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F1ニュース

投稿日: 2015.02.19 00:00
更新日: 2018.02.17 06:04

小松礼雄チーフエンジニアのコラムが始まります


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 今シーズンからロータスF1チームのチーフエンジニアに昇格した小松礼雄エンジニア。現役エンジニアがどのようにF1,そしてレースにアプローチしているのか。本人の言葉でお伝えしていくコラム。F1速報有料サイトでの掲載の一部を、お届けします

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第1回

チーフエンジニアとしての役割

 はじめましてロータスF1チームの小松礼雄です。
 今シーズン、こちらのサイトにてコラムを定期的に書かせてもらうことになりました。

 サーキットでの模様に限らず、クルマ2台を走らせるためにどんなことをしているのか。少しでも伝えることができれば良いなと思っています。普段のテレビ中継や雑誌などからでは見えにくいチーム側からの視点で書くことで、みなさんにもっとレースに興味を持っていただければ嬉しいです。

 F1というと「技術」ということが前に出てくるかと思いますが、実際にやっていて面白いのはすごく人間味があるところだと思うので、そういう面も触れてみたいと思います。また、自分にとっては普通だったりすることが、他の人からみると「え〜そうなんだ?」と興味深いこともあると思うので、聞きたいことや扱ってほしいトピックなどありましたら是非教えて下さい。ではヨロシクお願いします。

 最初はまず、僕の今年の仕事の内容から紹介したいと思います。ご存じの方もいると思いますが、レースエンジニアというのは1台のクルマをマネジメントする人ですが、チーフエンジニアというのは、もっとチーム全体の視点から2台を統括して見る立場になります。サーキットでは実際にクルマを走らせなくなりますが、変わりに2台の作業を調整しながらチームとして効率的に前に進めるように運営していきます。また、今までより大きなビジョンを考えながら開発に携わっていくのも役割のひとつになります。

 具体的には、ファクトリーにいる時、たとえば僕がロマン(グロージャン)のレースエンジニアをしていた時には、次のシミュレーターセッションをどうしようとか次のレースのセットアップをどうしようとか、1台のことに専念して作業していました。ですが、チーフエンジニアになるとシミュレーターを使う時もひとりのドライバーだけではなく、まずはチームとしてどうシミュレーターを使っていけば最適かを考えなきゃいけなくなります。レースドライバーふたり、そしてファクトリーにはテストドライバーもいるので、どう仕事を分担すればシミュレーターでの開発とレースチームの利益を最大限に出せるのかなど、他の部署との連携をとって、もっとレースエンジニアリング全体を見ることになります。

 クルマの開発面では、レースエンジニアの時にはレースに追われているので、ほぼ、与えられた状況でベストを尽くすだけという感じでした。もちろん、クルマの性能やパーツのフィードバックはしていましたけど、時間がないので最後までそのフォローアップはできなかった。また、どうしても中期的、長期的なことには時間を裂くことができませんでした。今年の僕の立場ではレース現場からの「クルマをこういう風に開発してほしい」と言う声を纏めて、空力やサスペンション部門のスタッフと話しながら、実際にどういう方向で開発しようか進めていきます。

 現場を代表して首脳陣と相談しながら開発の方向性とその優先順位をつけていきながら、クルマの根本的な開発に関われるので、チーフエンジニアはとても楽しい仕事です。去年、ウチにはチーフエンジニアがいなかったのですが、レースエンジニアの立場としては、チーフがいれば助かったなあという思いはありました。特に昨年はパワーユニットが新しくなりましたから、解決しなければいけない問題が山積みでした。今年はパワーユニットがルノーからメルセデスに替わりますし、メルセデスのスタッフとどう共同作業していくのか、そこの効率も上げなきゃいけないし、それらの意見をまとめなくちゃいけない。無駄のないように、効率よくコミュニケーションの向上を図っていきたいと思います。

 ウチのチームはトップチームと比べて予算が抱負にあるわけではないですから、本当に効率が悪いとすべてが終わってしまう。だから、どんなことでも、無駄にできるものなんてない状況です。使えるものを本当に効率よく、そして有効に使わないといけない。常に「あれもやりたい」「これもやりたい」と言っていられる状況ではない。それもすべてのところで、スリムライン化しなきゃいけない。それはみなさんが働く会社でも同じだと思いますが、まあ、良い意味でのチャレンジですよね。

 今の時期はまさに新車のシェイクダウン、そしてプレシーズンテストのタイミングです。シェイクダウンのチェック項目は、基本的にテストへ行く前にマシンのデザイナーたちと相談して「このクルマはどういうところに気を付けないといけない」ということを洗い出します。温度、プレッシャー、強度やクリアランスにしても、どこから見ていかないといけないのか、どこら辺を特に攻めた設計にしているのか。じゃあ、その確認に必要なセンサーはどこに、どのくらい付ければいいのか。そして実際にクルマを走らせた時にはどのような数値が出るのかを確認します。

続きはF1速報有料サイトでご覧下さい

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