WRC世界ラリー選手権は、近年ふたたび上昇を続けている参戦コストを抑制するため、各マニュファクチャラーが一堂に会した“F1スタイル”の合同テスト実施を検討している。
現在WRCに参戦するワークスチームは、高騰するコスト削減案の一環としてFIA国際自動車連盟に対して年間に許されているテスト日数を削減するよう呼びかけているが、実際には最新世代の現行WRカーが導入された2017年には、それまで42日間だったテスト可能日数が55日間にまで増加している。
コスト削減への革新的なアプローチとして考えられているのは、イベント前にグループテストを設け、4つのマニュファクチャラー(トヨタ、ヒュンダイ、シトロエン、フォード)全社が参加。F1のインシーズンテストやタイヤテストなどと同様に、同じエリアに設けられたループステージを共有のテストコースとするプランだ。
ただし、この案は現在アスファルトのターマック・ラリーに向けたものだけの議論となっており、グラベル路ではさらにタイヤ本数などがかさむこともあり、ロジスティクス面などでより複雑な条件のチャレンジとなることが課題として考えられている。
現在、多くのチームがラリー・フィンランドに向けた準備とテストを実施しているが、仮にその開催地となるユバスキラ至近のステージを設定し、5日間のグループテストを実施した場合、現在のコストより約11万ポンド(約1610万円)もの削減につながる試算もあるという。
現在、100万ポンド(約1億4600万円)近いテスト経費が必要となっているWRCにとって、FIAはこの問題により踏み込んだ対策が急務だとチームは考えている。
トヨタのワークスチームを率いるトミ・マキネンは現時点で実施されているテストのレベルには満足しているとするも、Mスポーツ・フォードのリッチ・ミルナーは、英国オートスポーツに対し「グラベルの場合、現状のテスト日数を削減していく必要はあると思う」と語っている。