2022年シーズンは、最終戦までシリーズを代表する2チーム、チーム・ペンスキーとチップ・ガナッシ・レーシングのドライバーたちがチャンピオンを争い、チーム・ペンスキーのウィル・パワーが2014年以来となる2回目のシリーズチャンピオンを獲得した。
チーム・ペンスキーは、ディフェンディングチャンピオンのパワーを筆頭に、2017、2019年の王者ジョセフ・ニューガーデン、そして昨年3勝を挙げシリーズ4位となったスコット・マクラフランの盤石の体制で今季も挑む。
一方、ライバルのチップ・ガナッシ・レーシングは、シーズン中に2022年王者のアレックス・パロウの移籍問題が生じたが、パロウは残留。インディカー最強ドライバーとして君臨するスコット・ディクソン、昨年のインディ500王者マーカス・エリクソンの3名に加え、ルーキーのマーカス・アームストログをロード/ストリートコースで起用。
そして、アームストロングとマシンをシェアしオーバルレースにチップ・ガナッシから参戦するのが佐藤琢磨だ。
参戦14年目はオーバルレースのみのフル参戦とはならなかったが、名門チームへ移籍して挑む第107回インディ500では今年も優勝争いが期待される。琢磨の今季の最大の目標は、2017、2020年に続く3度目のインディ500制覇だ。
琢磨が参戦するのは、インディ500のほかに4月のテキサス戦、7月のアイオワ2レース、8月のゲートウェイ戦の合計5レースだ。インディカーでの7勝目も期待したい。
2チームのほかに注目なのがアロウ・マクラーレンSPだ。年々チーム力をアップさせているマクラーレンは、パト・オワードとフェリックス・ローゼンクヴィストに加え、2023年は長年アンドレッティ・オートスポートで参戦していたアレクサンダー・ロッシが加入。新たなチームで再び輝きを見せることができるだろうか?
アロウ・マクラーレンSPはインディ500でトニー・カナーンの起用も決定している。このレースを最後にインディカーを去ると発表しているベテランドライバーのカナーン。ラストレースでの奮闘にも注目したい。
ロッシが抜けたアンドレッティ・オートスポートは、コルトン・ハータ、ロマン・グロージャン、デブリン・デ・フランチェスコに加え、AJ.フォイト・レーシングからカイル・カークウッドが移籍する。
カークウッドは、インディ・ライツ(今季からインディNXT)時にアンドレッティ・オートスポートでチャンピオンを獲得。古巣へ戻っての活躍が期待されている。
ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得したクリスチャン・ルンガーはレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングから引き続き参戦。ルンガーとルーキー・オブ・ザ・イヤーを争ったデイビッド・マルーカスもデイル・コイン・レーシングと変わらない体制だ。
予選で速さを見せたカラム・アイロットが所属するフンコス・ホーリンガー・レーシングは、2023年から2台体制となり、もう一台をアルゼンチン国内で通算15回のツーリングカー王者獲得経験を持つアグスティン・カナピノがドライブする。チーム力拡大によるアイロットの走りにも注目だ。
レース開催サーキットのバラエティさもインディカーの魅力のひとつだ。
世界3大自動車レースに数えられるインディ500を筆頭に、オーバル、ロード、ストリートのさまざまなサーキットでレースが繰り広げられる。それぞれ、走り方や作戦も大きく異なるから、インディカーはファンを飽きさせることのないシリーズとも言えるだろう。
2023年シーズンのNTTインディカー・シリーズも引き続き17戦で開催。ベルアイルパークで開催されていた6月のデトロイトGPは、デトロイト市街地での開催に変更となっている。
また夏は過密なスケジュールとなっており、9週間で8レースが実施される。ここで波に乗ることができるかが、チャンピオン争いにも大きく影響してくるだろう。
インディカーのポイントシステムは、1位が50ポイント、2位が40ポイント、3位が35ポイントで決勝順位によってそれぞれポイントが与えられる。さらにリードラップを記録したドライバーに1ポイント、最多リードラップを記録したドライバーに2ポイント、ポールポジションを獲得したドライバーに1ポイントと1レースで最大54ポイントが獲得できる。
また、今シーズンからインディ500で設定されていたダブルポイント制度がなくなったため、1レースでチャンピオン争いを大きくリードすることはさらに難しくなっている。
毎年コンペティティブなレースが繰り広げられるインディカーレース。昨年は9レースで9人のポールポジションが生まれるなど予選から激しい争いとなっている。今年もその戦力図は変わらないだろう。
チーム・ペンスキーとチップ・ガナッシの2強の王者争いとなるのか? それともアンドレッティ・オートスポート、アロウ・マクラーレンSPのドライバーたちがかかわってくるのか? まずは開幕戦で誰が好スタートを切るのか注目してほしい。
■NTTインディカー・シリーズ2023年レースカレンダー
日程 | 開催場所 | コース |
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3月5日 | セント・ピーターズバーグ市街地 | ストリート |
4月2日 | テキサス・モータースピードウェイ | オーバル |
4月16日 | ロングビーチ市街地 | ストリート |
4月30日 | バーバー・モータースポーツパーク | ロードコース |
5月13日 | インディアナポリス・モータースピードウェイ | ロードコース |
5月28日 | インディアナポリス・モータースピードウェイ | オーバル |
6月4日 | デトロイト市街地 | ストリート |
6月18日 | ロードアメリカ | ロードコース |
7月2日 | ミド・オハイオ・スポーツカーコース | ロードコース |
7月16日 | トロント市街地 | ストリート |
7月22日 | アイオワ・スピードウェイ | オーバル |
7月23日 | アイオワ・スピードウェイ | オーバル |
8月6日 | ナッシュビル市街地 | ストリート |
8月12日 | インディアナポリス・モータースピードウェイ | ロードコース |
8月27日 | ワールド・ワイド・テクノロジー・レースウェイ | オーバル |
9月3日 | ポートランド・インターナショナル・レースウェイ | ロードコース |
9月10日 | ウェザーテック・レースウェイ・ラグナセカ | ロードコース |