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海外レース他 ニュース

投稿日: 2023.05.22 17:48
更新日: 2023.05.22 17:49

第107回インディ500予選/ポール争いは0.004秒でパロウが制する。琢磨は3列目グリッドを獲得。レイホールがまさかの予選落ちに

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海外レース他 | 第107回インディ500予選/ポール争いは0.004秒でパロウが制する。琢磨は3列目グリッドを獲得。レイホールがまさかの予選落ちに

 第107回インディアナポリス500マイルの予選は、1日目が摂氏19度と最低気温が低く、2日目は27度まで最高気温の上がる、コンディションの大きく異なる2日間となり、マシン調整もドライビングも非常に難しい状況下、ポールポジションはアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)が獲得した。

 昨年の予選でチームメイトのスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)に惜しくも破れての予選2番手となったパロウは、4回目のインディ500挑戦で初のポールポジションを獲得。スペイン人ドライバーにとって史上初のPPとなった。

 パロウは先週インディアナポリスモータースピードウェイのロードコースで行われたシリーズ第5戦GMRグランプリで優勝しており、来週の日曜日にインディ500で初優勝を飾れば、2018年のウィル・パワーに続いて5月のインディアナポリスでのロードレースとオーバルレースの両方を制する”インディ・メイ・スウィープ”達成の第二号になる。

「素晴らしい結果になった。クルーたちが昨年から1年間、そして今月もハードワークをして来てくれたおかげだ。彼らが最速マシンを僕に用意してくれたんだ」

「予選のファイナルは攻めて戦うべきだと思った。最初の1ラップで高いスピードを出して、その後を安定させることを狙い、それを実現した」

「最終ラップをアクセル全開で走り切るのは難しかったが、それをやり切った。今晩はPP獲得をおおいに祝って、明日からはまたビッグレースでの勝利に向けた準備を進めていく」とパロウは話した。

アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)
アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)

スペイン人ドライバー初のインディ500ポールポジションを獲得したアレックス・パロウ
スペイン人ドライバー初のインディ500ポールポジションを獲得したアレックス・パロウ

 予選2番手はリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)。今年が4回目のインディ500だが、過去3回での予選で4番手、3番手、3番手という驚くべき成績を残し得て来ているオランダ出身の22歳。今日の予選でのパロウとのスピード差は0.006mphで、これは歴代最少。4ラップ=10マイルを走っての差は、パロウが2分33秒0737だったのに対してヴィーケイは2分33秒7077。差はたったの0.004秒だった。

「今はまだ”負けた”という事実が頭の中にある。予選ファイナルのマシンは最高のハンドリングだったし、ドライビングもこれ以上のことはできないというぐらい良いものだった」

「この事実を受け入れるのには少し時間が必要だ。しかし、来週が決勝レースのインディ500を僕は楽しむことに徹したい。予選2番手は自己ベストでもあるのだから」とポジティブに捉えようと努力していた。

 予選1日目、そしてTOP12クオリファイ最速で、最後のアタッカーとして走ったフェリックス・ローゼンクヴィスト(アロウ・マクラーレン)は234.114mphで3番手。フロントロウは全員ヨーロピアンとなった。

 インディ500優勝4回を史上初めて成し遂げた伝説のドライバー、AJ・フォイトのチームで今年から走っているサンティーノ・フェルッチ(AJ・フォイト・エンタープライゼス)は、TOP12で2番手につけたが、ファイナルでの暑いコンディションにマシンを合わせる点でライバル勢に引けを取り、4ラップ平均スピードは233.661mph。フロントロウを逃す予選4番手となった。

 しかし、アメリカンヒーローがオーナーの星条旗カラーを纏ったマシンを委ねられている彼はアメリカ人ドライバー最上位グリッドを手に入れた。
 

リナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)
リナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)

フェリックス・ローゼンクヴィスト(アロウ・マクラーレン)
フェリックス・ローゼンクヴィスト(アロウ・マクラーレン)

サンティーノ・・フェルッチ(AJフォイト・レーシング)
サンティーノ・・フェルッチ(AJフォイト・レーシング)

 
 予選5番手は昨年のインディ500で2位フィニッシュしたメキシコ出身のパト・オーワード(アロウ・マクラーレン)で平均223.158mph。6番手はシリーズタイトルを6回獲得し、インディ500での優勝も2008年に達成しているニュージーランド出身のスコット・ディクソン。彼の今年の予選には史上初の3年連続PPと、史上最多タイの6回目のPP獲得がかかっていたが、アグレッシブに行ったマシンセッティングで十分なグリップが得られず、出せたスピードは平均223.151mphだった。

 佐藤琢磨(チップ・ガナッシ・レーシング)は最強チームからの初参戦でTOP12クオリファイには進んだが、ファイナルを戦うことはできなかった。それでもグリッドは3列目中央の8位に確保。自身の3勝目を狙う。

 両隣のグリッドはインサイドがアレクサンダー・ロッシでアウトサイドがトニー・カナーンと、両方ともアロウ・マクラーレンのドライバー。

 昨年度インディ500チャンピオンのマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は予選10番手で4列目イン側からのスタート。ルーキー最速となったベンジャミン・ピーダーソン(AJ・フォイト・エンタープライゼス)が予選11番手。2018年に優勝しているチーム・ペンスキーのウィル・パワーは予選12番手だった。

「予選前のプラクティスではチップ・ガナッシ・レーシングの4人全員が空力をトリムして走ったんですが、アクセルを踏み切った状態で曲がって行くことができませんでした」

「TOP12の予選では、1周目にハイスピードを出すことを狙って行くと、当然その後にタイヤの摩耗が進んで安定しなくということで、どっちを取るかって感じだったんですが、気温もどんどん上がっている最中でしたし、先に走った8号車のコメントを基にして、ダウンフォースは削らない決定をチームと一緒に下し、安定してスピードを揃えることでファスト6入りを目指しました」

「しかし、想像以上にスピードが伸びず、1ラップずつのドロップもかなり大きかったですね」と琢磨は振り返った。

 リスクを承知で空気抵抗を減らし、攻めの走りをするべきだった……というのは結果論だった。強豪チームの中に入って、エンジニアたちと出した答えの通りに戦ったが、それが今回は正解中の正解ではなかったということだ。

マシンに乗り込む佐藤琢磨(チップ・ガナッシ・レーシング)
マシンに乗り込む佐藤琢磨(チップ・ガナッシ・レーシング)

 そして、琢磨たちの走りから作戦変更のヒントを得たディクソンとパロウのふたりのうちの片方が見事にポールポジション獲得を成し遂げた。ガナッシの3年連続PP獲得劇は、琢磨渾身の走りが活用されてのものでもあった。

 2020年の予選は最速9人がポールポジション争いを行ったが、9人中の8人がホンダエンジンユーザーと、ホンダが圧倒的な優位にあった。ちなみに、この年唯一シボレー搭載車に乗っていたのがヴィーケイだった。翌2022年からファスト12とファスト6という現行ルールが採用され、予選2日目に駒を進めたドライバーはホンダ勢7人、シボレー勢5人と実力の拮抗が進んだ。

 そして今年のTOP12を見ると、ホンダユーザーはガナッシの孤軍奮闘となっており、シボレー側はインディでの速さに定評のあるECR、マクラーレンの実力アップにフォイトの躍進が加わり、ペンスキーがトップレベルのパフォーマンスを見せていない中で形勢逆転が果たされた。それでも、最終的にはガナッシの底力によってホンダは4年連続のインディPP獲得を成した。

■最後尾グリッドを争うラストチャンスクオリファイも白熱


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