サマーブレイクを挟み、9月3~4日の週末にチェコ共和国のアウトドローモ・モストで争われた2022年ETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップ第5戦は、今季開幕から快進撃を続けるハンガリー出身の王者ノルベルト・キス(レベス・レーシング/MAN)が、連続ポールポジション記録を「9」にまで伸ばし、土日のオープニングヒートそれぞれを制する典型的スタイルで圧勝した。
一方、今季に入ってキャリア初の総合優勝を飾ったプロモーターズカップ登録のジェイミー・アンダーソン(アンダーソン・レーシング/MAN)は、土曜予選から驚きの速さで上位グリッドを獲得すると、両日のリバースグリッド戦を制する活躍を演じ、直前のタービン交換も乗り越えての4勝目を飾っている。
7月中旬の“聖地”ドイツ・ニュルブルクリンク戦以来、約2カ月のインターバルを経て再開されたETRCは、土曜予選からディフェンディングチャンピオンがふたたびスーパーポール・セッションを制し、2009年に設定されたラップタイム記録を更新する速さで定位置を確保する。
そのキスに喰い下がったシリーズ6冠を誇るヨッヘン・ハーン(チーム・ハーン・レーシング/イベコ)に続き、驚きはセカンドロウ3番手に飛び込んできたアンダーソンで、今季第3戦のスロバキアリンクで自身初の総合優勝を記録したイギリス人は、これがブレイクスルーとなったか。前戦ニュルの最終ヒートも制して自身2度目のオーバーオール・ウインを飾っており、夏休み明けもその成長がフロックではないことを証明する2列目を獲得した。
そのまま土曜午後に始まったレース1は、左右を入れ替えるターン1の攻防でフロントロウのハーンがプレッシャーを掛けたものの、その後方でシュテフィ・ハルム(チーム・シュバーベントラック/イベコ)が他車と絡んだことで、赤旗中断の起因となる。
リスタートでも背後のドイツ出身ドライバーを抑えたキスは、そのまま4秒のギャップを築いて独走状態へ。終盤にはアントニオ・アルバセテ(Tスポーツ・ベルナウ/MAN)がターン4~6でオイル漏れを起こし、最終的に炎上するアクシデントも発生。残り4周はイエローフラッグが振られるなか、トップチェッカーを受けたキスが週末最初の勝利を手にした。