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海外レース他 ニュース

投稿日: 2023.03.02 10:00
更新日: 2023.08.08 13:21

【2023年インディカーをゼロから学ぶ】ダブルポイント廃止でより混戦模様の王者争い。オーバルに専念の琢磨にも期待

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海外レース他 | 【2023年インディカーをゼロから学ぶ】ダブルポイント廃止でより混戦模様の王者争い。オーバルに専念の琢磨にも期待

 3月3~5日にセント・ピーターズバーグで開幕戦を迎える2023年のNTTインディカー・シリーズ。ここでは2023年シーズンのインディカーをより楽しめるよう、基本的なレギュレーション、シーズンエントリー状況や、開催スケジュールといった各種情報を改めてお伝えする。

 2023年シーズンのNTTインディカー・シリーズでは引き続き、ダラーラDW12のワンメイクシャシーで競われる。ダラーラDW12は2012年に導入され11年目を迎えるシャシーだが、例年細かなアップデートが施されており、2020年シーズンからはエアロスクリーン型ドライバー保護デバイスを装着し、見た目も大きく変化を遂げた。

 エンジンは引き続き、ホンダとシボレーの2メーカーが供給する2.2リッターV6ツインターボを使用。来シーズンからは2.2リッターV6ツインターボにハイブリッドモーターを組み合わせたパワーユニットが導入される予定だ。
 

ホンダ/HPDが供給するインディカー用エンジン。サーキットごとのターボブースト圧で異なるが550〜700馬力を発する
ホンダ/HPDが供給するインディカー用エンジン。サーキットごとのターボブースト圧で異なるが550〜700馬力を発する

 
 2023年シーズンからは燃料が100%再生可能燃料に変更。2019年より85%のエタノールに15%のハイオクを混合したE85燃料が使われてきたが、今後はシェルがインディカー用に開発したサトウキビの廃棄物から作られる第二世代エタノールと他のバイオ燃料を混合した燃料を使用する。

 タイヤは、今シーズンもブリヂストンの北米子会社であるファイアストンがワンメイク供給し、ストリートとロードコースではハード目のプライマリータイヤとソフト目のオルタネート・タイヤの2スペックが使用される。プライマリータイヤは通称“ブラックタイヤ”、オルタネートタイヤはサイドウォールがレッドに彩られていることから“レッドタイヤ”とも呼ばれる。

 5回あるストリートコースでは、昨年投入した天然ゴムに代わって砂漠で育つグアユールの木か抽出した原料を使用する“グリーンタイヤ”を導入。これも新燃料と同じくサスティナブルへの取り組みだ。
 

オルタネートタイヤはサイドウォールがレッドに彩られていることから“レッドタイヤ”とも呼ばれる
オルタネートタイヤはサイドウォールがレッドに彩られていることから“レッドタイヤ”とも呼ばれる

新原料を一部に使用したグリーンタイヤ
新原料を一部に使用したグリーンタイヤ

 
 レース中のオーバーテイク機会を増やす試みとして、『プッシュ・トゥ・パス』が導入されていることもインディカーの特徴だ。これはロード、ストリートコースでのレース中、1回の使用で20秒間ターボ過給圧を増加させ、その間、出力が約60馬力向上するというシステムだ。サーキットごとに使用時間は異なるが、レース中、合計200秒間使用でき、各ドライバーはここぞという勝負所で使用する。

 レース終盤では、どのドライバーがどのくらい『プッシュ・トゥ・パス』が残っているのか、そしてどこで使用するのかもレースを観るうえでチェックしておきたいポイントだ。

 また、インディカーではピットストップ戦略が大きな鍵となる。燃料補給、タイヤ交換をスムーズに実施することはもちろんのこと、ロード/ストリートではブラック(ハード)とレッド(ソフト)というコンパウンドの異なる2種類のタイヤの使用義務があるため、どちらのタイヤでスタートするのか、摩耗の早いレッドタイヤをどこで投入し何周走るのかも順位を左右するポイントとなる。

 さらに、アクシデント発生時に導入されるローカルイエロー(ロード/ストリートのみ)やフルコースコーション導入のタイミング次第ではピットインでポジションを大きく上げる、もしくは下げることもあるため、各チームはフルコースコーション導入も見越した上でピットストップのタイミングを見極めなければならない。

 ドライバーの腕やマシンのセットアップだけではなく、ピットストップのタイミングを見極めることもインディカーを制する重要な要素となる。

■ダラーラDW12主要諸元表

メーカー ダラーラ(イタリア)
モデル名 ダラーラ IR-12(DW12)
素材 炭素繊維、ケブラーなどの複合素材
重量 約1630ポンド(ロード/ストリートコース)、約1620ポンド(ショートオーバル)、1590ポンド(スピードウェイ)(燃料、ドライバー等は含まず)
全長 約201.7インチ
全幅 最大76.5 インチ, 最小75.5 インチ
全高 約40インチ
軸距 117.5~121.5インチ
フロントホイール 直径15インチ、幅10インチ、最低重量: 13.48 ポンド
リヤホイール 直径15インチ、幅14インチ、最低重量: 14.7 ポンド
タイヤ銘柄 ファイアストン製ファイアホーク
フロントタイヤ フロント 最大26インチ、最小25インチ @ 35 psi
リヤタイヤ リア 最大 27.5インチ、最小26.5インチ @ 35 psi
ブレーキ PFC製CR90モノブロックアルミキャリパー、カーボンブレーキディスク&パッド
ギアボックス Xトラックス製ギアボックス 6速パドルシフト
燃料タンク 18.5USガロン
エンジンメーカー ホンダ、シボレー
エンジン形式 2.2L V6 ツインターボ
エンジン最低重量 248 ポンド
ターボ ボーグワーナー製EFR 7163ツインターボチャージャー
エンジン回転数 最大12,000 rpm(レブリミッター装備)
最大ブースト圧 1300 mbar(スーパースピードウェイ)、1400mbar(インディ500予選)、 1500mbar (ショートオーバル、ロード/ストリート)、 1650mbar (プッシュ・トゥ・パス使用時)
馬力 550-700 馬力(サーキットごとのターボブースト圧で異なる)
燃料 E85燃料(エタノール85%、ガソリン15%のブレンド)
インジェクター 1気筒あたり最大2つのインジェクター、1つは直接噴射用、最大燃料システム圧力は300バール
ECU マクラーレン・アプライド・テクノロジーズ製TAG-400i
スロットル ドライブバイワイヤ制御 ポートスロットル

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