アルゼンチンが誇る“南米最高峰の技術的カテゴリー”こと2023年のTC2000(旧スーパーTC2000)が首都ブエノスアイレスで開幕。2月24~26日のオスカー・ファン・ガルベスでは、新生YPFホンダRVレーシングのホンダ・シビックTC2000や、新たにTOYOTA GAZOO Racingチームと改称したトヨタ・カローラTC2000の日本車勢がプラクティスからトップタイム連発と躍動する。
さらにこちらも体制一新のシボレーYPFチーム改め、YPFエライオン・オーロ・プロ・レーシングのシボレーYPFクルーズらも参戦するなか、今季最初のポールポジションはホンダが奪取。しかし日曜はシボレー移籍のフランコ・ビビアンと、昨季2度目の王座を獲得したアクシオン・エナジー・スポーツのエース、リオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)が制している。
袂を分かっていた旧TC2000シリーズとの和解が成立し、再出発を迎えた新生TC2000だが、2024年以降には「SUVをベースとした競技車両の技術開発と製造」に取り組む方針を示しており、これが現行規定“世界最速のFFツーリングカー”にとって最後のシーズンになる可能性が高まっている。
そんななか、開幕を控えて各陣営が続々と体制を固め、2009年より続いてきたSTC2000での2冠を誇るエース、ファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックSTC2000)の残留に加え、昨季2022年まで所属のシボレーYPFチームからベルナルド・ラヴァーを獲得したホンダ陣営は、さらにルーキーとベテランの起用を含め、改めての4台体制を構築。トヨタ陣営のTOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナ(TGRA)も、エースのジュリアン・サンテロ続投に加えて若手有望株2名を抜擢した。
一方、チームとともに2度のタイトルを獲得したアグスティン・カナピノが北米インディカー挑戦を決め、その僚友ラヴァーも離脱したシボレーは、ともに33歳のビビアンとウルグアイ出身のロドリゴ・アラメンディアを起用。そして王者ルノーは最年長チャンピオン獲得記録を更新した47歳のペーニャと、今季よりTCRにも本格進出する18歳の新鋭イグナシオ・モンテネグロらを筆頭に、不動の4台体制を維持している。
こうして始まった金曜初日のプラクティスは、午前午後ともに爽やかなホワイト&ブルーのスキームとなったシビックが制圧し、アルドゥソ、ラヴァーが首位を奪って優位に立つ。明けた土曜にも3回の公式練習セッションが設けられ、朝と昼の2回連続でTGRAのサンテロがドライブするカローラがトップタイムを記録し、ここまでの全セッションで日本メーカーの車種たちがスピードを見せつける。