更新日: 2018.02.16 12:07
SRO、FIAとACOの新GTカテゴリー案に強烈に反発
FIA国際自動車連盟とACOフランス西部自動車連盟が提案した、2015年からの単一GTカテゴリーについて、SRO(ステファン・ラテル・オーガニゼーション)が強烈に反発するプレスリリースを発行した。
FIAとACOは、2015年に向けて現行のLM-GTEクラスとFIA GT3クラスに取って代わる新たなGTカテゴリーを創設する計画を明らかにし、参戦費用が高騰化しているGTEカテゴリーのコストをFIA GT3程度まで抑えつつ、GT3に厳格なレギュレーションを施すような単一のGTカテゴリーを創設する意図を示した。
これに対し、SROはGT3カテゴリーを創設し、今季FIA-GT1/GT3選手権こそ消滅を招いたものの、ブランパン耐久シリーズやADAC GTマスターズなど、傘下のシリーズはヨーロッパでもひときわ多くの参戦車を集めている。
そんなSROは、今回のFIAとACOの提案に対し18日、「SROモータースポーツは、ACOとFIAが2014年に推進する単一GTクラスに強く反対する」とするプレスリリースを発行した。
「SRO創設者で、CEOを務めるステファン・ラテルは90年代中盤からのカテゴリー復権において中心的な存在を果たしたが、下記の理由から、ACOとFIAによって提案される単一GTクラスに強く反対する」とリリースは綴る。ラテルからの“3つの理由”は以下のとおりだ。
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(1)
安定の必要性:世界的にも最も成功し、最も早く成熟したカテゴリーであるFIA GT3は、単一のカテゴリーの中に14ものメーカーが参画し、マニュファクチャラーやオフィシャルチューナーによってマシンが販売されている。
GT3カテゴリーの隆盛の裏で、これまで成功をみなかったACO GTEカテゴリーを救う必要性のために、GT3参戦マニュファクチャラーが邪魔をされるようなことがあってはならない。
(2)
世界的にも有名なマニュファクチャラーとブランドが集うGTレーシングは、プロトタイプカーのためのサブカテゴリーとして考えられるようなことがあってはならない。このカテゴリーは他のカテゴリーとは異なる歩みを経ており、さまざまなレベルのチームやマニュファクチャラーが参加している。
また、LMP2カーがLMP1カーとともに走るのと同様に、GTレーシングにもふたつのカテゴリーが必要だ。
(3)
ACO GTEとFIA GT3は、実際にはマーケットの中で異なるふたつのニーズと合致する。これらを合併させることは、下記の各々に理由で、いかなるチーム、マニュファクチャラーとの意図にも反する。
a.すでにいくつかのメーカーによって拒絶されている性能調整は、ACO GTEファクトリーサポートチームによる技術開発競争の輝きを曇らせる。
b.この合併により、GT3はコストが増し、またいくつかのモデルにおいて改良できる範囲が減り、レースへの参加を減らしてしまう。
結果的に、厳しい技術規則となった結果、少ない改造ではコンペティティブなGTカーを生産することができないマニュファクチャラーは、レースで戦うチャンスが減り、新しいGTカテゴリーは当初の目的を果たすことができないだろう。
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一方でラテルは、プレスリリースの中で新しいふたつの提案を行った。提案は以下のとおり。
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(1)
FIA GT3のコンセプトを保ち、さまざまなバラエティをもつGTカーが実車の外見や重さを保ちながら戦える、性能調整の概念を保つこと。
GT3の毎年行われる開発を制限し、パフォーマンスのレベルをコントロールすることで、GT3を入手可能なレベルを保つ。
(2)
厳格な技術規則をもつ、FIA GT2を新たに立ち上げる。性能調整の変動、サクセスバラストを最小限とする。GT2はコンペティションを通じて、自分たちが最高のロードゴーイングGTカーを作ることができると証明するための、メーカーによるカテゴリー。
厳しい生産条件を保ち、カテゴリーがGT1やGTPのようになることを防ぐ。こういったGT2カテゴリーが立ち上がった場合、SROは2014年からプロによる国際シリーズを立ち上げることを検討する。
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SROにとっては、ACOとFIAが計画する新GTカテゴリーは、これまで自身が育て上げてきたGT3カテゴリーに対する脅威とも言える。今後ACO、FIA、そしてSROの間でどういったやり取りが行われるのか、注視する必要がありそうだ。