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投稿日: 2010.05.21 00:00
更新日: 2018.02.23 11:26

密着! 佐藤琢磨inインディ(27)第6戦6日目「まだレースはちょっと待って」


 トラフィックでの走行を重視した1日。昨日の言葉どおりに今日の琢磨はドラフティング利用での走りを徹底的にチェックした。タイミングを合わせてチーム・ペンスキー、チップ・ガナッシ・レーシングの後ろにつけての周回を重ねた琢磨は、またしても自己ベストを更新、いよいよ225mph(=約362.03km/h)台へと突入し、今日の走行では12位にランク。明日は雨の予報。予選はいよいよ明後日に迫ってきた。

第6戦インディ500 6日目

「今日はトラフィックのなかでクルマを見ていきましたが、レースセットアップも仕上げに近づいてきて手ごたえも良くなってきていい一日でした。しかし、その一方でインディ500がなぜ特別なのか実感しています。本当にとても難しいし、まだまだやることがある。カンザスのときはレースを早くしたいと思いましたが、インディでは、『まだレースはちょっと待って』って感じですからね」

Q:今日も雨が降ってしまいましたが、そこまでは非常に順調にプログラムを進めていくことができていましたね?
A:そうですね。トラックに出ている間は予定どおり順調にいってたと思います。でも、プログラムとしては半分ぐらいしか行かなかったんですけど、それはまた天候が不安定になっちゃって……。本来、今日は気温が上がる予定だったんですけど、午前中の日差しとは好対照に午後は曇っちゃったので、昨日と同じような感じでした。

 今日はレースセットアップも仕上げに近づいていて、とにかく単独走行よりもトラフィックの中でクルマを見る、と。そういう意味では、最初に随分トラフィックの中で走れて、手応えも良くなってきたし、自分もだいぶタイミングやポジショニング含め理解が深まって来たので、いい1日だったと思いますね。午後の後半には予選トリムにしたクルマで初めて1ショット走って見て、スピードが高くなって、軽くなったクルマっていうのを体感して、それも良かったと思います。

Q:4周連続走行の予選は第5戦カンザスですでに経験済みですが、カンザスが1.5マイルだったのに対して、インディのコースはシリーズで一番長い2.5マイルですから、距離も当然いちばん長くなる。その分、マシンに起こる変化なども大きくなるので難しさが増しますよね?
A:全然違いますよね、カンザスとでは。カンザスはコーナーがふたつって感じですけど、インディは倍の4つに感じるし、ひとつひとつのコーナーで特性が違う。風向きによっても、予選トリムにして来ると、やっぱりものすごく影響を受けやすくなるので、コーナー毎に状況に合わせた走りをしていかなきゃならない。そういう走りが必要なんだなっていうのも、今日体験できた。もうあと2本ぐらいは予選の練習をすると思うんですよ。今日のコンディションの中ではそこそこ良い感じで走れたと思います。

Q:決勝用のセッティングでは、レースを想定し、タイヤのライフを使い切るフル・スティントも走りましたか?
A:やりました。

Q:フィーリング、タイヤの消耗など、どうだったでしょう?
A:良かったと思います。特別速いわけじゃないけど、トラフィックの中でタイヤの磨耗、前後の磨耗のバランスも良い感じになってきているので、僕も少しですけどパック(集団)の中でのそれらしい走りができるようになって来たと思います。

Q:今日も雨が降っちゃいましたが、イライラ防止策みたいなものは持っているんですか?
A:イライラはしないです。天気ばかりは仕方がないので、あるものを使い切るっていうことだけ考えてます。テストも3日目ぐらいで、まだ100パーセント、すべて準備万端じゃない。まだやりたいこともあるし、不安もあるけど、ここまでで最低限こなさきゃいけないパートは全部こなして来たので、明日と、予選日と走って、その後の予選2日目、日曜日にも走れるはずですから、そんなに心配もしてないし、焦ってもいないです。

Q:インディカーではデビュー以来、十分な時間を走れないうちに決勝を迎えるということが続いて来ていると思います。しかし、インディでは毎日のプラクティス時間が長く、雨で走れない日があったり、1日の走行時間が短縮されたりもしましたが、もう5日目です。少しは走れているという感覚ですか? インディカーに慣れて来た、フィーリングをつかんで来た、と感じていますか?
A:はい、ちょっとずつ。このインディ500というレース、忘れちゃいけないのは本当に特別な一戦で、それは名前が特別なんじゃなくて、本当に難しいんですよ。特にトラフィックに入った時の乱気流の影響は、やっぱりスピード域が高いだけにとんでもない。コーナーも単独でコース幅を使い切ったラインを走るコースなので、トラフィックに入ると全開で行けなくなるんですよね。それも速度域が非常に高いので、初めて走る身としては、ひとつずつ課題をクリアしていかなきゃいけない。慣れるのには時間がかかりますよ。だから、みんながこれだけプラクティスするんですよね。

自分たちとしては、インディ500のレースウィークエンドに向けて徐々にだけれど、大分整って来たって感じですかね? カンザスの時とは全然やり方が違いますね。カンザスでは「早くレースしたい」って感じてました。単独では何も起きないし。でも今、インディでは、「まだレースはちょっと待って」って感じですからね。

Q:もうちょっと練習したい?
A:はい。プログラムとしてこなさきゃいけない部分がまだありますからね。それだけ難しいですよね、ここ、インディでのレースっていうのは。ただ、インディカー・シリーズ全体として見た時には、これまでよりも理解度はすごく深まって来てる。でも、まだ予選トリムをやった時とか、また新しい発見があるので、楽しいです。

Q:明日は雨が一日中降るという予報ですが、それが外れて走れるようになって欲しいですね?
A:そうですね。明日、もう一度レースのセットアップに戻して、集団の中で走って、いろいろタイミングとかポジショニングなどをもう一回僕の中で整理したいのと、あと、予選トリムの時はアンチロールバーとか色々動かしながら走るんですけど、そのタイミングとかにも取り組みたいですね。

Q:予選4周の間、コクピット内ではドライバーがそれらの操作を皆忙しく行っているですね?
A:忙しいですよ。1周の中で色々動かしますからね。思ってたよりもインディカーのオーバルでの予選ていうのは難しい。ディティール……なんて言うのかな、1周の中で派手にブレーキを踏んでターンインするとかはないんだけど、本当に細かい部分なんだけど雑には絶対にできないってところがいっぱいあって、そのすべてがスピードに影響して来る。そこがとても難しい。でも、そういうのって新発見で、僕は楽しんでますね。

Q:自分の考えていたとおりにやれた時に達成感がある?
A:そうですね。あと、こういうオーバルのレースっていうのは本当にエンジニアとのチームワークなので、自分が頑張れるところっていうのは、クルマ以上のところは絶対にできないですから。ロードコースやストリートでは、おそらくクルマが持ってる、機械としてのポテンシャルを使い切れないわけですよね、僕は人間だから。そのポテンシャルに近づけば近づくほど良いタイムが出るんですけど、オーバルの場合は逆に使い切るワケで、使い切った時以上のことをドライバーはできない。マシンをポテンシャルの上限まで持って行くのがエンジニア。とても狭いスイートスポットにドライバーとエンジニアの両方がうまく同じ方向を向いて行って、クルマを良くしなくちゃいけないので、そこが難しいけどおもしろい。

もちろん、レースになったらドライバーがトラフィックの中で考えて、ポジショニングをしたりで、それによって結構順位って変わって来ると思います。そこに持っていくまで、クルマのピュアなスピード、トラフィックの中での動きっていうのは、エンジニアと二人三脚でやっていくパートだなって思いますね。

Q:KVレーシング・テクノロジーで初めて組んだエンジニアとのコンビネーションはとても合っていると感じてますか?
A:うん。ガレットとはすごくうまくいってますね。ものすごくコンサバティブにひとつひとつ仕上げていこうっていうスタイルなので。今の僕にはそれが必要。もちろん、やるからには頂点を目指して、少しでも前を目指すけど、僕が「この週末に何が何でもポールを獲りに行く!」っていう、チップ・ガナッシやペンスキーと戦っていくって状況ではないから。そういう意味では、いい感じでリラックスして階段を上がっている感じです。

Q:インディを走り始めて以来、スピードの上がり具合は非常にステディです。それはチームの計画どおりに進歩を遂げてきているってことですよね?
A:そうだと思います。すごく上手にコントロールできていると思います。それも、お互い同意のもとでいってるから。僕がドライバーとしてある程度フィーリングをつかんだら、「もっと行こう、もっと行こう」ってなるけど、そこを抑える部分と、あるいはエンジニアが「こういうことを次にはやる」って言った時に、僕自身がまだ準備ができてない時は、もう1回これをやってみようとか……。そういうのは、1日のプログラムを立てる時もそうだし、ピットレーンでインターコムで話している時も、そういうのを常に細かく話し合って、慎重に慎重にプログラムを進めてますね。

Q:明日、午後遅くにでも走れるチャンスができるといいですね。
A:はい、そうなることを期待しています。


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