WRC世界ラリー選手権を戦うMスポーツ・フォードが、2019年限りでチームを離れるエルフィン・エバンスに対するコメントを発表し、長年の功績に対する感謝を伝えた。また2019年限りでトヨタのワークスシートを失ったヤリ-マティ・ラトバラは2020年に向けて水面下で作業を進めていると自身のTwitterで明かしている。
1988年、イギリス・ウェールズ出身のエバンスは、イギリス/アイルランドのラリー選手権でチャンピオンを獲得して頭角を現すと、2012年にはWRC育成カテゴリーだった『WRCアカデミー』へ。
ここでも着実な走りで王座を手にすると、2013年からはMスポーツの一員としてWRC2に参戦、マシンの開発ドライバーも務めた。
そして2013年のシリーズ第7戦イタリア・サルディニアで、エバンスは最上位クラスへスポット参戦。代役参戦で、その決定を知ったのは開幕2日前という状況だったが、総合6位でラリーを終えている。
この走りも評価され、2014年にはMスポーツのレギュラードライバーとして最上位クラスへ。以降、2016年に一度最上位クラスでのシートを失ったものの、2017年には最上位クラスへ返り咲き、母国ラウンドの第12戦ラリーGBで悲願の初優勝を遂げた。
2019年はシーズン途中の怪我で3戦欠場を余儀なくされたものの、2度の表彰台フィニッシュを飾り、ドライバーズランキング5位を獲得している。
そのエバンスは2020年、これまでラリーキャリアをともにしてきたMスポーツを離脱。トミ・マキネン率いるTOYOTA GAZOO Racing WRTへ移籍する。
Mスポーツ・フォードのマネージングディレクターを務めるマルコム・ウィルソンは「10年以上もの間、エルフィンが我々のフォード・フィエスタ・ラリーカーをドライブしながらワールドクラスのドライバーへ成長していく様子を見守ってきた」とコメントしている。
「彼は、フォードが若手ドライバー育成のために構築している“成長の階段”を使い成功を収めたもっとも代表的なドライバーだ。今後も彼の成功が続くことを心から願っているよ」
「もちろん2020年に向けて、エルフィンにはチームへ留まって欲しかった。残念ながら叶わなかったがね。それでも、彼とこれまで一緒に成し遂げてきたこと、Mスポーツとして彼の育成を助けられたことをうれしく思う。ラリー競技の頂点であるWRCにおいて、彼は欠かせない存在になったんだ」
「そして、たとえチームを離れたあとでも、彼がMスポーツ・ファミリーの一員であることに変わりはないよ」
エバンス自身も「Mスポーツ・フォードは僕のラリーキャリアにとって大きな部分を締めている。2007年にフェエスタSTをドライブしてから、Mスポーツが手掛けたほぼすべてのフィエスタ・ラリーカーをドライブしてきた」とチームに感謝を伝えた。
「チームと一緒に仕事をするなかで、素晴らしい才能の持ち主やモチベーションに満ち溢れた人々と知り合うことができ、その多くとは一生続く友人関係を築くことができた」
「WRCに参戦している多くのチームと同じく、Mスポーツ・フォードも情熱にあふれたチームだった。彼らとは素晴らしい思い出を作ることができたし、マルコムをはじめ、僕に素晴らしい機会を与えてくれたチームの人々すべてに感謝している」