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スーパーフォーミュラニュース

投稿日: 2010.03.08 00:00
更新日: 2018.02.15 18:33

無限、KCMGのドライバー、関係者に聞くFニッポンへの意気込み


 今季のフォーミュラ・ニッポンに参戦する新規2チーム、MOTUL TEAM 無限とKCMGの2チームの関係者、そして復帰となる井出有治、平中克幸のふたりのドライバーにテスト初日を終えての感想、Fニッポン復帰の経緯、そして意気込みを聞いた。

■井出有治(MOTUL TEAM 無限ドライバー)
「M-TECさんから2010年シーズンのフォーミュラ・ニッポン・ドライバーに起用するという連絡をいただいたのは、ちょうどサイパンへトレーニング合宿のために行っていたときでした。嬉しいと喜ぶよりも先に、慌ててトレーニングのメニューをよりハードなものに変更しました(苦笑)。やった! というのではなく、気持ちが引き締まりました。スーパーGTに乗るだけならそれほどパワーの面は気にしませんが、やはりフォーミュラ・ニッポンはステアリングも重いし、ウェイトを増やしてトレーニングをキツめにしました。だから、ドライ路面とソフトタイヤの組み合わせだった今日も、肉体的には問題ありませんでした。FN09をドライブするのは昨年夏のエンジン・テストのとき以来ですが、久しぶりという印象はあまり感じませんでしたね。ただ、エンジン・テストのときとはクルマのバランスがやはりズレていました。だから、今日はそのあたりを調整していました。タイヤのスペックが今シーズンのレースでは使わないソフトだったので、レースに向けてはあまり収穫があるとは思えませんが、身体もそうだし、速いラップタイムで走ることは感覚的にも高いレベルを経験することになるので、ドライバーにとってはそれもいいことかなとは思います。レベルが高いのでなかなか難しいとは思いますが、今シーズン1回は勝ちたいですね」

■勝間田聡(M-TEC)
「M-TEC(無限)独自のワークス活動としては、2007年シーズンのJLMC(全日本スポーツカー耐久)以来。フォーミュラカーレースで2007年の全日本F3以来です。日本の最高峰フォーミュラとなると、これが初めてです。じつは新生フォーミュラ・ニッポンとなった2009年シーズンからの参戦も社内では話題に上りましたが、ホンダさんの新しいエンジンの準備やデリバリーの仕事もあり、余裕がありませんでした。2010年シーズンはそうした仕事もひと区切りがつき、MOTULさんの支援も受けられるなど、環境も整ってきたので参戦できました。参戦の目的は、無限ブランドで展開している市販乗用車用パーツの認知度の向上という営業的な側面、つまり最近になって薄れてきているモータースポーツのイメージも再び盛り返そうという意図がひとつ。そのためにはスーパーGTという選択肢もありましたが、ホンダさんから請けている業務委託に影響が出てしまいかねないので難しい。結果的にフォーミュラ・ニッポンを選びました。また、社内エンジニアの人材育成という側面もあり、これを活用しようとなりました。井出有治選手をドライバーに起用したのは、もともとスーパーGTなどで関わりがありましたし、フォーミュラ・ニッポンのホンダさんのエンジン開発でも彼が起用されてきたからです。また、彼自身の経験や復帰に懸ける意気込みも要因です」

■平中克幸(KCMGドライバー)
「今回いただいたフォーミュラ・ニッポンへの復帰というお話は、すごく素晴らしいチャンスだと思っています。このご時勢、探してもなかなか手にできないチャンスですし、関係者の皆さんにすごく感謝しています。2010年シーズンに向けては、復帰に向けてフォーミュラ・ニッポンのDVDやビデオを見たりしていたのですが、それが実現して本当に嬉しく思います。しかも、体制は新規チームとは思えないような陣容で、エンジニアもメカニックも優勝経験者。フォーミュラ・ニッポンで優勝を経験していないのは僕だけですから(苦笑)。もちろん、その体制に負けないような走りを披露して、結果も早く残したいと思っています。FN09には初めて乗りましたが、ハンドルも重いし、Gの掛かり方もすごいし、ローラの時代とは違いますね。本当にスポーツと呼べるようなクルマです。アスリートじゃないと速くは走れないクルマです。今シーズンの目標はあくまで優勝で、それが変わることはありません。今回のテストの1日目の走行を終えて、自分の走りはもちろんエンジニアやメカニックとのコミュニケーションでも先が見えてきましたし、次に何をしなくてはいけないのかも把握できました。ですから開幕1、2戦目では中位集団で戦えるイメージもできましたし、3戦目以降のレースではトップ争いができればと思っています」

■土居隆二(KCMG監督)
「KCMG(クゥン・チン・モーター・グループ)とは香港のポール・イップ氏、中国名はイップ・クゥン・チンですが、30代と若い彼がオーナーを務める会社です。全日本F3にNクラスが誕生した2008年、これに興味を持ってくれたイップ氏と私の会社dtm(ディーティーエム)との関係が始まり、dtmが日本での運営を任されるようになりました。dtmは以前から全日本F3やフォーミュラトヨタに参戦してきましたし、アジアのドライバーと日本のレースのパイプ役、あるいは日本のドライバーとアジアのレースのパイプ役なども、微力ながら果たしてきました。日本の最高峰フォーミュラにはもともと個人的にも興味があり、下位カテゴリー発展のためにもいつかは進出しようと考えていました。今回の参戦に関しては、チームオーナーのイップ氏をはじめ株式会社エスジー建設の代表取締役である村橋郁徳氏の支援も受けて、無事に漕ぎ着けることができました。また、トヨタ自動車株式会社さま、星野一義氏とTEAM IMPULさま、株式会社日本レースプロモーションさま、さらには既存のチームの方々にもご支援やご協力をいただきました。ドライバーの平中克幸選手と私の付き合いも古く、今回の起用にも迷いはありませんでした。最初から大きな目標を掲げることはしませんが、長くこのフォーミュラ・ニッポンへ参戦を続けたいと思います」