北米開催の選手権として産声を上げ、創設2年目となる2022年から当初計画どおり“グローバル・シリーズ”へと変貌を遂げた『Nitro Rallycross(ナイトロ・ラリークロス/NitroRX)』第3戦が、10月1~2日に母国アメリカはミネソタ州ミネアポリスにあるERXモーターパークで開催され、欧州連戦を終えた地元初戦で、初代シリーズチャンピオンにも輝くトラビス・パストラーナが2022-23年シーズンの初優勝をマーク。強豪ドレイヤー&レインボールド・レーシング・ウィズ・JCレーステクニーク(DRR JC)から参戦のロビン・ラーソンとアンドレアス・バッケルドを撃破し、開幕連勝を飾ったDRR JC陣営を自ら止める勝利を飾った。
シリーズ発起人としてチャンピオンシップのグローバル化に奔走したパストラーナは、その初年度となる2022年に向け、ワンメイク・フルエレクトリックSUVによるグループEクラスを最高峰に据えることを決断。モーター出力約800kW(約1070PS)、最大トルク1100Nmを誇り、0-100km/h加速わずか1.4秒をマークする新開発電動車両『FC1-X』の導入を実現させた。
「世界でもっとも速く、もっとも有能なラリークロス車両」というシリーズの触れ込みどおり、350mmの最大ホイールトラベル量により抜群のトラクション性能を発揮する専用車両は、前述のとおり1000PSを超えるピークパワーにより180マイル(約290km/h)の最高速をマークする圧巻の性能を誇る。
前戦スウェーデンでは、北米トップチームとしてモンスターエナジー・RXカルテルを運営するDRR JCが招聘したWorldRX世界ラリークロス選手権4冠王者ヨハン・クリストファーソンの参戦が話題となったが、この北米ラウンドより欧州2戦で代役を務めた元WRC世界ラリー選手権レギュラーのクリス・ミークに代わり、このオフにもエキサイトエナジ・レーシングと参戦契約を結んでいた元F1王者ジェンソン・バトンが、ついにシリーズデビューを飾ることとなった。
こうしてエントリー10名の顔ぶれで初日土曜に用意された2回のプラクティス、そして“バトル・ブラケット”と称されたノックアウト制の3ヒートや“ブラケット・ファイナル”が実施される予定だったが、その最初のプラクティスでまさかの連続アクシデントが発生。
ここで前戦勝者バッケルドと、ジャマイカ出身フレイザー・マッコーネルの2台が立て続けにバレルロールを演じてマシンを大破させ、後者はコース外のハザードに水没する事態に。すぐさまメディカルによりその場で応急処置を受けたふたりだが、とくに肩の痛みを訴えたバッケルドの状態もあり、メディカルセンターを経て市内近郊の救急病院で治療を受けることとなった。