズンに向け完全新開発の新型トラック投入を表明。デビュー時よりゆかりのある北欧『SCANIA(スカニア)』製ヘッドを採用した、その名も“プレデター・ミンナ”で、自身3年目のETRCを戦うとアナウンスした。また、4月下旬にチェコ共和国のモストで開幕前プレテストを実施したシリーズは、全15台を数える年間エントリーリストを公開している。
かつてミカエル・ヨハンソンがドライブした『スカニア・トーピード』を譲り受け、2017年にドイツ国内選手権でデビューを飾ったヘッカーは、その後トラックレーシング界で実績あるMAN(マン)にスイッチしてオランダのシリーズで腕を磨いたのち、2020年より晴れて欧州選手権のETRC昇格を果たした。
そうした自身の努力を強化するべく、ヘッカーはかねてより「真新しいトラックを作りたいと思っていた」と明かしており、この2年計画と数カ月のハードワークの後、印象的な新型トラックがいよいよETRCデビューの準備を整えた。
地元ドイツで採石・採掘事業を営むヘッカーにとって、そのビジネスで長年活躍するスカニア製モデルをベースとするのは「簡単な決定だった」という。
「マンのトラックでシリーズデビューして以降も、ずっとスカニアが欲しいと思っていたから、こうしてゼロから製作することにしたんだ」と語った40歳のヘッカー。「これは、新開発エンジンと完全にリニューアルされたデザイン骨格を備えた、スカニアの最新世代トラックでもあるんだ」
そのヘッカー・レーシングの新型スカニアを含む複数チームが参加したモストでは、3日間のテストセッションが実施され、2021年は惜しくもランキング2位に終わったサッシャ・レンツ(SLトラックスポーツ30/マン)が最速・最多周回を重ね、シーズンに先立って貴重なデータを収集。2017年王者であるバギラー・レーシングも2台のトラックを持ち込み、エースのアダム・ラッコ(フレートライナー)はタイトル奪還に向けた意欲を示した。