7月8日、2023年FIA F2第9戦シルバーストンのスプリントレース(決勝レース1)が、イギリスのシルバーストン・サーキットで開催され、フレデリック・ベスティ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)が今季4勝目を飾った。レッドブル&ホンダ育成の岩佐歩夢(ダムス)はメカニカルトラブルに見舞われ21位となった。
第9戦決勝レース1のグリッドは、7日に行われた予選トップ10のリバースグリッドで決定され、ランキングトップのベスティがポールシッターとなった。
2番グリッドにアイザック・ハジャル(ハイテック・パルスエイト/レッドブル育成)、3番グリッドにランキング2位のテオ・プルシェール(ARTグランプリ/ザウバー育成)、4番グリッドにエンツォ・フィッティパルディ(ロダン・カーリン/レッドブル育成)が続いた。
予選で7番手タイムを記録したゼイン・マロニー(ロダン・カーリン/レッドブル育成)は、予選でプルシェールとジャック・ドゥーハン(インビクタ・ビルトゥジ・レーシング/アルピーヌ育成)を妨害したとして、2つの3グリッド降格、計6グリッド降格のペナルティが課せられ10番手スタートへと変わった。これにより岩佐のスタートポジションは1つ繰り上がり、7番手スタートとなった。
土曜日のシルバーストンは降雨に見舞われた。FIA F2の決勝レース1開始時点で雨は上がるも路面はウエットコンディションに。全車がウエットタイヤを装着するなか、気温19度、路面温度22度、タイヤ交換義務のない19周の決勝レース1は、現地時間13時15分(日本時間21時15分)よりセーフティカー(SC)先導による3周のフォーメーションラップをへて、ローリングスタートを迎えた。
水飛沫も高く舞い上がる中、ローリングスタートということもありベスティを先頭に上位勢の順位は変わらず。そんななか、7番手スタートの岩佐のマシンがスロー走行に。岩佐は後続にどんどんとかわされるなか、その岩佐の眼前でブラッド・ベナビデス(PHMレーシング・バイ・チャロウズ)とクレモン・ノバラック(トライデント)が接触。スピンを喫したベナビデスは濡れた芝生を滑りウォールにクラッシュし、セーフティカー(SC)が導入される。
このSC中に岩佐はスロー走行でピットに戻る。ダムスのスタッフ陣はフロントウイングを外し、フロントブレーキ周りの修復を試みるが、岩佐は「信じられない」と無線で心境を吐露する。
レースは4周目に再開を迎えた。リスタートの蹴り出しが抜群だったのは5番手スタートのイギリス人オリバー・ベアマン(プレマ・レーシング/フェラーリ育成)だった。ターン3でプルシェールを攻略するとべスティ、ハジャルに続く3番手に浮上した。
そんなベアマンは4周目のターン15でハジャルを軽々とオーバーテイク。これでベスティ、ベアマンのプレマ勢がワンツーとなる。このままベスティを攻略しベアマンがトップ浮上かと思われたが、ベスティは5周目にこの時点でのファステストを更新し、ベアマンを2秒近く引き離す。
6周目、ベアマンがターン17で単独スピンを喫し、7周目のホームストレートでハジャルが2番手に浮上する。スタートからスパートをかけていたベアマンは、その後は一気にペースダウン。8周目にプルシェールにもかわされ4番手に後退すると、ここからは守りの走りとなる。
ハジャルとプルシェールの2番手争いが白熱するなか、10周目時点でベスティは6秒のリードを築きクルージング。その後も、後続を毎周1秒ほど引き離す。そんななか11周目の最終ターン18でハジャルをかわし2番手に浮上。これでドライバーズランキング1位と2位がレースを先導する形となるが、ベスティとプルシェールの間には8.3秒ものギャップが広がっていた。
前方がクリアとなったプルシェールは自己ベストを更新しつつ、ベスティとの間合いを縮めにかかる。しかし、ベスティもプルシェールとほぼ同じペースで周回を重ね、プルシェールの接近を許さない。
そんななか、15周目のターン9でベアマンがハジャルを攻略し3番手に浮上。そこからハジャルを先頭に5台が数珠繋ぎとなるが、16周目のターン8でドゥーハンが5番手に浮上する。トップ2台の間合いは7秒から縮まらないなか、3番手争い、5番手争いが白熱。
17周目、ドゥーハンがターン6〜7でベアマンとサイド・バイ・サイドとなるが、地元戦を迎えたベアマンがポジションを死守。ただ、2台の戦いはターン16まで続くと、サイド・バイ・サイドの中、ベアマンがコースオフ。これでドゥーハンが3番手に浮上。そしてその間隙をついたエンツォ・フィッティパルディ(ロダン・カーリン)が4番手、ハジャルが5番手に浮上。
一方、2番手プルシェールにミスがあったか、ベスティとのギャップは14.5秒まで広がる中、レースはファイナルラップを迎えた。そのままランキングトップのベスティがトップチェッカーを受け、ポール・トゥ・ウインで今季4勝目を飾った。
2位にプルシェール、3位にドゥーハンが続いた。岩佐はトラブルを解消後コースに復帰し、1周遅れで周回を重ね21位でチェッカーを受けた。なお、トップ10圏外となるため、ポイント獲得とはならないが、岩佐は17周目に1分59秒913というこのレースの全体ファステストをマークしている(トップ10内のファステストはプルシェールが19周目に記録した2分00秒009となり、ファステストの1ポイントはプルシェールが獲得している)。
これでランキングトップのベスティの獲得ポイントは135点、ランキング2位プルシェールの獲得ポイントは114点となった。岩佐はこのレースでノーポイントとなるも、ランキング3位をキープしている。
続く、フィーチャーレース(決勝レース2)は7月9日の現地時間9時55分(日本時間17時55分)から、タイヤ交換義務を有する周回数29周で争われ、岩佐は3番手からスタートを迎える。
■2023年FIA F2第9戦シルバーストン
レース1正式結果
Pos. | No. | Driver | Team | Time/Gap |
---|---|---|---|---|
1 | 7 | F.ベスティ | プレマ・レーシング | 40’16.405 |
2 | 5 | T.プルシェール | ARTグランプリ | 13.432 |
3 | 14 | J.ドゥーハン | インビクタ・ビルトゥジ・レーシング | 19.422 |
4 | 4 | E.フィッティパルディ | ロダン・カーリン | 25.610 |
5 | 10 | I.ハジャル | ハイテック・パルスエイト | 30.517 |
6 | 8 | O.ベアマン | プレマ・レーシング | 30.863 |
7 | 6 | V.マルタンス | ARTグランプリ | 31.345 |
8 | 12 | A.ルクレール | ダムス | 31.633 |
9 | 16 | R.ニッサニー | PHMレーシング・バイ・チャロウズ | 32.452 |
10 | 3 | Z.マロニー | ロダン・カーリン | 38.554 |
11 | 2 | J.ダルバラ | MPモータースポーツ | 39.880 |
12 | 1 | D.ハウガー | MPモータースポーツ | 40.251 |
13 | 24 | K.マイニ | カンポス・レーシング | 44.116 |
14 | 9 | J.クロフォード | ハイテック・パルスエイト | 44.706 |
15 | 15 | A.コルデール | インビクタ・ビルトゥジ・レーシング | 45.269 |
16 | 20 | R.スタネ | トライデント | 48.241 |
17 | 21 | C.ノバラック | トライデント | 51.066 |
18 | 22 | R.フェルシュフォー | ファン・アメルスフォールト・レーシング | 52.808 |
19 | 23 | J.コレア | ファン・アメルスフォールト・レーシング | 1’07.916 |
20 | 25 | R.ボシュング | カンポス・レーシング | 1’14.160 |
21 | 11 | 岩佐歩夢 | ダムス | 1Lap |
– | 17 | B.ベナビデス | PHMレーシング・バイ・チャロウズ | DNF |
・全体ファステストラップ
#11 岩佐歩夢 1分59秒913(17/19) 176.858km/h
・トップ10圏内ファステストラップ
#5 テオ・プルシェール:2分00秒009 (19/19) 176.716km/h
・ペナルティ
#21 クレモン・ノバラック:5秒のタイムペナルティ(接触)
#15 アムーリ・コルデール:5秒のタイムペナルティ(コースアウトによるアドバンテージ)